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「書類は私の方でフランアール様の名前だけ伏せて作って置きました、実家の方からも今回の経緯について預かっております」
報告をしているのに、ルジエールからの返事はない。
「何かありましたか?」
「不味いことになっているんだ……」
「え?まさか、フランアール様のことで何か洩れましたか?」
すぐに認識阻害を掛けたために、バレてはいないと考えていたが、どこかで洩れてしまったのだろうかと、エバンファストは不安になった。
「いや、そうじゃない」
「良かった……」
魔術師や騎士たちの中にはマドール辺境伯領の者もおり、色々聞かれたが、団長が派遣した方で私にも分からないと言えば、諦めてくれた。
「フランアールの魔力を感じたのだ」
「ん?ああ!あの治癒の時ですか?」
「ああ……」
二人の間に沈黙が流れたが、エバンファストはまさかと一つ思い当たることがあった。だが、それはあまりにも口にしたいような、したくないようなことであった。
「嘘ですよね……?」
「嘘の方がいいのだろうか」
「本当にフランアール様が相性のいい相手だというのですか?」
「ああ……」
すっかり気弱になっているルジエールを見るのは、目新しかった。
だが、相手は特殊過ぎるフランアール。今でも妻ではあるのだが、契約結婚だから結婚をしてくれた相手で、もしもフランアールに嫌がられれば、ヴァッサム公爵家、そして王家も出てくるだろう。
そうなったら、ルジエールの願いは絶対に叶わない。いくら天才魔術師でも、相手が強すぎる。
お金もあれば、後ろ盾も、内々に終わらせるようなことを平気でできてしまう。
「だから、討伐の後で、ぼんやりしていたのですね」
「していたか?」
「ええ、返事が遅れたりしておりましたので、疲れてらっしゃるのかと思っておりました」
途中からぼんやりしていることがあり、申し訳ない気持ちになっていたのに、違ったのかと思うばかりであった。
「もし相性のいい相手がこの世にいたとしても、内術者だとは思っていなかった……」
「でも契約結婚をしていなかったら、分からなかったことですから、良かったのか……もしれませんよ?」
ルジエールは契約結婚をしたことで、両親から探すようにも、結婚するようにも言われなくなり、相手を率先して探してはいなかった。
出会うことがあれば程度だったが、いたとしても外術者だと思っていたために、内術者であるフランアールではないと最初から思っていた。
だからこそ、契約結婚に互いにウィンウィンであると考えていた。
「それで、フランアール様に言ったのですか?」
「いいや、言っていない。何だか、気恥ずかしくなってしまってな。間違いではないかと思ったりもしたのだが、あの感覚は初めてで……間違いではない」
「ルジエール様がそう言うのであれば、間違いないでしょうね」
再び沈黙が流れ、ルジエールもどうすればいいのかと思っているのだろう。
「フランアール様と正式に結婚されたいということですよね?」
「ああ、彼女が別の相手と結婚するなんてなったら、おかしくなりそうだ」
ルジエールはさらさらの髪の毛を掻きむしっており、混乱を極めていることは明らかであった。
「それは、ないかもしれませんね」
「だが、分からないだろう!」
「ですが、結婚をしたくないと言っていたのですから、特殊な力を考えてのことかもしれませんが……対策をすることもできないようですから……」
「それでも、ううん……」
確かにフランアールは契約結婚が終了したら、新しい相手をとは本人も、おそらく家族も思っていないだろう。
ヴァッサム公爵家でこれまでのように過ごすだけで、フランアールは変わらない姿がエバンファストにも想像ができる。だが、絶対ではない。
報告をしているのに、ルジエールからの返事はない。
「何かありましたか?」
「不味いことになっているんだ……」
「え?まさか、フランアール様のことで何か洩れましたか?」
すぐに認識阻害を掛けたために、バレてはいないと考えていたが、どこかで洩れてしまったのだろうかと、エバンファストは不安になった。
「いや、そうじゃない」
「良かった……」
魔術師や騎士たちの中にはマドール辺境伯領の者もおり、色々聞かれたが、団長が派遣した方で私にも分からないと言えば、諦めてくれた。
「フランアールの魔力を感じたのだ」
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「ああ……」
二人の間に沈黙が流れたが、エバンファストはまさかと一つ思い当たることがあった。だが、それはあまりにも口にしたいような、したくないようなことであった。
「嘘ですよね……?」
「嘘の方がいいのだろうか」
「本当にフランアール様が相性のいい相手だというのですか?」
「ああ……」
すっかり気弱になっているルジエールを見るのは、目新しかった。
だが、相手は特殊過ぎるフランアール。今でも妻ではあるのだが、契約結婚だから結婚をしてくれた相手で、もしもフランアールに嫌がられれば、ヴァッサム公爵家、そして王家も出てくるだろう。
そうなったら、ルジエールの願いは絶対に叶わない。いくら天才魔術師でも、相手が強すぎる。
お金もあれば、後ろ盾も、内々に終わらせるようなことを平気でできてしまう。
「だから、討伐の後で、ぼんやりしていたのですね」
「していたか?」
「ええ、返事が遅れたりしておりましたので、疲れてらっしゃるのかと思っておりました」
途中からぼんやりしていることがあり、申し訳ない気持ちになっていたのに、違ったのかと思うばかりであった。
「もし相性のいい相手がこの世にいたとしても、内術者だとは思っていなかった……」
「でも契約結婚をしていなかったら、分からなかったことですから、良かったのか……もしれませんよ?」
ルジエールは契約結婚をしたことで、両親から探すようにも、結婚するようにも言われなくなり、相手を率先して探してはいなかった。
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だからこそ、契約結婚に互いにウィンウィンであると考えていた。
「それで、フランアール様に言ったのですか?」
「いいや、言っていない。何だか、気恥ずかしくなってしまってな。間違いではないかと思ったりもしたのだが、あの感覚は初めてで……間違いではない」
「ルジエール様がそう言うのであれば、間違いないでしょうね」
再び沈黙が流れ、ルジエールもどうすればいいのかと思っているのだろう。
「フランアール様と正式に結婚されたいということですよね?」
「ああ、彼女が別の相手と結婚するなんてなったら、おかしくなりそうだ」
ルジエールはさらさらの髪の毛を掻きむしっており、混乱を極めていることは明らかであった。
「それは、ないかもしれませんね」
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「ですが、結婚をしたくないと言っていたのですから、特殊な力を考えてのことかもしれませんが……対策をすることもできないようですから……」
「それでも、ううん……」
確かにフランアールは契約結婚が終了したら、新しい相手をとは本人も、おそらく家族も思っていないだろう。
ヴァッサム公爵家でこれまでのように過ごすだけで、フランアールは変わらない姿がエバンファストにも想像ができる。だが、絶対ではない。
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