ルーレットは二度と回らない

野村にれ

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二十四回

「お前まさか自分がクローサー殿の婚約者になるつもりだったのか?クラスメイトというのは嘘だったのか?」

 ジェラルドにはまるで自分についてクローサーが何かあるような口振りだったが、それはユラリの死についてではなく、自分たちについてのことに聞こえた。

「っいえ、そんなつもりはないけど、彼も婚約者がいなくなったと思っただけよ」
「本当に?本当のことを言いなさい」
「違います……彼もクラスメイトだと言っていたではありませんか」
「それはそうだな」

 クローサーはエジュリーをクラスメイトだと言い、そのように見られていたことも気付いていない様子であった。後ろ暗いような印象は受けなかった。

「クローサー殿は後継者を降りたそうだ」
「っえ……どうして」
「そうなるのではないかと私も思っておりました」

 エジュリーは驚いたが、父親とジェラルドは頷き合った。

「責任を取ったとも言えるが、性格も考慮されたそうだ。アルターク侯爵夫妻もそうなるのではないかと思ってらっしゃったようだからな。弟君とも五歳離れているから、これから教育しても問題もないそうだ」
「そうでしたか……」

 クローサーに弟がいることは救いだったと思い、そして羨ましくもあったが、それは公爵家の後継者として口にはできないことであった。

「彼は受け入れるには時間が掛かるでしょう」
「ああ」

 ジェラルドよりもクローサーのほうがいくら婚約を解消しようと思っていた相手でも、いなくなったことに自分が関与していたことは、ぼろぼろ泣き出した姿を見て、すぐには受け入れられないだろうと考えていた。

「嫡男を降りた……?」
「そうだ。責任を取ってというところも大きいだろうが、心が辛くてたまらないそうだ。学園を卒業後は領地で療養も兼ねることになるだろう」

 両親は学園を休むことも考えらたが、クローサーはそれはできないと卒業だけはすると、ゆえに卒業してからゆっくりさせようということになった。

 エジュリーもクローサーは辛そうではあったが、それでも後継者を降りることなど聞いていないという気持ちであった。

 確かに父に話すなと言われたことで、距離は取っていたが、そんな重要なことをどうして言ってくれなかったのかとショックを受けていた。

「エジュリー、クローサー殿にあれこれ聞くようなことをしてはならぬぞ」
「でも」
「それでなくとも周りに少なからず疑いの目で見られているのだ。お前は間違えたのだから、次はない」
「でも」
「でも何だ?何か言いたいことがあるのか?」
「クローサー様はどうするんですか、貴族なのに」
「持っている爵位を継ぐことになるだろう。子爵だったかな?婚約もだが、結婚を焦る必要もないだろうかな」

 領地を持たない爵位であるために、弟が結婚しない、子どもが生まれないとなれば、話は変わって来るかもしれないが、今のところ後継者は必要ない。

 心が落ち着けば、結婚をしたいと思うかもしれないが、今はそのようなことは考えられないだろう。

「子爵……」
「エジュリー……お前、やはりユラリ嬢の後にクローサー殿の婚約者になるつもりだったのではないか?」

 ジェラルドはエジュリーの含みのある様子に、疑いを再燃させた。

「確かにユラリ嬢が亡くなっていなかったら、婚約を解消されて、クローサー殿の婚約者の立場が空くからな」
「エジュリー、まさか本当にそんなことを考えていたの?」

 母親は目を吊り上げて、エジュリーを睨み付けた。

「ちが、違うわ」
「おまえはそのつもりだったが、クローサー殿には話しておらず、彼はそうは思っていなかっただけじゃないのか!」
「違うわ!彼も!あっ……」

 思わず口を滑らせ、すぐに口を押えたが、その顔は認めたようなものであった。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

どうにか三十話までは届かずに最終回を迎えれそうです。
それでもおかしいのですけども……
短いならと読んでくださった方には申し訳ありません。

最後までどうぞよろしくお願いいたします。

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