65 / 206
再謝罪2
しおりを挟む
「こちらがオブレオサジュール公爵家と、ツーラン子爵家からの慰謝料でございます。お納めください」
ブレフォスは従者から慰謝料を受け取り、二人の前に置いた。
「どちらがどちら?」
置かれた慰謝料にブレフォスが説明をすると、ファリスとケリーは頷き、ケリーはツーラン子爵家からの慰謝料だけを持ち上げた。
「オブレオサジュール公爵家からは、いただきません」
「いっえ、それは」
ブレフォスは受け取ってもらえないことは、想定外で焦った。
「モリー嬢にはドレスのお代をお支払いしたの」
「はい、そのように伺っております」
馬車の中で、王妃陛下からドレスのお代をいただいたが、材料費に渡すとモリーは言ったが、ブレフォスはそれはモリーのお金だから受け取りなさいと話していた。
「いつか困った時のために、大事に取っておくと申しておりました」
「そう」
ケリーも同じように考えていたが、ブレフォスにも話すとは思わなかったが、思ったよりも父娘の関係は悪くないのかもしれないと感じた。
「モリー嬢には関係ないとはいえ、受け取れば、何だか賄賂みたいではありませんか?こちらが頼んだことですのに」
「そのようなことは、モリーはモリーでございます」
「いいえ、絶対に受け取りません。これ以上、折角のドレスにケチを付けたくないの。だから、ツーラン子爵からは受け取りますわ」
「恐れ入ります」
黙って、粛々と頭を下げていたオーリンは、ブレフォスには申し訳ないが、ホッとした。
王家もお金が欲しいわけではないが、モリーに代金を渡したように、受け取るのが謝罪を受けることになる。
「こんなことは言いたくないけども、夫人は何をしているの?」
「息子の世話をしているようです」
カリーナはまるでモリーなどいないかのように、関わっていないと、メイド長から聞いている。
だが、モリーも気にしていないようで、カリーナに注意して、改善などと言えば余計にこじれるような気がして、口は出していない。
「複雑な部分をとやかく言う気はないけど、今後、モリー嬢に関して、私は思ったことを言わせていただきます」
「え?それは」
「娘の友人?憧れの方になったようですから、よろしいでしょう?」
「は、い。それは問題ありませんが……」
ケリーは、ブレフォスの弱みを握るわけではないが、口を出していいという言質を取ることが目的であった。
「それなら、これで終わりね」
「承知いたしました」
「承知いたしました」
とは言っても、ブレフォスはなぜモリーにそこまでという気持ちもあった。
「王妃陛下に一つ、伺ってもよろしいですか?」
「ええ、何かしら?」
「王妃陛下も、モリーと懇意にされるということでしょうか?」
モリーはエリー王女殿下は好意を抱いているようだが、王妃陛下のお誘いにはあまり喜んでいる様子はなかった。
そして、王太子殿下と王子殿下の婚約者がまだ決まっていないことである。
そこへエリー王女殿下や、ケリー王妃陛下と親しくしていたら、良からぬことに巻き込まれる可能性があると考えた。
「危惧することは分かっているわ、特別視されることね?」
「はい……まだ王太子殿下の婚約者も決まっておりませんし、誤解を招くのではないかと思います」
「モリー嬢も候補になってもおかしくはない立場ではありますからね」
公爵令嬢で、弟がいる立場なら、婚約者候補になってもいい。
だが、オブレオサジュール公爵家の複雑な状況に、外されている状況だったが、まさかわざとなのかと、今のブレフォスを見ると思えて来た。
「そうですね」
「候補になったら、どうするの?」
「えっ」
ブレフォスは、酷く驚いたような顔をした。
「嫌なの?」
「いえ、考えたこともなかったものですから」
「そうなの?」
「はい……」
ブレフォスは本当にそう思っており、ケリーは本当なのかと疑っていた。
ブレフォスは従者から慰謝料を受け取り、二人の前に置いた。
「どちらがどちら?」
置かれた慰謝料にブレフォスが説明をすると、ファリスとケリーは頷き、ケリーはツーラン子爵家からの慰謝料だけを持ち上げた。
「オブレオサジュール公爵家からは、いただきません」
「いっえ、それは」
ブレフォスは受け取ってもらえないことは、想定外で焦った。
「モリー嬢にはドレスのお代をお支払いしたの」
「はい、そのように伺っております」
馬車の中で、王妃陛下からドレスのお代をいただいたが、材料費に渡すとモリーは言ったが、ブレフォスはそれはモリーのお金だから受け取りなさいと話していた。
「いつか困った時のために、大事に取っておくと申しておりました」
「そう」
ケリーも同じように考えていたが、ブレフォスにも話すとは思わなかったが、思ったよりも父娘の関係は悪くないのかもしれないと感じた。
「モリー嬢には関係ないとはいえ、受け取れば、何だか賄賂みたいではありませんか?こちらが頼んだことですのに」
「そのようなことは、モリーはモリーでございます」
「いいえ、絶対に受け取りません。これ以上、折角のドレスにケチを付けたくないの。だから、ツーラン子爵からは受け取りますわ」
「恐れ入ります」
黙って、粛々と頭を下げていたオーリンは、ブレフォスには申し訳ないが、ホッとした。
王家もお金が欲しいわけではないが、モリーに代金を渡したように、受け取るのが謝罪を受けることになる。
「こんなことは言いたくないけども、夫人は何をしているの?」
「息子の世話をしているようです」
カリーナはまるでモリーなどいないかのように、関わっていないと、メイド長から聞いている。
だが、モリーも気にしていないようで、カリーナに注意して、改善などと言えば余計にこじれるような気がして、口は出していない。
「複雑な部分をとやかく言う気はないけど、今後、モリー嬢に関して、私は思ったことを言わせていただきます」
「え?それは」
「娘の友人?憧れの方になったようですから、よろしいでしょう?」
「は、い。それは問題ありませんが……」
ケリーは、ブレフォスの弱みを握るわけではないが、口を出していいという言質を取ることが目的であった。
「それなら、これで終わりね」
「承知いたしました」
「承知いたしました」
とは言っても、ブレフォスはなぜモリーにそこまでという気持ちもあった。
「王妃陛下に一つ、伺ってもよろしいですか?」
「ええ、何かしら?」
「王妃陛下も、モリーと懇意にされるということでしょうか?」
モリーはエリー王女殿下は好意を抱いているようだが、王妃陛下のお誘いにはあまり喜んでいる様子はなかった。
そして、王太子殿下と王子殿下の婚約者がまだ決まっていないことである。
そこへエリー王女殿下や、ケリー王妃陛下と親しくしていたら、良からぬことに巻き込まれる可能性があると考えた。
「危惧することは分かっているわ、特別視されることね?」
「はい……まだ王太子殿下の婚約者も決まっておりませんし、誤解を招くのではないかと思います」
「モリー嬢も候補になってもおかしくはない立場ではありますからね」
公爵令嬢で、弟がいる立場なら、婚約者候補になってもいい。
だが、オブレオサジュール公爵家の複雑な状況に、外されている状況だったが、まさかわざとなのかと、今のブレフォスを見ると思えて来た。
「そうですね」
「候補になったら、どうするの?」
「えっ」
ブレフォスは、酷く驚いたような顔をした。
「嫌なの?」
「いえ、考えたこともなかったものですから」
「そうなの?」
「はい……」
ブレフォスは本当にそう思っており、ケリーは本当なのかと疑っていた。
2,649
あなたにおすすめの小説
待ってください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ルチアは、誰もいなくなった家の中を見回した。
毎日家族の為に食事を作り、毎日家を清潔に保つ為に掃除をする。
だけど、ルチアを置いて夫は出て行ってしまった。
一枚の離婚届を机の上に置いて。
ルチアの流した涙が床にポタリと落ちた。
※短編連作
※この話はフィクションです。事実や現実とは異なります。
結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。
木山楽斗
恋愛
幼少期から魔法使いとしての才覚を見せていたラムーナは、王国における魔法使い最高峰の役職である聖女に就任するはずだった。
しかし、王国が聖女に選んだのは第一王女であるロメリアであった。彼女は父親である国王から溺愛されており、親の七光りで聖女に就任したのである。
ラムーナは、そんなロメリアを支える聖女補佐を任せられた。それは実質的に聖女としての役割を彼女が担うということだった。ロメリアには魔法使いの才能などまったくなかったのである。
色々と腑に落ちないラムーナだったが、それでも好待遇ではあったためその話を受け入れた。補佐として聖女を支えていこう。彼女はそのように考えていたのだ。
だが、彼女はその考えをすぐに改めることになった。なぜなら、聖女となったロメリアはとてもわがままな女性だったからである。
彼女は、才覚がまったくないにも関わらず上から目線でラムーナに命令してきた。ラムーナに支えられなければ何もできないはずなのに、ロメリアはとても偉そうだったのだ。
そんな彼女の態度に辟易としたラムーナは、聖女補佐の役目を下りることにした。王国側は特に彼女を止めることもなかった。ラムーナの代わりはいくらでもいると考えていたからである。
しかし彼女が去ったことによって、王国は未曽有の危機に晒されることになった。聖女補佐としてのラムーナは、とても有能な人間だったのだ。
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?
リオール
恋愛
両親に虐げられ
姉に虐げられ
妹に虐げられ
そして婚約者にも虐げられ
公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。
虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。
それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。
けれど彼らは知らない、誰も知らない。
彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を──
そして今日も、彼女はひっそりと。
ざまあするのです。
そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか?
=====
シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。
細かいことはあまり気にせずお読み下さい。
多分ハッピーエンド。
多分主人公だけはハッピーエンド。
あとは……
初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。
豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」
「はあ?」
初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた?
脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ?
なろう様でも公開中です。
妹が私の婚約者と結婚しちゃったもんだから、懲らしめたいの。いいでしょ?
百谷シカ
恋愛
「すまない、シビル。お前が目覚めるとは思わなかったんだ」
あのあと私は、一命を取り留めてから3週間寝ていたらしいのよ。
で、起きたらびっくり。妹のマーシアが私の婚約者と結婚してたの。
そんな話ある?
「我がフォレット家はもう結婚しかないんだ。わかってくれ、シビル」
たしかにうちは没落間近の田舎貴族よ。
あなたもウェイン伯爵令嬢だって打ち明けたら微妙な顔したわよね?
でも、だからって、国のために頑張った私を死んだ事にして結婚する?
「君の妹と、君の婚約者がね」
「そう。薄情でしょう?」
「ああ、由々しき事態だ。私になにをしてほしい?」
「ソーンダイク伯領を落として欲しいの」
イヴォン伯爵令息モーリス・ヨーク。
あのとき私が助けてあげたその命、ぜひ私のために燃やしてちょうだい。
====================
(他「エブリスタ」様に投稿)
【完結】「図書館に居ましたので」で済む話でしょうに。婚約者様?
BBやっこ
恋愛
婚約者が煩いのはいつもの事ですが、場所と場合を選んでいただきたいものです。
婚約破棄の話が当事者同士で終わるわけがないし
こんな麗かなお茶会で、他の女を連れて言う事じゃないでしょうに。
この場所で貴方達の味方はいるのかしら?
【2023/7/31 24h. 9,201 pt (188位)】達成
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる