【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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原因

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「そ、そうなのですか…?」

 この場で言うわけにはいかないが、正直、ハビット王国の歴史は知らない。

「はい…さすがに生きている方、話を聞いた方も生きてはいないので、歴史の記録を見る限りにはなってしまうのですが」
「何か原因があるのでしょうか?」
「いえ、原因があるのならば、我が国よりもアジェル王国なら、分かるのではないかと思っているのです」

 200年以上前と言ったことから、誰かに聞いたわけではない。歴史上、そうであって、でもアジェル王国はバトワスがそうであるように、前はこんなことはなかったと口にする人間がいるということである。

「それで…そうでしたか」
「はい、何か変わったことはなかったか、前兆はなかったかなど、お話を聞けないかと思いまして、訪ねさせていただきました」
「分かりました。私共としても原因があるのなら知りたいですから、調査機関がありますので、そちらの者を紹介します」

 アジェル王国も何もせず、ただ待っているわけではない。天候を調べたり、水をどこかから引けないかや、環境調査も行われている。

「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「私どもも、研究者を連れて来ております。拝見してもいい調査結果をお願い出来ればと思います」

 既にハビット王国では、研究をしているような状況となっていた。

「分かりました、陛下に許可を得た物を調査機関に伝えて置きます」
「ありがとうございます」

 自国では200年以上前のことは調べるにも限界があり、アジェル王国に二人はわざわざやって来たのだろう。

 陛下も原因があるのならば、是非と言い、隠すような物はないので、気候や環境調査については全て見せてもいいという許可を得た。

 警備の関係もあり、王太子殿下と王女殿下たちは王宮に滞在することになった。

 アッシュ第一王子とパベル第三王子、カメリア第二王女はいないが、第二王子・オークリーと、五人の王女にも会うことになった。

「しばらく滞在させていただきます。よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いいたします」

 オークリーはメーリン王女殿下に、王女たちはルークア王太子殿下の美しさに釘付けになった。

 バトワスが天候のことで話を聞くためにやって来られたと説明をしたのだが、オークリーも王女たちも浮足立っていた。

 10歳以下の王女たちは格好いいという可愛いものであったが、オークリーと、アマリリス、第三王女・ライラックは訪ねて来るということは、アジェル王国にも好意的だと受け止めた。

 だが、ルークア王太子殿下とメーリン王女殿下は、目的があって来ているので、のんびりしている暇はなく、紹介して貰った調査機関から話を聞いたり、天候の書かれた記録を読んだり、忙しそうであった。

 バトワスとしても、援助を受けることが出来そうにもないハビット王国に旨味はないと、判断していたので、子どもたちと積極的に交流を持たせる気もなかった。

 だが、オークリーと、アマリリス、ライラックは違い、二人に積極的に関わりを持とうとした。

「お茶でもいかがですか」
「折角いらしているのですから、交流は大事ですわよ」
「是非、ハビット王国のことをお聞きしたいですわ」

 ルークアは訪ねている立場なので、やんわりと断っていたのだが、時間が惜しいためにバトワスに話をさせて貰うことにした。

「申し訳ないのですが、王子殿下や王女殿下からのお誘いは、お断りしてもよろしいですか」
「っな、王子や王女がですか?」
「はい…毎日、お茶に誘っていただくのですが、滞在も限られておりますので、時間はいくらあっても足りないところでして、大変申し訳ないのですが…」
「いえ、こちらこど申し訳ない、お誘いしないように伝えますので」
「よろしくお願いいたします」

 多少の話をすることはまだいいが、お茶に誘っていたなどとは思わなかった。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は、17時にもう1話投稿させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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