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疲労2
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「ダンサム公爵令嬢は呼ばれていたのだろう?」
「今、御呼ばれしたら、変な噂を立てられるからですわ」
「噂?」
「お兄様、ご存知ではありませんの?私のドレスのことをマレア様の息の掛かった者が聞くために」
「息の掛かった者って……」
随分、王女に相応しくない物騒な言い方だが、エリーの読んでいる恋愛小説の言い回しなのだろうと思った。
「ミチリーア・カジルス伯爵令嬢です。サリリーナ・カジルス伯爵令嬢の妹」
「ああ……」
サリリーナはマレアの取り巻きで、それでもマレアがいない場所では、見計らってレルスに声を掛けて来ることもある。
「学園でも噂になってしまったのですわ!私も責任を感じたのよ?」
「言ってしまえばいいのではないか?」
「そんなこと言ったら、モリー様は爵位が高いから、邪推する人がいるでしょうと言っているの!」
同級生でもないのに、エリーと親しくしているとなれば、邪推する者はいるだろう。だが、邪推とはエリーは難しい言葉を知っているなと妹の成長を感じていた。
「しかも、その息の掛かった者が、モリー様を茶会に誘おうとしたりして」
「そうだったのか」
「でも、公爵が断ったそうよ。すると、妹の方を誘ったそうですの」
「妹?」
「モリー様の異母妹よ」
念のためにモリーはマレアたちのこと、マキュレアリリージュのこと、リークレアのことを、こちらは大丈夫ですのでという意味も含めて、ケリーに報告していた。
それをエリーも聞いており、ガーデンパーティーには誘わないというのも理解していた。
「えっ?彼女は平民だろう?」
「ええ」
「誰が誘ったんだ?カジルス伯爵令嬢か?」
「マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢ですわ!」
「彼女が?貴賤差別をするような者が?」
レルスはマレアがマキュレアリリージュと親しくするどころか、話をすることも想像ができなかった。
「そうなの?」
「ああ、前に平民の生徒が彼女のハンカチを拾ったんだ。それを、笑顔で受け取って、その後で捨てていたよ」
「っな」
「まあ、そういった者も多いからね。でも、いい気持ちはしないよね」
公爵令嬢でも男爵令嬢でも、貴賤差別をする者はする。しない者はしないと考えており、平民を馬鹿にしている者も多い。
「それで、目的は?」
「ドレスのこと、モリー様のことを聞くために、そこで異母妹を質問責めにしたそうですの。でも、モリー様と異母妹は交流がないから、何も知らないのに」
「じゃあ、無駄だったわけか?」
「ええ、マレア様にとっては無駄だったでしょうね」
もしも、モリーのことを知り得る立場だったら、またマキュレアリリージュは呼ばれたかもしれない。
「でも、口にはしたくもないですけど、異母妹は『地味なお姉様にお針子なんてお似合いですけど、間違いですよ』『もしかしたら、着る物がなくてドレスを作ったのかもしれませんけど』『私はお父様に愛されていますけど、姉は公爵家の嫌われ者ですよ?皆に無視されている存在ですよ?』『そんな人に、王女殿下のドレスなんて作るはずないじゃないですか』などと言っていたそうですわ。関わる気もなかったですけど、絶対に関わりたくないと思いましたわ」
モリー目線になっていることは分かっていたエリーだったが、その話を聞いて、マキュレアリリージュが嫌いになった。
「誰に聞いたんだ?」
「メイドが参加したって人に聞いてくれたの」
「異母妹はモリー嬢に敵意を持っているのだろうな」
「ええ」
「だが、公爵はモリー嬢のことは断り、異母妹は許可したのか?」
「確かにそうね、どうしてなのかしら」
マレアが誘えば、モリーのことを聞くつもりなのではないかと思うはずだ。
それなのに、どうして行かせたのか。あのような物言いをする者が、上手くかわせるとも思えない。
「今、御呼ばれしたら、変な噂を立てられるからですわ」
「噂?」
「お兄様、ご存知ではありませんの?私のドレスのことをマレア様の息の掛かった者が聞くために」
「息の掛かった者って……」
随分、王女に相応しくない物騒な言い方だが、エリーの読んでいる恋愛小説の言い回しなのだろうと思った。
「ミチリーア・カジルス伯爵令嬢です。サリリーナ・カジルス伯爵令嬢の妹」
「ああ……」
サリリーナはマレアの取り巻きで、それでもマレアがいない場所では、見計らってレルスに声を掛けて来ることもある。
「学園でも噂になってしまったのですわ!私も責任を感じたのよ?」
「言ってしまえばいいのではないか?」
「そんなこと言ったら、モリー様は爵位が高いから、邪推する人がいるでしょうと言っているの!」
同級生でもないのに、エリーと親しくしているとなれば、邪推する者はいるだろう。だが、邪推とはエリーは難しい言葉を知っているなと妹の成長を感じていた。
「しかも、その息の掛かった者が、モリー様を茶会に誘おうとしたりして」
「そうだったのか」
「でも、公爵が断ったそうよ。すると、妹の方を誘ったそうですの」
「妹?」
「モリー様の異母妹よ」
念のためにモリーはマレアたちのこと、マキュレアリリージュのこと、リークレアのことを、こちらは大丈夫ですのでという意味も含めて、ケリーに報告していた。
それをエリーも聞いており、ガーデンパーティーには誘わないというのも理解していた。
「えっ?彼女は平民だろう?」
「ええ」
「誰が誘ったんだ?カジルス伯爵令嬢か?」
「マレア・ゼアンラーク侯爵令嬢ですわ!」
「彼女が?貴賤差別をするような者が?」
レルスはマレアがマキュレアリリージュと親しくするどころか、話をすることも想像ができなかった。
「そうなの?」
「ああ、前に平民の生徒が彼女のハンカチを拾ったんだ。それを、笑顔で受け取って、その後で捨てていたよ」
「っな」
「まあ、そういった者も多いからね。でも、いい気持ちはしないよね」
公爵令嬢でも男爵令嬢でも、貴賤差別をする者はする。しない者はしないと考えており、平民を馬鹿にしている者も多い。
「それで、目的は?」
「ドレスのこと、モリー様のことを聞くために、そこで異母妹を質問責めにしたそうですの。でも、モリー様と異母妹は交流がないから、何も知らないのに」
「じゃあ、無駄だったわけか?」
「ええ、マレア様にとっては無駄だったでしょうね」
もしも、モリーのことを知り得る立場だったら、またマキュレアリリージュは呼ばれたかもしれない。
「でも、口にはしたくもないですけど、異母妹は『地味なお姉様にお針子なんてお似合いですけど、間違いですよ』『もしかしたら、着る物がなくてドレスを作ったのかもしれませんけど』『私はお父様に愛されていますけど、姉は公爵家の嫌われ者ですよ?皆に無視されている存在ですよ?』『そんな人に、王女殿下のドレスなんて作るはずないじゃないですか』などと言っていたそうですわ。関わる気もなかったですけど、絶対に関わりたくないと思いましたわ」
モリー目線になっていることは分かっていたエリーだったが、その話を聞いて、マキュレアリリージュが嫌いになった。
「誰に聞いたんだ?」
「メイドが参加したって人に聞いてくれたの」
「異母妹はモリー嬢に敵意を持っているのだろうな」
「ええ」
「だが、公爵はモリー嬢のことは断り、異母妹は許可したのか?」
「確かにそうね、どうしてなのかしら」
マレアが誘えば、モリーのことを聞くつもりなのではないかと思うはずだ。
それなのに、どうして行かせたのか。あのような物言いをする者が、上手くかわせるとも思えない。
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