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美男美女
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サジューモア王国では、ルジエールとフランアールが婚約したことに揺れた。
だが、お互いに爵位の高い公爵家の令息と令嬢。
見た目も、誰も文句のつけようのない美男美女に、唇を噛み締める者、お二人ならどちらにしても、敵わないと考える者も多かった。
ルジエールは婚約しても、魔術師として忙しくしており、これまでは仕事漬けだったが、婚約したのだからとマーガレットに口酸っぱく言われて、時折、出掛けたり、パーティーにも顔を出した。
「子猫はどうだ?」
あの時、拾った子猫はミルと名付けられて、体も不調はないために、七匹目としてヴァッサム公爵邸で暮らしている。
「ええ、皆に可愛がってもらっておりますわ」
「こちらも母が猫が来ると喜んでいてな、色々買ってしまっているのだが、大丈夫だろうか?」
マーガレットはフランアールの部屋は婚約が結ばれた日から改装を行い、フランアールは家具などはあるものでいいと言われてしまったが、小物などはお義母様にお任せしますと言ったために、すこぶる張り切っていた。
部屋が完成してからは、次は猫よと、何が必要かと、猫を飼っている、飼っていたという使用人に意見を聞きながら、こんな物もあったらいいのではないかと、色んな物を買い集めていた。
「まあ、でも使わなかったら申し訳ないわ」
「使わなかったら、それでいいさ」
「でも……」
二年間だけなのに、そんなに用意をしてもらうことが申し訳なかった。
「使ってくれる人にあげてもいい。私では止められそうもないんだ」
勝手にそんな物を用意する物ではないとマーガレットに言おうと思ったのだが、ジスラットも好きにさせてやってくれ、とても楽しそうだろうと言われてしまい、何も言えなくなった。
「まあ、それなら使ってくれることを願うしかありませんね」
「ああ、母も使わなかったら、納得するだろうから。後、お揃いの首輪も注文していてな……」
ルジエールは先に伝えておかないと驚かせてしまうだろうと、何を用意しているのかだけは把握するようにしていた。
「それで」
「何だ?」
「お義母様から猫の名前と色味を教えて欲しいとお手紙をいただきましたの」
「ああ、すまない……」
確かに七匹もいるからと、色なども選んでいたと聞いており、名前も入れるようにしたのかもしれない。
「でも高い物ではないかしら?申し訳ないわ」
「いや、それは気にしなくていいのだが、勝手に嫌ではないか?」
「いいえ?私も首輪は付けるようにしておりますし」
フランアールは美しさを、ヴァッサム公爵家のメイドのよって、最大限に発揮されるように美しく保たれているが、実はこだわりがない。
「そうか」
パーティーの片隅で目立ち過ぎている二人は、甘い会話でもしているように見えるが、猫と母親の話である。
ルジエールはいつも嫌な視線を感じる生活をしていたが、フアンアールといると、大半がフランアールに視線を向けられることを感じるようになっていた。
だが、フランアールは当然というよりは、いつものことなのか、周りの視線を気にする様子もない。
そして、婚約期間を経て、空が一面に晴れ渡る日に、ルジエールとフランアールはめでたく結婚式を挙げた。
ヴァッサム公爵家はフアンアールが契約結婚なのにと首を傾げたくなるほど、号泣しており、少し気まずい気持ちだった。
カサリアは純白のどれだけ時間と、手が掛かっているのだろうかという、レースや刺繍がふんだんに使われたウエディングドレスのフランアールを前に、もしかして輝いてる?眩しいとすら思った。
「世界一と言っても過言ではないわ」
「さすがに過言よ?花嫁さん、カサリアとお揃いっ」
ドレスの裾を持って、カサリアに微笑みかける親友の可愛さには今日も慣れない。
だが、お互いに爵位の高い公爵家の令息と令嬢。
見た目も、誰も文句のつけようのない美男美女に、唇を噛み締める者、お二人ならどちらにしても、敵わないと考える者も多かった。
ルジエールは婚約しても、魔術師として忙しくしており、これまでは仕事漬けだったが、婚約したのだからとマーガレットに口酸っぱく言われて、時折、出掛けたり、パーティーにも顔を出した。
「子猫はどうだ?」
あの時、拾った子猫はミルと名付けられて、体も不調はないために、七匹目としてヴァッサム公爵邸で暮らしている。
「ええ、皆に可愛がってもらっておりますわ」
「こちらも母が猫が来ると喜んでいてな、色々買ってしまっているのだが、大丈夫だろうか?」
マーガレットはフランアールの部屋は婚約が結ばれた日から改装を行い、フランアールは家具などはあるものでいいと言われてしまったが、小物などはお義母様にお任せしますと言ったために、すこぶる張り切っていた。
部屋が完成してからは、次は猫よと、何が必要かと、猫を飼っている、飼っていたという使用人に意見を聞きながら、こんな物もあったらいいのではないかと、色んな物を買い集めていた。
「まあ、でも使わなかったら申し訳ないわ」
「使わなかったら、それでいいさ」
「でも……」
二年間だけなのに、そんなに用意をしてもらうことが申し訳なかった。
「使ってくれる人にあげてもいい。私では止められそうもないんだ」
勝手にそんな物を用意する物ではないとマーガレットに言おうと思ったのだが、ジスラットも好きにさせてやってくれ、とても楽しそうだろうと言われてしまい、何も言えなくなった。
「まあ、それなら使ってくれることを願うしかありませんね」
「ああ、母も使わなかったら、納得するだろうから。後、お揃いの首輪も注文していてな……」
ルジエールは先に伝えておかないと驚かせてしまうだろうと、何を用意しているのかだけは把握するようにしていた。
「それで」
「何だ?」
「お義母様から猫の名前と色味を教えて欲しいとお手紙をいただきましたの」
「ああ、すまない……」
確かに七匹もいるからと、色なども選んでいたと聞いており、名前も入れるようにしたのかもしれない。
「でも高い物ではないかしら?申し訳ないわ」
「いや、それは気にしなくていいのだが、勝手に嫌ではないか?」
「いいえ?私も首輪は付けるようにしておりますし」
フランアールは美しさを、ヴァッサム公爵家のメイドのよって、最大限に発揮されるように美しく保たれているが、実はこだわりがない。
「そうか」
パーティーの片隅で目立ち過ぎている二人は、甘い会話でもしているように見えるが、猫と母親の話である。
ルジエールはいつも嫌な視線を感じる生活をしていたが、フアンアールといると、大半がフランアールに視線を向けられることを感じるようになっていた。
だが、フランアールは当然というよりは、いつものことなのか、周りの視線を気にする様子もない。
そして、婚約期間を経て、空が一面に晴れ渡る日に、ルジエールとフランアールはめでたく結婚式を挙げた。
ヴァッサム公爵家はフアンアールが契約結婚なのにと首を傾げたくなるほど、号泣しており、少し気まずい気持ちだった。
カサリアは純白のどれだけ時間と、手が掛かっているのだろうかという、レースや刺繍がふんだんに使われたウエディングドレスのフランアールを前に、もしかして輝いてる?眩しいとすら思った。
「世界一と言っても過言ではないわ」
「さすがに過言よ?花嫁さん、カサリアとお揃いっ」
ドレスの裾を持って、カサリアに微笑みかける親友の可愛さには今日も慣れない。
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