【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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再調査3

「他にも婚約を解消している方も多いのですね」

 変化として婚約を解消をした、別の相手と婚約をして、結婚したという記載が多く見られた。

「はい…先程のマクローズ伯爵のことが引き金になって、不満を持っていた者が婚約を解消したのです」
「お相手が出て行ったのにですか?」

 穏便に解消が出来ずに破棄になって、相手の一家は出て行ったという、メーリンは良い結果とは思えないのに、引き金になるのかが疑問であった。

「はい…想う相手と結婚したいと憧れてしまったのですかね」

 調査員はそう言ったが、バトワスが支持したことが大きいと思っているが、さすがに口にすることは出来ない。

「親も、マクローズ伯爵のように自殺を図られたらと思うと、認めるしかなかったという部分もあります」
「それはそうですね…」

 自分の子どもも自殺をされるくらいなら、余程の相手でなければ認めようとなったのだろう。

「認められなかった者も、婚約解消が出来なかった者もいたと思います」
「それでも、恋愛結婚が増えたということなのですね」
「はい…政略結婚をした方も多くいるのですが、マクローズ伯爵のことと、その後の解消のことでそう思われているのが現状です」
「目立つ方を見てしまいますからね」

 どうしても今まであったものよりも、新しく悪目立ちする方に注目されてしまったのだろうと、メーリンも思った。

「はい…今となっては、離縁した夫妻も多いのですけどね」

 王族と違って、貴族の離縁は国外にも大々的に発表しているわけではないが、ゴシップ誌にも書かれているので、思わず口にせずにはいられなかった。

「そうなのですか?」
「はい…政略結婚のように少なからず割り切った部分を持つ結婚と、ただ好きだという気持ちの結婚だと、やはり気持ちの方がままならないのでしょう」

 メーリンも王族であるため、その言葉は十分に理解が出来た。

「背負っているものの違いですね」
「はい、今回は王太子殿下が引き金になったというべきでしょうか」
「それは…」

 調査員もそれ以上を言うことはないが、不貞行為による離縁は発表されているので、メーリンも不満を持っている夫妻が王太子殿下も離縁したならと、追随したのだろうと感じた。

「ハビット王国ではいかがですか?恋愛結婚は少ないですか?」
「恋愛結婚と言っていいのか分かりませんが、どちらかが想って、恋人になってということもあると思います」
「そうですよね…」

 恋愛結婚と言ってもそういったことを言うのだろうと、だが我が国はマクローズ伯爵のせいで、過激な恋愛結婚の印象が付いてしまった。

 だが、離縁した夫妻も多いことで、これからは名前が変わるかもしれないなと、自嘲した。

「ですが、そのおかげもあって、沢山お子様がお生まれになっておりますでしょう」

 調査員の落ち込んだ様子にメーリンは、異常だとも思っているが、唯一の良いところでフォローしようと考えた。

「ええ、でも異常ではありませんか?」
「えっ?」

 メーリンも、兄であるルークアも思っていたが、バトワスはそう思っていない様子であった。

「そうお思いになりませんか?」
「正直、はい…」
「自国の人間でもそう思っています」
「そうなのですか?以前、王太子殿下に伺った際は、恋愛結婚が増えたからだと、納得されている様子でした」
「それも否定は出来ませんが、先程も申し上げたように、政略結婚の夫妻にも子どもが多いのです」

 メーリンも恋愛結婚のおかげという点には納得はしていなかったが、政略結婚の夫妻には子どもが少ないわけではないことが抜け落ちていた。

「理由は分かっておいでなのですか?」
「嫁入り前の王女殿下に、口にすることではないとは思うのですが…」

 調査員にとって、娘と同じくらいとも言える若い女性、ましてや王族に言うことは憚られた。

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