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王位継承権
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まだベットで過ごすシュアリーの元に、陛下が訪れていた。
「シュアリー、もう治っただろう。勉強に戻りなさい。皆がシュアリー待っているのだ。行かないというのは大変失礼だと、分かるな?」
「だけど、あんなに詰め込まれたら、また熱が出てしまうわ」
「だが、ここで寝ていても何も変わらないだろう」
気持ちの弱ったシュアリーに3割増しのことを話すのは得策ではない。まずは勉強に戻って貰わなくてはならない。
「やっぱり、お姉様を呼び戻すのが一番よ」
「アウラージュは戻らないだろう。シュアリーが逃げ出せば、」
「逃げ出すなんて酷いわ、私はルカス様と想い合っただけなのに」
「ルカスはアウラージュの婚約者で、王太子の王配。そんなこと、分かっていただろう?わざわざ選んだのはシュアリーだ」
「選んだんじゃないわ、惹かれあっただけよ」
こんなはずじゃなかった、お姉様を引きずり降ろそうなどと考えたことはなかった。ただ羨ましかったのだ。ルカス様のことだって、最初はお姉様に寄り添う姿に、私にもと思ってしまったのがきっかけだった。
お姉様は忙しいからと、寂しいだろうと思って、一緒にいる内にお互いが惹かれあった、どうしようもないことだった。
ルカス様との時間を作らなかったことだって悪い、時間がないなら手紙でも書けばいい、きっとお姉様にとってその程度だったのだから、婚約解消だって、きっと嫌だなんて言えなかったのかもしれないけど、あっさり承諾したんだもの。
「シュアリーが王位継承権を放棄するなら、公爵家に移るだけだ」
「公爵家?」
「ああ、ホワイトア公爵家だ。リオンか、マーガレットだろうな」
「えっ、それは駄目よ。カトリーヌ叔母様のところではないの?」
リオンとマーガレットは意地が悪い。ちょっとした失言を、アウラージュに恥をかかせるのかと怒られて、お父様に泣き付いた相手だ。そんな人たちが王太子になったら、私の立場はない。
私は微笑むだけで皆が喜んでくれる王女、もしくは元王女という立場を維持しながら、生きていくべきなのだから。
「カトリーヌは王位継承権を放棄しているし、息子が一人しかいない。カリソル侯爵家を継ぐ者がいなくなる」
「だったら、やっぱりお姉様を呼び戻すのが一番よ」
「アウラージュは戻らないと思って、明日からきちんと勉強をしながら、しっかり考えなさい」
「待って、お父様」
お父様は振り返ることなく、部屋を出て行ってしまった。
私は王女でなくなっても、公爵位くらいを貰えれば、それで良かったのに。お姉様は、一体どこに行ってしまったのだろうか。探し出して、話し合えばきっとお姉様は分かってくれるだろうけど、探しに行く時間がない。
お父様にはあの様子だと頼れない、ルカス様にお願いして、探し出して連れて来てもらうのが一番だろう。
「お姉様を探してきて欲しいの」
「私も思いましたが、父に止められてしまいました」
「公爵様に?」
「はい、二度と私とは関わらないと誓約書を書いたようで。婚約を解消した際にはよくあることだそうです」
代理人からシュアリー殿下の婚約者になるのだから、アウラージュとは二度と関わらないと書面にサインしたそうだ。
「そんな…だったらどうしたらいいの」
「シュアリー様は、お辛くとも王太子教育を受けるべきです」
「っ、ルカス様までそう言うのね」
陛下の采配によって、アウラージュが王位継承権を放棄したことによって、シュアリーが王太子になり、ルカスは王配の教育を受けていたから、そのまま婚約をしたということになっている。そうではないと思っている者もいるだろうが、対外的にはそうなっている。
いくら清い関係であっても、アウラージュを蔑ろにして、2人が想い合ったとなれば、不貞を犯したとされてしまうからだ。
「現状、アウラージュ殿下が王位継承権を放棄したことで、成り立っている関係となっています」
「私たちは愛しあって」
「そう言えば、奪ったのだと思われます。ですから、ここで2人で降りれば、王配だから、そのままだったと聞いていたが、実はただ不貞を犯していただけかと、そうなれば一緒にいることは叶わないでしょう」
「そんな…」
「お互い頑張りましょう。お願いです」
「分かったわ…」
ルカスの真摯な瞳にシュアリーは頷くしかなかった。
「シュアリー、もう治っただろう。勉強に戻りなさい。皆がシュアリー待っているのだ。行かないというのは大変失礼だと、分かるな?」
「だけど、あんなに詰め込まれたら、また熱が出てしまうわ」
「だが、ここで寝ていても何も変わらないだろう」
気持ちの弱ったシュアリーに3割増しのことを話すのは得策ではない。まずは勉強に戻って貰わなくてはならない。
「やっぱり、お姉様を呼び戻すのが一番よ」
「アウラージュは戻らないだろう。シュアリーが逃げ出せば、」
「逃げ出すなんて酷いわ、私はルカス様と想い合っただけなのに」
「ルカスはアウラージュの婚約者で、王太子の王配。そんなこと、分かっていただろう?わざわざ選んだのはシュアリーだ」
「選んだんじゃないわ、惹かれあっただけよ」
こんなはずじゃなかった、お姉様を引きずり降ろそうなどと考えたことはなかった。ただ羨ましかったのだ。ルカス様のことだって、最初はお姉様に寄り添う姿に、私にもと思ってしまったのがきっかけだった。
お姉様は忙しいからと、寂しいだろうと思って、一緒にいる内にお互いが惹かれあった、どうしようもないことだった。
ルカス様との時間を作らなかったことだって悪い、時間がないなら手紙でも書けばいい、きっとお姉様にとってその程度だったのだから、婚約解消だって、きっと嫌だなんて言えなかったのかもしれないけど、あっさり承諾したんだもの。
「シュアリーが王位継承権を放棄するなら、公爵家に移るだけだ」
「公爵家?」
「ああ、ホワイトア公爵家だ。リオンか、マーガレットだろうな」
「えっ、それは駄目よ。カトリーヌ叔母様のところではないの?」
リオンとマーガレットは意地が悪い。ちょっとした失言を、アウラージュに恥をかかせるのかと怒られて、お父様に泣き付いた相手だ。そんな人たちが王太子になったら、私の立場はない。
私は微笑むだけで皆が喜んでくれる王女、もしくは元王女という立場を維持しながら、生きていくべきなのだから。
「カトリーヌは王位継承権を放棄しているし、息子が一人しかいない。カリソル侯爵家を継ぐ者がいなくなる」
「だったら、やっぱりお姉様を呼び戻すのが一番よ」
「アウラージュは戻らないと思って、明日からきちんと勉強をしながら、しっかり考えなさい」
「待って、お父様」
お父様は振り返ることなく、部屋を出て行ってしまった。
私は王女でなくなっても、公爵位くらいを貰えれば、それで良かったのに。お姉様は、一体どこに行ってしまったのだろうか。探し出して、話し合えばきっとお姉様は分かってくれるだろうけど、探しに行く時間がない。
お父様にはあの様子だと頼れない、ルカス様にお願いして、探し出して連れて来てもらうのが一番だろう。
「お姉様を探してきて欲しいの」
「私も思いましたが、父に止められてしまいました」
「公爵様に?」
「はい、二度と私とは関わらないと誓約書を書いたようで。婚約を解消した際にはよくあることだそうです」
代理人からシュアリー殿下の婚約者になるのだから、アウラージュとは二度と関わらないと書面にサインしたそうだ。
「そんな…だったらどうしたらいいの」
「シュアリー様は、お辛くとも王太子教育を受けるべきです」
「っ、ルカス様までそう言うのね」
陛下の采配によって、アウラージュが王位継承権を放棄したことによって、シュアリーが王太子になり、ルカスは王配の教育を受けていたから、そのまま婚約をしたということになっている。そうではないと思っている者もいるだろうが、対外的にはそうなっている。
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「現状、アウラージュ殿下が王位継承権を放棄したことで、成り立っている関係となっています」
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「そんな…」
「お互い頑張りましょう。お願いです」
「分かったわ…」
ルカスの真摯な瞳にシュアリーは頷くしかなかった。
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