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事件7
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「護衛騎士も話したことがないとは認めている。話していないのに、話したとは言っていない。だが、口にしなくても分かると……」
「うわっ……気色悪いですね」
エバンファストはあまりの不気味さにたまらなくなり、顔を顰めた。
「フランアールは顔も分かっていない者だった」
「認識もされていない。それなのに、フランアール様を連れて逃げようとしていたということなんですよね?」
「おそらく、そういうことなのだろうな。話にならなかった」
エバンファストも邪な考えを持つ者と、まとも会話ができるとは思えなかった。
「言えないよな、邸内に異常者がいるかもしれないなどと」
「はい、それこそ何かされたのならおっしゃるでしょうけど、予兆もなかったのですよね?」
「ないと思う、刺客だと思ったそうだからな」
「刺客……」
エバンファストは刺客などと考えたこともなく、今まで暮らしてきたために、フランアールとは結び付かない物騒な対象に言葉を失った。
「そんな生活をしていたのだろうな、さすがに私も自邸で、夜中に忍び込まれたことはない」
「邸内にそのような者がいないと思って過ごしていますから……でも、フランアール様は違ったのでしょうね」
「ああ……」
使用人や滞在していた縁者に忍び込まれたという話を聞いたことがないわけではないが、ビードルトラン公爵邸は押し掛けて来るようなことはあっても、忍び込む様なことが起きたことはなかった。
「カサリアは、フランアール様は神に愛された子だと言っておりました」
「神に?」
「神に愛された子だから人にも好かれ、邪な考えを持つ者が触れられないのは神の力だと」
「証明はできないだろうが、悪くない考えかもしれないな」
誰かがフランアールに授けたのなら、人間の与り知らぬ力でしかなく、それは神しかいないように思えた。
「はい、私も最初は何を言っているのだと思いましたが、愛されると同時に守る力を持つ、愛し過ぎたゆえに力を授けたのではないかと今、思いました」
「ああ」
「犯人はどうなるのでしょうか」
「国王陛下が決めることだが、殺すという意味ではないのかもしれないが、消されるだろうな」
「あり得ないことではないでしょう」
公爵令嬢で、現在は公爵家嫡男夫人であるのだから、重罪とされても文句は言えないだろう。
「いや、陛下はヴァッサム前公爵がやり過ぎたのを、止めたそうだからな」
「前公爵様ですか……それは殺し兼ねませんね」
ヴァッサム前公爵こと、アイゼルーフ・ヴァッサムと言えば、若い頃は誰にも止められないというほどの騎士団員であった。
だが、リシューラ王女殿下と想い合い、結婚することになり、騎士団もあっさり辞めて、落ち着いたと言われていたが、孫娘のことになれば止められないだろう。
しかも、家族も殺してもいいと思ったかもしれない。
「フランアールも半殺しにしたと聞いたそうだから、半分では済まなかったのではないだろうか」
「はい……原形を留めていたら、幸運でしょう。もしかしたら、辺境に送られているかもしれませんね」
「マドール辺境伯領か?」
「我が家だけではないかもしれませんが、王都から離すでしょうから……消すには丁度いいかもしれません、人手はいくらでも欲しいですから」
辺境伯領は魔獣の被害が一番多いために、再教育を兼ねて送られてくるということも聞くことがあった。
「母はカイシュを真面目な青年だと言っていたが、何かあるのかもしれない」
「何か?」
「フランアールに邪な考えを持つ者は問題がある人間が多いそうだ、陛下が調べてくださることになっている」
「まさに神の力ではありませんか」
「そうだな、フランアールは囮だと言っていたそうだが」
「……それは」
神の力で邪な考えを持つ者を排除していると考えたが、フランアールを使ってとなってしまうことに気付いた。
「うわっ……気色悪いですね」
エバンファストはあまりの不気味さにたまらなくなり、顔を顰めた。
「フランアールは顔も分かっていない者だった」
「認識もされていない。それなのに、フランアール様を連れて逃げようとしていたということなんですよね?」
「おそらく、そういうことなのだろうな。話にならなかった」
エバンファストも邪な考えを持つ者と、まとも会話ができるとは思えなかった。
「言えないよな、邸内に異常者がいるかもしれないなどと」
「はい、それこそ何かされたのならおっしゃるでしょうけど、予兆もなかったのですよね?」
「ないと思う、刺客だと思ったそうだからな」
「刺客……」
エバンファストは刺客などと考えたこともなく、今まで暮らしてきたために、フランアールとは結び付かない物騒な対象に言葉を失った。
「そんな生活をしていたのだろうな、さすがに私も自邸で、夜中に忍び込まれたことはない」
「邸内にそのような者がいないと思って過ごしていますから……でも、フランアール様は違ったのでしょうね」
「ああ……」
使用人や滞在していた縁者に忍び込まれたという話を聞いたことがないわけではないが、ビードルトラン公爵邸は押し掛けて来るようなことはあっても、忍び込む様なことが起きたことはなかった。
「カサリアは、フランアール様は神に愛された子だと言っておりました」
「神に?」
「神に愛された子だから人にも好かれ、邪な考えを持つ者が触れられないのは神の力だと」
「証明はできないだろうが、悪くない考えかもしれないな」
誰かがフランアールに授けたのなら、人間の与り知らぬ力でしかなく、それは神しかいないように思えた。
「はい、私も最初は何を言っているのだと思いましたが、愛されると同時に守る力を持つ、愛し過ぎたゆえに力を授けたのではないかと今、思いました」
「ああ」
「犯人はどうなるのでしょうか」
「国王陛下が決めることだが、殺すという意味ではないのかもしれないが、消されるだろうな」
「あり得ないことではないでしょう」
公爵令嬢で、現在は公爵家嫡男夫人であるのだから、重罪とされても文句は言えないだろう。
「いや、陛下はヴァッサム前公爵がやり過ぎたのを、止めたそうだからな」
「前公爵様ですか……それは殺し兼ねませんね」
ヴァッサム前公爵こと、アイゼルーフ・ヴァッサムと言えば、若い頃は誰にも止められないというほどの騎士団員であった。
だが、リシューラ王女殿下と想い合い、結婚することになり、騎士団もあっさり辞めて、落ち着いたと言われていたが、孫娘のことになれば止められないだろう。
しかも、家族も殺してもいいと思ったかもしれない。
「フランアールも半殺しにしたと聞いたそうだから、半分では済まなかったのではないだろうか」
「はい……原形を留めていたら、幸運でしょう。もしかしたら、辺境に送られているかもしれませんね」
「マドール辺境伯領か?」
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辺境伯領は魔獣の被害が一番多いために、再教育を兼ねて送られてくるということも聞くことがあった。
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「何か?」
「フランアールに邪な考えを持つ者は問題がある人間が多いそうだ、陛下が調べてくださることになっている」
「まさに神の力ではありませんか」
「そうだな、フランアールは囮だと言っていたそうだが」
「……それは」
神の力で邪な考えを持つ者を排除していると考えたが、フランアールを使ってとなってしまうことに気付いた。
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