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夜会(裏)
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時は夜会の前に戻る。アウラージュが滞在していたのはブラックア公爵家であった。情報を得ていたのは幼なじみであるアルバートである。
「あのリラ・ブラインの目的がようやく分かった、ジルバードだ」
「ジルバード!?」
ジルバード・バートラ公爵令息、ルカスの兄で、バートラ公爵家の嫡男である。
「ああ、幼い頃から狂気的に愛しているらしい」
「それで隔離していたの?」
「そうだ。病気療養という名目で、さらに教育が行き届かずということも添えてな」
「狂気的ということは、病気というのも間違いではないわよね。教育もそうよ、止められないってことでしょう?幼い頃から癇癪持ちで、気に入らないと暴れるって言っていたわよね?」
「全て事実というわけか。学園もジルバードが卒業したから入学したそうだ」
途中となったのは両親がジルバードの卒業を待っていたからであった。
「なるほど、それで自由だと言っているのね。来年、ジルバードの婚約者、ララが入学してくるのを見越して、風紀を乱そうとしている」
「そういうことか!そこまで気が回っていなかった。繋がったな。ルカスに何度も話し掛け、近づいていたのも、ジルバード目的で、あわよくばはあっただろうが、ルカスの相手は王族だ。さすがに危険だから、無理強いはしなかったのだろう」
「愛する人の弟ですからね、嫌われたくないでしょうし、味方に付けたいというのもあったでしょう」
リラがルカスに何度も話し掛けるなど、接触していることは分かっていたが、惚れているという感覚ではなかった。
「だろうな、学園長にも注意されて、危機も感じているはずだ。夜会が久しぶりに会える絶好のチャンスとなるな。ララ嬢も今回は年齢的にも出席するだろうしな」
「ええ、ジルバードにもララにもなかなか会える機会はないでしょうからね」
「だが、両親も目を光らせるだろうな」
「おそらくルカスに近づいて、そこからジルバードでしょうね。何か起こすかもしれないわね、狂気的というのがどういう類なのか、読めないわね」
「見張るようにする」
ブラックア公爵家は王家の影というよりは、国の影という立ち位置で、諜報を担う家である。王家の調査員より深く潜って、探ることが出来る。アルバートは学園を任されており、アウラージュも相談を受けていた。
そして、夜会当日。アウラージュが気にしていたのは横で、今日も美しいだろう、輝きか見えるかい?というナルシストではなく、リラであった。
「もう、ブルーノ!大人しくしていてよ、引っ掻き回さないでよ」
「分かっているさ、でも美しい猫はつい引っ掻いてしまうものなのさ」
「はあ…ではその爪は今日は仕舞って置きなさい。でないと、私があなたのその美しい顔をつい、引っ掻いちゃうかもしれないわよ」
「おお、アウラ!それは美への冒涜だよ?いけない子猫ちゃんだ」
「へいへい」
ブルーノに軽口をたたきながらも、ブルーノは立場上いい防波堤にはなる。リラの両親であるブライン伯爵夫妻はおらず、いつものお友達と一緒にいる。
「伯爵夫妻は風邪で欠席だそうだ」
「何か飲ませたのかもしれないわね、睡眠薬とか下剤とか」
「そこまでするということは…」
「考えたくないけど、今日に賭けているのかもしれないわね」
予想通り、シュアリーとルカスのところに行き、何やら瞳のことで揉めている。
「何?ヘーゼルの瞳?なんで私の名前が」
「えっ、あの令嬢は少し薄いブラウンだっただろう?」
「アウラ様、お兄様。ヘーゼルの瞳に憧れて、角度によってヘーゼルに見えると言っているのではないですか」
口を出したのはアルバートの妹で、アウラージュと同じ色のドレスを纏っているステファニーである。
「ええ!憧れる?」
「憧れますよ、でもアウラ様の瞳の色だからですよ?」
「そうかしら」
「そうさ、私もアウラのヘーゼルの瞳の美しさには一目置いているさ」
「へいへい」
「だが、何かヘーゼルの瞳に拘りがあるのかもしれないな」
「あっ、ララではないですか?」
ララとステファニーは同じ年で、友人である。
「ああ、ララもヘーゼルだったわね」
「アウラの瞳がヘーゼルと思っているから、ピンと来てなかったな」
「あなた、最近ピンと来てないことばかりじゃない!しっかりし、あっ、急に動いた、早いわ、急いで」
だが、リラは思ったよりも勢いがあった。ジルバードの側に念のためにすぐに動く騎士を配置していたために、ララを叩く前に拘束出来たが、こっそり捕まえる予定が、注目を集めてしまい、おかげでアウラージュは二度と振舞いたくもなかった、王女を披露することになってしまったのだ。
「あのリラ・ブラインの目的がようやく分かった、ジルバードだ」
「ジルバード!?」
ジルバード・バートラ公爵令息、ルカスの兄で、バートラ公爵家の嫡男である。
「ああ、幼い頃から狂気的に愛しているらしい」
「それで隔離していたの?」
「そうだ。病気療養という名目で、さらに教育が行き届かずということも添えてな」
「狂気的ということは、病気というのも間違いではないわよね。教育もそうよ、止められないってことでしょう?幼い頃から癇癪持ちで、気に入らないと暴れるって言っていたわよね?」
「全て事実というわけか。学園もジルバードが卒業したから入学したそうだ」
途中となったのは両親がジルバードの卒業を待っていたからであった。
「なるほど、それで自由だと言っているのね。来年、ジルバードの婚約者、ララが入学してくるのを見越して、風紀を乱そうとしている」
「そういうことか!そこまで気が回っていなかった。繋がったな。ルカスに何度も話し掛け、近づいていたのも、ジルバード目的で、あわよくばはあっただろうが、ルカスの相手は王族だ。さすがに危険だから、無理強いはしなかったのだろう」
「愛する人の弟ですからね、嫌われたくないでしょうし、味方に付けたいというのもあったでしょう」
リラがルカスに何度も話し掛けるなど、接触していることは分かっていたが、惚れているという感覚ではなかった。
「だろうな、学園長にも注意されて、危機も感じているはずだ。夜会が久しぶりに会える絶好のチャンスとなるな。ララ嬢も今回は年齢的にも出席するだろうしな」
「ええ、ジルバードにもララにもなかなか会える機会はないでしょうからね」
「だが、両親も目を光らせるだろうな」
「おそらくルカスに近づいて、そこからジルバードでしょうね。何か起こすかもしれないわね、狂気的というのがどういう類なのか、読めないわね」
「見張るようにする」
ブラックア公爵家は王家の影というよりは、国の影という立ち位置で、諜報を担う家である。王家の調査員より深く潜って、探ることが出来る。アルバートは学園を任されており、アウラージュも相談を受けていた。
そして、夜会当日。アウラージュが気にしていたのは横で、今日も美しいだろう、輝きか見えるかい?というナルシストではなく、リラであった。
「もう、ブルーノ!大人しくしていてよ、引っ掻き回さないでよ」
「分かっているさ、でも美しい猫はつい引っ掻いてしまうものなのさ」
「はあ…ではその爪は今日は仕舞って置きなさい。でないと、私があなたのその美しい顔をつい、引っ掻いちゃうかもしれないわよ」
「おお、アウラ!それは美への冒涜だよ?いけない子猫ちゃんだ」
「へいへい」
ブルーノに軽口をたたきながらも、ブルーノは立場上いい防波堤にはなる。リラの両親であるブライン伯爵夫妻はおらず、いつものお友達と一緒にいる。
「伯爵夫妻は風邪で欠席だそうだ」
「何か飲ませたのかもしれないわね、睡眠薬とか下剤とか」
「そこまでするということは…」
「考えたくないけど、今日に賭けているのかもしれないわね」
予想通り、シュアリーとルカスのところに行き、何やら瞳のことで揉めている。
「何?ヘーゼルの瞳?なんで私の名前が」
「えっ、あの令嬢は少し薄いブラウンだっただろう?」
「アウラ様、お兄様。ヘーゼルの瞳に憧れて、角度によってヘーゼルに見えると言っているのではないですか」
口を出したのはアルバートの妹で、アウラージュと同じ色のドレスを纏っているステファニーである。
「ええ!憧れる?」
「憧れますよ、でもアウラ様の瞳の色だからですよ?」
「そうかしら」
「そうさ、私もアウラのヘーゼルの瞳の美しさには一目置いているさ」
「へいへい」
「だが、何かヘーゼルの瞳に拘りがあるのかもしれないな」
「あっ、ララではないですか?」
ララとステファニーは同じ年で、友人である。
「ああ、ララもヘーゼルだったわね」
「アウラの瞳がヘーゼルと思っているから、ピンと来てなかったな」
「あなた、最近ピンと来てないことばかりじゃない!しっかりし、あっ、急に動いた、早いわ、急いで」
だが、リラは思ったよりも勢いがあった。ジルバードの側に念のためにすぐに動く騎士を配置していたために、ララを叩く前に拘束出来たが、こっそり捕まえる予定が、注目を集めてしまい、おかげでアウラージュは二度と振舞いたくもなかった、王女を披露することになってしまったのだ。
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