【完結】愛されて、愛されて、愛されて

野村にれ

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事件8

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「このことは内密に、国王陛下はフランアールのために、事件のことが広がることを危惧されている」
「勿論でございます」

 エバンファストも国王陛下に引き渡したのだから、勝手に口にする気はなかった。

「カサリア夫人には話すだろうから、その辺りは話してくれて構わない」
「はい」

 カサリアも事情を知っていたことから、フランアールから話を聞くことになるだろう。

「エバンも邪な考えを持つようになったら、私に最初に言ってくれ。私が柱にでも固定しよう」
「それは持つようになれば、されても仕方ないと思いますが……カサリアにも言いましたが、今まで見た中で一番と言ってもいいほど美しい方だとは思いますけど、目を奪われるだけです」
「そうは思っていたのだな」

 真面目な顔で話すエバンファストに、今さらながら、そのように思っていたのかと笑みが零れた。

「失礼しました」
「いや、構わない」
「カサリアでさえ、毎回可愛いと思うそうなので、口が滑りました」
「慣れないということだな。確かに両親も毎朝、可愛いと思っているようだからな」

 ジスラットとマーガレットは、毎朝、フランアールを見る度にポーッとなり、花を飾る必要もないほどだと真剣に話しているのを聞いたことがあった。

「ルジエール様は思わないのですか?」
「いや、見た目は思うさ。思わない方がおかしいのではないか?だが、侍女や護衛たちのような気持ちだな……そう思っていたのに、まさか、自邸でこのようなことが起きるなどとは……情けない気持ちだよ」
「そうですよね、人に会うことすらままならないなんて……カサリアもメアリード侯爵家には一度行ったきりで、気にしているのだろうと言っておりました」
「そうか、ならばこちらに呼べばいいと、昨日までなら言っていたのだがな」

 昨日までなら胸を張って言えていた、いや、絶対に言っていただろう。

 だが、今となっては邪な考えを持つ者が潜んでいる邸に招くのも、嫌なのではないかと考えてしまう。

「メアリード侯爵家には伝えてあるようで、あちらは歓迎しているそうですから、無理にでも来させると言っておりましたから」
「それなら……だが、嫌な思いをさせるのもな。複雑だな」
「それはそうなりますね……」

 邪な考えを持つ者が現れないことが一番だが、現れても問題ないと言われていても、申し訳ない気持ちになることは変わらない。

「フランアールは自分が嫌な思いをするよりも、友人の嫁ぎ先に迷惑を掛けたくないという思いだろうな」
「はい……」
「魔力についてとは言ってもな」
「関係あるかもしれませんが……」

 魔力に何か理由があるのかもしれないが、調べられるのかも分からない。

 ただ、内術者であるために、外部に影響を与えるものではない。それは魔術師であるルジエールもエバンファストも誰よりも理解していた。

「陛下に研究材料にすることは許さないと言われたよ」
「それは……はい、可能性があるのなら魔術師を頼っているでしょうしね」
「魔術師にもみてもらったと言っていた」
「では、ヴァッサム公爵家と王家がおかしな魔術師にみせているはずがありません」
「ああ」

 ルジエールも誰かは聞くことはしなかったが、おそらく魔術師団長レベルの人間だろうと察していた。

 何ができることがあればいいのだが、魔術師の管轄外としか思えず、二人は結局、項垂れるしかなかった。

 カイシュ・ペーンズは貴族牢に入れられたことは、ペーンズ子爵家には拘束されていることは知らされたが、ビードルトラン公爵家ではカイシュはしばらく休みとされ、罰が決まるまで待つことなった。

 そして、調べが終わって、ルジエールとジスラットに知らされることになった。

「カイシュ・ペーンズの調べが終わった」
「はい、ありがとうございました」
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