病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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ツーラン子爵家1

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 レベンナはジファーソ王国へ連れて行かれて、朝から晩まで働くことになった。

 それでも、父親の爵位のことが相当効いたようで、しっかりと働いている。

 目標は借金を返して、またプレメルラ王国に戻って、絶縁されてはいるが、家族に会いたいということだった。

 ある意味、平民であるために時が経てば、戻ることも可能ではあるだろう。ただどれだけ掛かるか分からない。

 エッジは王妃陛下に、レベンナの非常識な言動への謝罪と、レベンナは絶縁し、ジファーソ王国へ借金労働へ出たこと、レベンナの謝罪の手紙も同封し、慰謝料と一緒に、届けたと証明される郵便サービスを使って届けてもらうことにした。

 同様にモリーにもオブレオサジュール公爵家に、郵便サービスを利用した。

 会う時間を取ってもらうよりも、郵便サービスを使うことは、貴重な時間を取ることも失礼に当たる場合があると、ソーラが助言したことであった。

 ただレベンナはモリーについては、デザインをしただけだと思ったままであった。

 そして、ツーラン子爵家では、エルソンが小さくなっていた。

「反省したか?」

 オーリンはエルソンに一切、怒るでもなく、悲しむでもなく、放置していた。

「はい、申し訳ございませんでした」
「はあ……私はお前にそんな教育をしたか?」
「していません。でも、オブレオサジュール公爵家のためを思って」
「何がどうなったら、公爵家のためになるんだ?」

 エルソンはその主張だけは変えなかったが、オーリンは理解ができなかった。

「ですから、モリーお嬢様はまだ15歳ですから、王女殿下に相応しくないドレスを作らないようにした方がいいと思いまして」
「だが、お嬢様は会っていないのだろう?」
「それは、はい……」

 事前にモリーと会わせようと思っていたが、学園もあり、ドレスのことで部屋に籠っていることが多いので、訪ねてもペイリーに今忙しいと言われて、用件を聞くと言われて、モリーにも会わせてもらえなかった。

 お針子を連れて来たと言っても、モリーが受け入れるとは思えず、強行すれば、誰かに言っては不味いと思い、できなかった。

「ですから、直せるように」
「護衛として付き添わせて、あの娘に直すようにしようと思っていたのか?」
「はい、こっそりと直すように指示しておりました。ですが、あまりに礼儀がなっておらず、身に付けさせてからと思っておりましたら、ドレスは完成してしまい、それでも役に立つのではないかと、付いて行かせました」

 レベンナの礼儀があまりに酷かったのもあって、時間を掛けている間に、ドレスが完成して焦った。

 だから、あの日、慌てて連れて行かせた。

 礼儀放っていなくても、お針子としての腕は確かだとは聞いていたからである。

「あの娘は礼儀がなっておらず、妙な自信家で周りと上手くいかずに、前の勤め先も辞めている」
「えっ」
「そんなことも調べずに、オブレオサジュール公爵家に勝手に入れたんだよ!」
「そ、れは……」
「もし、あの娘が王妃陛下や王女殿下を恨む者だったら、どうする?」
「へ?」

 エルソンは礼儀がなっていないことは想定外だったが、自分は良いことをしていると自信があった。

 モリーのことは良く知らなかったが、このエルソンも芸術祭のドレスは感心した。だが15歳がこのようなものを本当に作れるのかと疑いを持った。

 それからは、モリーがすべて作ったという言葉を、15歳の子どもが手伝ってもらっても、自分がやったと言っているだけだろう。手伝っているのは、侍女のペイリーだと考えていた。

 だから、きちんとしたお針子を連れて来たというのに、恨む者だったら……?

「遠縁だけで、何も知らない娘なのだろう?」
「それは……」
「危険な者をお前はオブレオサジュール公爵家という名を使って、王族の方に会わせたことになる」

 その言葉に、エルソンの息が一瞬止まった。
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