24 / 26
二十四回
「お前まさか自分がクローサー殿の婚約者になるつもりだったのか?クラスメイトというのは嘘だったのか?」
ジェラルドにはまるで自分についてクローサーが何かあるような口振りだったが、それはユラリの死についてではなく、自分たちについてのことに聞こえた。
「っいえ、そんなつもりはないけど、彼も婚約者がいなくなったと思っただけよ」
「本当に?本当のことを言いなさい」
「違います……彼もクラスメイトだと言っていたではありませんか」
「それはそうだな」
クローサーはエジュリーをクラスメイトだと言い、そのように見られていたことも気付いていない様子であった。後ろ暗いような印象は受けなかった。
「クローサー殿は後継者を降りたそうだ」
「っえ……どうして」
「そうなるのではないかと私も思っておりました」
エジュリーは驚いたが、父親とジェラルドは頷き合った。
「責任を取ったとも言えるが、性格も考慮されたそうだ。アルターク侯爵夫妻もそうなるのではないかと思ってらっしゃったようだからな。弟君とも五歳離れているから、これから教育しても問題もないそうだ」
「そうでしたか……」
クローサーに弟がいることは救いだったと思い、そして羨ましくもあったが、それは公爵家の後継者として口にはできないことであった。
「彼は受け入れるには時間が掛かるでしょう」
「ああ」
ジェラルドよりもクローサーのほうがいくら婚約を解消しようと思っていた相手でも、いなくなったことに自分が関与していたことは、ぼろぼろ泣き出した姿を見て、すぐには受け入れられないだろうと考えていた。
「嫡男を降りた……?」
「そうだ。責任を取ってというところも大きいだろうが、心が辛くてたまらないそうだ。学園を卒業後は領地で療養も兼ねることになるだろう」
両親は学園を休むことも考えらたが、クローサーはそれはできないと卒業だけはすると、ゆえに卒業してからゆっくりさせようということになった。
エジュリーもクローサーは辛そうではあったが、それでも後継者を降りることなど聞いていないという気持ちであった。
確かに父に話すなと言われたことで、距離は取っていたが、そんな重要なことをどうして言ってくれなかったのかとショックを受けていた。
「エジュリー、クローサー殿にあれこれ聞くようなことをしてはならぬぞ」
「でも」
「それでなくとも周りに少なからず疑いの目で見られているのだ。お前は間違えたのだから、次はない」
「でも」
「でも何だ?何か言いたいことがあるのか?」
「クローサー様はどうするんですか、貴族なのに」
「持っている爵位を継ぐことになるだろう。子爵だったかな?婚約もだが、結婚を焦る必要もないだろうかな」
領地を持たない爵位であるために、弟が結婚しない、子どもが生まれないとなれば、話は変わって来るかもしれないが、今のところ後継者は必要ない。
心が落ち着けば、結婚をしたいと思うかもしれないが、今はそのようなことは考えられないだろう。
「子爵……」
「エジュリー……お前、やはりユラリ嬢の後にクローサー殿の婚約者になるつもりだったのではないか?」
ジェラルドはエジュリーの含みのある様子に、疑いを再燃させた。
「確かにユラリ嬢が亡くなっていなかったら、婚約を解消されて、クローサー殿の婚約者の立場が空くからな」
「エジュリー、まさか本当にそんなことを考えていたの?」
母親は目を吊り上げて、エジュリーを睨み付けた。
「ちが、違うわ」
「おまえはそのつもりだったが、クローサー殿には話しておらず、彼はそうは思っていなかっただけじゃないのか!」
「違うわ!彼も!あっ……」
思わず口を滑らせ、すぐに口を押えたが、その顔は認めたようなものであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
どうにか三十話までは届かずに最終回を迎えれそうです。
それでもおかしいのですけども……
短いならと読んでくださった方には申し訳ありません。
最後までどうぞよろしくお願いいたします。
ジェラルドにはまるで自分についてクローサーが何かあるような口振りだったが、それはユラリの死についてではなく、自分たちについてのことに聞こえた。
「っいえ、そんなつもりはないけど、彼も婚約者がいなくなったと思っただけよ」
「本当に?本当のことを言いなさい」
「違います……彼もクラスメイトだと言っていたではありませんか」
「それはそうだな」
クローサーはエジュリーをクラスメイトだと言い、そのように見られていたことも気付いていない様子であった。後ろ暗いような印象は受けなかった。
「クローサー殿は後継者を降りたそうだ」
「っえ……どうして」
「そうなるのではないかと私も思っておりました」
エジュリーは驚いたが、父親とジェラルドは頷き合った。
「責任を取ったとも言えるが、性格も考慮されたそうだ。アルターク侯爵夫妻もそうなるのではないかと思ってらっしゃったようだからな。弟君とも五歳離れているから、これから教育しても問題もないそうだ」
「そうでしたか……」
クローサーに弟がいることは救いだったと思い、そして羨ましくもあったが、それは公爵家の後継者として口にはできないことであった。
「彼は受け入れるには時間が掛かるでしょう」
「ああ」
ジェラルドよりもクローサーのほうがいくら婚約を解消しようと思っていた相手でも、いなくなったことに自分が関与していたことは、ぼろぼろ泣き出した姿を見て、すぐには受け入れられないだろうと考えていた。
「嫡男を降りた……?」
「そうだ。責任を取ってというところも大きいだろうが、心が辛くてたまらないそうだ。学園を卒業後は領地で療養も兼ねることになるだろう」
両親は学園を休むことも考えらたが、クローサーはそれはできないと卒業だけはすると、ゆえに卒業してからゆっくりさせようということになった。
エジュリーもクローサーは辛そうではあったが、それでも後継者を降りることなど聞いていないという気持ちであった。
確かに父に話すなと言われたことで、距離は取っていたが、そんな重要なことをどうして言ってくれなかったのかとショックを受けていた。
「エジュリー、クローサー殿にあれこれ聞くようなことをしてはならぬぞ」
「でも」
「それでなくとも周りに少なからず疑いの目で見られているのだ。お前は間違えたのだから、次はない」
「でも」
「でも何だ?何か言いたいことがあるのか?」
「クローサー様はどうするんですか、貴族なのに」
「持っている爵位を継ぐことになるだろう。子爵だったかな?婚約もだが、結婚を焦る必要もないだろうかな」
領地を持たない爵位であるために、弟が結婚しない、子どもが生まれないとなれば、話は変わって来るかもしれないが、今のところ後継者は必要ない。
心が落ち着けば、結婚をしたいと思うかもしれないが、今はそのようなことは考えられないだろう。
「子爵……」
「エジュリー……お前、やはりユラリ嬢の後にクローサー殿の婚約者になるつもりだったのではないか?」
ジェラルドはエジュリーの含みのある様子に、疑いを再燃させた。
「確かにユラリ嬢が亡くなっていなかったら、婚約を解消されて、クローサー殿の婚約者の立場が空くからな」
「エジュリー、まさか本当にそんなことを考えていたの?」
母親は目を吊り上げて、エジュリーを睨み付けた。
「ちが、違うわ」
「おまえはそのつもりだったが、クローサー殿には話しておらず、彼はそうは思っていなかっただけじゃないのか!」
「違うわ!彼も!あっ……」
思わず口を滑らせ、すぐに口を押えたが、その顔は認めたようなものであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
どうにか三十話までは届かずに最終回を迎えれそうです。
それでもおかしいのですけども……
短いならと読んでくださった方には申し訳ありません。
最後までどうぞよろしくお願いいたします。
あなたにおすすめの小説
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。
父親は怒り、修道院に入れようとする。
そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。
学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。
ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。
私の婚約者は誰?
しゃーりん
恋愛
伯爵令嬢ライラは、2歳年上の伯爵令息ケントと婚約していた。
ところが、ケントが失踪(駆け落ち)してしまう。
その情報を聞き、ライラは意識を失ってしまった。
翌日ライラが目覚めるとケントのことはすっかり忘れており、自分の婚約者がケントの父、伯爵だと思っていた。
婚約者との結婚に向けて突き進むライラと、勘違いを正したい両親&伯爵のお話です。
(完)婚約解消からの愛は永遠に
青空一夏
恋愛
エリザベスは、火事で頬に火傷をおった。その為に、王太子から婚約解消をされる。
両親からも疎まれ妹からも蔑まれたエリザベスだが・・・・・・
5話プラスおまけで完結予定。
婚約者の心変わり? 〜愛する人ができて幸せになれると思っていました〜
冬野月子
恋愛
侯爵令嬢ルイーズは、婚約者であるジュノー大公国の太子アレクサンドが最近とある子爵令嬢と親しくしていることに悩んでいた。
そんなある時、ルイーズの乗った馬車が襲われてしまう。
死を覚悟した前に現れたのは婚約者とよく似た男で、彼に拐われたルイーズは……
突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました
景
恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。
メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始