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妊娠疑惑
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「妊娠している可能性は?」
「えっ…」
「生理が来ていないのでしょう?」
「妊娠しているの?」
気付いているとは思っていなかったが、キョトンとした様子に、可能性すら考えていなかったのだろう。
「まだ分からないわ」
「えっ、えっ、どうしたらいいの?ディランは?ディランの子どもなのよ?」
「そうではなかったのでしょう、見付けるのは困難だと思うわ」
「でも、妊娠していたら父親なのよ!」
「もし、平民だったらどうするの?」
何者なのかは分からないが、公爵令息に成りすますなど、まともな人間とは思えない。どんな目的があったのか分からないが、平民の可能性もある。
「え?」
「貴族令息ですらなく、ただの平民だったら、それでも父親だと、愛し合っていると言える?」
「そんなことあるはずないもの、とても整った顔をしているのよ」
「整った顔の平民もいるでしょう」
「でも身なりだって上等だったわ」
お金さえあれば、上等そうに見せかけることはいくらだって出来る。お金のある平民だっている上に、詐欺師などであったならば、そのお金でそのような身なりをしていたのかもしれない。
「それだけで信じられるの?元々、会ったこともなかった方なのでしょう?」
「名前だって確認したわ」
「顔は確認、出来ていなかったのでしょう?」
バトワスがディラン・パスドアーツの写真がなかなか手に入らなかったように、ドリーツ王国ではそうではないのかもしれないが、他国ではあまり顔は知られていなかったのだろう。
「せめて誰かに訊ねるか、学会ならば行ってみるとか、こちらに知らせるかすることも出来たでしょう」
「それは…」
「そこまで頭が働かなかった?関係まで持ったのに?」
オリビアはアマリリスといい、カメリアといい、おかげでバトワスのやることがまた増えて、構って貰えないじゃないとも思っていた。
「私は王女なのよ?そんな相手を騙そうだなんて思うはずないじゃない」
「出会った時に王女だと言ったの?」
「最初は言わなかったけど、親しくなってから、明かしたわ」
バトワスからお金も渡したそうだが、たいした額ではないことは聞いていた。そもそも、カメリアは予算で行っていたので、たいしたお金を持っておらず、渡しようもなかっただろう。
「妊娠はまだ分かりませんが、どちらにしろ、もうあなたは乙女を条件とする結婚は望めませんよ」
「だから、ディランと!」
「どこにいるというのです!そんなに言うならば、自分の予算を使って、探しにでも行きなさい!王女として失格な行動をした自覚もないのですか!」
何度言っても分からない様子に、苛立ちを抑えきれずに、再び怒鳴り付けた。
「っ…探してくれてもいいじゃない」
「どうやって探すのです?偽名だったのなら、分かるのは顔だけでしょう?似顔絵でも書いて、訊ねて歩くのですか?」
「トリンス王国に、あっ、国に戻るって…」
トリンス王国に行けばと思ったが、ディランも国に戻ると言っていた。だから、申し込みがあるのを待っていたのである。
「滞在先は知っていたのですか?」
「ホテルを転々としているって…」
「はあ…侍女とメイドは何をしていたの!」
「いつも迎えに来てもらって、二人きりだったから…」
関係を持つには最適な環境だったということか、15歳の王女によくもと思うが、カメリアがこの調子ならば、簡単だっただろう。
「当分、部屋から出ることを禁じます。食事も部屋に運びますから、謹慎していなさい。分かりましたね?」
「…はい」
カメリアの妊娠の有無が分かるまでは、人前に晒すわけにはいかない。もはや、妊娠していないことを願うしかない状況であった。
バトワスはパスドアーツ公爵家に、文を書いていた。
「えっ…」
「生理が来ていないのでしょう?」
「妊娠しているの?」
気付いているとは思っていなかったが、キョトンとした様子に、可能性すら考えていなかったのだろう。
「まだ分からないわ」
「えっ、えっ、どうしたらいいの?ディランは?ディランの子どもなのよ?」
「そうではなかったのでしょう、見付けるのは困難だと思うわ」
「でも、妊娠していたら父親なのよ!」
「もし、平民だったらどうするの?」
何者なのかは分からないが、公爵令息に成りすますなど、まともな人間とは思えない。どんな目的があったのか分からないが、平民の可能性もある。
「え?」
「貴族令息ですらなく、ただの平民だったら、それでも父親だと、愛し合っていると言える?」
「そんなことあるはずないもの、とても整った顔をしているのよ」
「整った顔の平民もいるでしょう」
「でも身なりだって上等だったわ」
お金さえあれば、上等そうに見せかけることはいくらだって出来る。お金のある平民だっている上に、詐欺師などであったならば、そのお金でそのような身なりをしていたのかもしれない。
「それだけで信じられるの?元々、会ったこともなかった方なのでしょう?」
「名前だって確認したわ」
「顔は確認、出来ていなかったのでしょう?」
バトワスがディラン・パスドアーツの写真がなかなか手に入らなかったように、ドリーツ王国ではそうではないのかもしれないが、他国ではあまり顔は知られていなかったのだろう。
「せめて誰かに訊ねるか、学会ならば行ってみるとか、こちらに知らせるかすることも出来たでしょう」
「それは…」
「そこまで頭が働かなかった?関係まで持ったのに?」
オリビアはアマリリスといい、カメリアといい、おかげでバトワスのやることがまた増えて、構って貰えないじゃないとも思っていた。
「私は王女なのよ?そんな相手を騙そうだなんて思うはずないじゃない」
「出会った時に王女だと言ったの?」
「最初は言わなかったけど、親しくなってから、明かしたわ」
バトワスからお金も渡したそうだが、たいした額ではないことは聞いていた。そもそも、カメリアは予算で行っていたので、たいしたお金を持っておらず、渡しようもなかっただろう。
「妊娠はまだ分かりませんが、どちらにしろ、もうあなたは乙女を条件とする結婚は望めませんよ」
「だから、ディランと!」
「どこにいるというのです!そんなに言うならば、自分の予算を使って、探しにでも行きなさい!王女として失格な行動をした自覚もないのですか!」
何度言っても分からない様子に、苛立ちを抑えきれずに、再び怒鳴り付けた。
「っ…探してくれてもいいじゃない」
「どうやって探すのです?偽名だったのなら、分かるのは顔だけでしょう?似顔絵でも書いて、訊ねて歩くのですか?」
「トリンス王国に、あっ、国に戻るって…」
トリンス王国に行けばと思ったが、ディランも国に戻ると言っていた。だから、申し込みがあるのを待っていたのである。
「滞在先は知っていたのですか?」
「ホテルを転々としているって…」
「はあ…侍女とメイドは何をしていたの!」
「いつも迎えに来てもらって、二人きりだったから…」
関係を持つには最適な環境だったということか、15歳の王女によくもと思うが、カメリアがこの調子ならば、簡単だっただろう。
「当分、部屋から出ることを禁じます。食事も部屋に運びますから、謹慎していなさい。分かりましたね?」
「…はい」
カメリアの妊娠の有無が分かるまでは、人前に晒すわけにはいかない。もはや、妊娠していないことを願うしかない状況であった。
バトワスはパスドアーツ公爵家に、文を書いていた。
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