病める時も、健やかではない時も

野村にれ

文字の大きさ
82 / 252

疲労3

しおりを挟む
「どちらかと言うと、異母妹はモリー嬢のことを守ったと言えるんじゃないか?異母妹は本当に愛されているのか?」
「でも、愛人との子どもだから、わざわざ愛されていないということはないと思ったのだけど」
「まあ、そうだな」

 いなくてもいいはずの愛人との子どもを邪険にすることはないと、レルスも考えていた。だが、どこか気持ちの悪さを感じていた。

「マレア様も、ガッカリしましたわ」
「エリーはゼアンラーク侯爵令嬢を褒めていたではないか」
「上品だとは言いましたけど、性格までは分かりませんわ。特にダンサム公爵令嬢のように分かり易い方ではありませんから。お兄様もそうお思いでしょう?」
「まあ、そうだな」

 リークレアは公爵令嬢という立場は分かっているが、自分の思い通りになることが当たり前という環境であったために、分かり易い。

「でも、自分が出て良いところを見せようと思ったのでしょうけど、失敗しておりましたから」
「少しは大人しくなるかもな」

 マレアは自分が親しいと素振りはしないが、周りに持ち上げられて、『そんなことありませんわ』などと言っており、勝手にやってくれと思っていた。

 エリュカ王女ではないが、婚約者は他国の王女になるだろうと言われていた。だからこそ、マレアを含めて、そう言った目で見たことはない。

 最有力候補はパークスラ王国のレオーラ王女だったが、彼女は自国の公爵令息で婚約が決まった。

 レルスも会ったことはあったが、様々な国の王家や大公家に年齢の近い方で、どうだろうかというやり取りがある。

 だからこそ、レオーラ王女と話を進めていたわけではないので、プレメルラ王国もそれならばというところであった。

 今は他国の王女の可能性もあるが、両親にも自国でも考えるように言われている。だが、それまでは誰かがオルトの婚約者になるだろうとも思っていたので、距離を取るようにしていた。

 今更、この中からと言われても、困るなと思っていた。

 だが、決めなくてはならないことも分かっている。分かっているが、この人が良いと思えないままであった。

「リークレア様は相変わらずでしたわよ?モリー様のこともこっそり聞いてきましたのよ?」
「エリーに?」
「ええ、エリュカ王女とマレア様が揉めている間にね。親しいとは認めませんでしたが、関係は匂わせておきましたわ」
「そうか」

 モリーはエリーを敬うような関係で、まだ親しいとは言えないだろう。

 それでも、関係ないとは言いたくなかったのだろうと、レルスは可愛らしい妹を微笑ましい目で見つめた。

「だって、今日は呼ばれていないのかと馬鹿にしようとしたり、モリー様が親しいという素振りをしていたので、私に迷惑を掛けていたのではないかと思っただなんて言うのよ」
「言いそうなことだな」

 リークレアは昔から家族ぐるみで、明らかに王太子妃を狙っているのだろうが、年下ということもあるが、あまりに幼いという印象だった。

 だが、同じ年であるはずのモリーには感じなかった。

「まあ、分かり易い方が対応し易いですわ」

 疲労感一杯で終わったが、マレアはエリュカ王女の視線が気になるのか、レルスに今までのように近寄って来なくなった。

 ガーデンパーティーのことは一部では噂になり、モリーもペイリーから話を聞くことになった。

「まあ、そんなことがあったの?」

 エリュカ王女は話を聞いただけではなかったのだと、モリーは何だか嬉しいとは違うが、変化ではないことに感慨深い気持ちになった。

「ゼアンラーク侯爵令嬢は、珍しく面白くない顔をしていたようですよ」
「そんな風に言われたら、動揺されたのでしょうね」

 まさかそんなことを言われると思っておらず、驚いたことだろう。しかも、王女殿下に言い返すことはできない。

 だが、ドレスのことで少し振り回されたモリーは、溜飲が下がる思いだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族の爵位って面倒ね。

しゃーりん
恋愛
ホリーは公爵令嬢だった母と男爵令息だった父との間に生まれた男爵令嬢。 両親はとても仲が良くて弟も可愛くて、とても幸せだった。 だけど、母の運命を変えた学園に入学する歳になって…… 覚悟してたけど、男爵令嬢って私だけじゃないのにどうして? 理不尽な嫌がらせに助けてくれる人もいないの? ホリーが嫌がらせされる原因は母の元婚約者の息子の指示で… 嫌がらせがきっかけで自国の貴族との縁が難しくなったホリーが隣国の貴族と幸せになるお話です。

行動あるのみです!

恋愛
※一部タイトル修正しました。 シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。 自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。 これが実は勘違いだと、シェリは知らない。

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

愛を語れない関係【完結】

迷い人
恋愛
 婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。  そして、時が戻った。  だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。

そしてヒロインは売れ残った

しがついつか
恋愛
マーズ王国の住民は、貴賤に関係なく15歳になる歳から3年間、王立学園に通うこととなっている。 校舎は別れているものの、貴族と平民の若者が一か所に集う場所だ。 そのため時々、貴族に対してとんでもないことをやらかす平民が出てきてしまうのであった。 リーリエが入学した年がまさにそれだった。 入学早々、平民の女子生徒が男子生徒に次々とアプローチをかけていったのだ。

前世と今世の幸せ

夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】 幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。 しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。 皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。 そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。 この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。 「今世は幸せになりたい」と ※小説家になろう様にも投稿しています

契約結婚の終わりの花が咲きます、旦那様

日室千種・ちぐ
恋愛
エブリスタ新星ファンタジーコンテストで佳作をいただいた作品を、講評を参考に全体的に手直ししました。 春を告げるラクサの花が咲いたら、この契約結婚は終わり。 夫は他の女性を追いかけて家に帰らない。私はそれに傷つきながらも、夫の弱みにつけ込んで結婚した罪悪感から、なかば諦めていた。体を弱らせながらも、寄り添ってくれる老医師に夫への想いを語り聞かせて、前を向こうとしていたのに。繰り返す女の悪夢に少しずつ壊れた私は、ついにある時、ラクサの花を咲かせてしまう――。 真実とは。老医師の決断とは。 愛する人に別れを告げられることを恐れる妻と、妻を愛していたのに契約結婚を申し出てしまった夫。悪しき魔女に掻き回された夫婦が絆を見つめ直すお話。 全十二話。完結しています。

【完結】元サヤに戻りましたが、それが何か?

ノエル
恋愛
王太子の婚約者エレーヌは、完璧な令嬢として誰もが認める存在。 だが、王太子は子爵令嬢マリアンヌと親交を深め、エレーヌを蔑ろにし始める。 自分は不要になったのかもしれないと悩みつつも、エレーヌは誇りを捨てずに、婚約者としての矜持を守り続けた。 やがて起きた事件をきっかけに、王太子は失脚。二人の婚約は解消された。

処理中です...