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責任
「陛下が目を覚まされたら、相談してみるわ」
「ですが、そのことで心労があるのならば、母上や私がどうにかするべきではありませんか」
「それは…そうね」
「事情を聞いて、父上が休めるように私たちが動きましょう」
「ええ」
医師はその様子に陛下を思う気持ちはあるが、王妃も王太子も、自分のことばかりだと感じずにはいられなかった。
朝方、目を覚ましたオイスラッドは、ゆっくりと何があったか思い出していた。
「陛下、目覚められましたか?」
しばらくすると、何度か様子を見に来ていた医師が、ベットに座っている陛下に声を掛けた。
「ああ、倒れたんだな」
「はい、心配しました」
「すまなかったな、過労か?」
「そのように思います。流行り病ではないと思いますが、念のため検査を行って、安静にしていただければいいと思います」
「分かった、だが薬のことがあるからな」
手紙は既に送ったが、返事を待ってから、規制に願い出て、オイスラッド自ら頼みに向かうしかないと考えていた。
「王妃陛下と王太子殿下が、代わりにされるとおっしゃっておりましたよ」
「あれらに出来るか?」
医師は陛下が王太子時代から診て貰っており、気安い関係である。
「王妃陛下は、自分のせいだとは伝えたくない様子でございました」
「はあ…」
「伝えても前侯爵夫人のためだったと、嘆かれることでしょうね」
「ああ…」
朝まで横になり、シンバリアとバトワスがオイスラッドの元へやって来た。
シンバリアはオイスラッドに自分のせいであることを口止めしたかったが、バトワスもやって来てしまった。
「あなた!」
「父上!」
「大きな声を出すな、頭に響く」
「ご、ごめんなさい」
「申し訳ありません!薬のことは私と母上で、探してみますから、ゆっくり休んでください」
本来なら息子の頼もしい言葉のはずが、出来るのか、余計に輸入が出来なくなるのではないかと、不安の方が多かった。だが、無理に動いて、体を悪してはならない。返事が来るまでは、動いて貰うしかない。
「カイニー王国とオルタナ王国には謝罪と今後はこのようなことがないようにすると、今一度、輸入させて欲しいと手紙を送っている」
「謝罪ですか?」
その言葉にビクリとしたのは、シンバリアであった。
「ああ、王妃が他の重症者を差し置いて、リアット義母上を優先しろと条件を無視して言い、断られることになったんだ」
「…え」
「バトワス、違うの!」
シンバリアは大きな声を出して、バトワスに向かっていいわけを始めた。
「優先して欲しいと言ったわけではなの。貴方だって、お母様を心配していたのだから、分かるでしょう?」
優先しろと口にしたわけではないが、重症者でもなかったのに、たった一人だけ王妃が自らの口で、診て欲しいと口にしたのである。病院で最初の病室にいたというわけでもない。
「診ないといっていたわけではない、重症者が優先だと言っただけだ」
「母親を心配して何が悪いのよ!」
「心配ではなく、優先しろと言ったのも同様だ。そのことで、カイニー王国からの輸入は出来なくなった。民は我慢したというのに」
大切な人をを優先して欲しいと、皆が思っていただろう。だが、医師に従うように言われて、懇願した者もいたそうだが、本当に危険な状態の患者であった。
「王妃として、接するように言っただろう?お前がやったのは、王妃の立場を使っただけだ」
「そのくらいいいじゃない」
「それがこの結果だ…」
「それは…」
祖母が助かったのは勿論良かったと思っていたが、そんな裏話があったのかと、話を聞いていたバトワスが、ようやく口を開いた。
「カイニー王国は母上のせいだとして、オルタナ王国にも断られたのですか?」
「っ」
プライドの高いシンバリアは、未だに自分のせいだとは認められない。
「ですが、そのことで心労があるのならば、母上や私がどうにかするべきではありませんか」
「それは…そうね」
「事情を聞いて、父上が休めるように私たちが動きましょう」
「ええ」
医師はその様子に陛下を思う気持ちはあるが、王妃も王太子も、自分のことばかりだと感じずにはいられなかった。
朝方、目を覚ましたオイスラッドは、ゆっくりと何があったか思い出していた。
「陛下、目覚められましたか?」
しばらくすると、何度か様子を見に来ていた医師が、ベットに座っている陛下に声を掛けた。
「ああ、倒れたんだな」
「はい、心配しました」
「すまなかったな、過労か?」
「そのように思います。流行り病ではないと思いますが、念のため検査を行って、安静にしていただければいいと思います」
「分かった、だが薬のことがあるからな」
手紙は既に送ったが、返事を待ってから、規制に願い出て、オイスラッド自ら頼みに向かうしかないと考えていた。
「王妃陛下と王太子殿下が、代わりにされるとおっしゃっておりましたよ」
「あれらに出来るか?」
医師は陛下が王太子時代から診て貰っており、気安い関係である。
「王妃陛下は、自分のせいだとは伝えたくない様子でございました」
「はあ…」
「伝えても前侯爵夫人のためだったと、嘆かれることでしょうね」
「ああ…」
朝まで横になり、シンバリアとバトワスがオイスラッドの元へやって来た。
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「あなた!」
「父上!」
「大きな声を出すな、頭に響く」
「ご、ごめんなさい」
「申し訳ありません!薬のことは私と母上で、探してみますから、ゆっくり休んでください」
本来なら息子の頼もしい言葉のはずが、出来るのか、余計に輸入が出来なくなるのではないかと、不安の方が多かった。だが、無理に動いて、体を悪してはならない。返事が来るまでは、動いて貰うしかない。
「カイニー王国とオルタナ王国には謝罪と今後はこのようなことがないようにすると、今一度、輸入させて欲しいと手紙を送っている」
「謝罪ですか?」
その言葉にビクリとしたのは、シンバリアであった。
「ああ、王妃が他の重症者を差し置いて、リアット義母上を優先しろと条件を無視して言い、断られることになったんだ」
「…え」
「バトワス、違うの!」
シンバリアは大きな声を出して、バトワスに向かっていいわけを始めた。
「優先して欲しいと言ったわけではなの。貴方だって、お母様を心配していたのだから、分かるでしょう?」
優先しろと口にしたわけではないが、重症者でもなかったのに、たった一人だけ王妃が自らの口で、診て欲しいと口にしたのである。病院で最初の病室にいたというわけでもない。
「診ないといっていたわけではない、重症者が優先だと言っただけだ」
「母親を心配して何が悪いのよ!」
「心配ではなく、優先しろと言ったのも同様だ。そのことで、カイニー王国からの輸入は出来なくなった。民は我慢したというのに」
大切な人をを優先して欲しいと、皆が思っていただろう。だが、医師に従うように言われて、懇願した者もいたそうだが、本当に危険な状態の患者であった。
「王妃として、接するように言っただろう?お前がやったのは、王妃の立場を使っただけだ」
「そのくらいいいじゃない」
「それがこの結果だ…」
「それは…」
祖母が助かったのは勿論良かったと思っていたが、そんな裏話があったのかと、話を聞いていたバトワスが、ようやく口を開いた。
「カイニー王国は母上のせいだとして、オルタナ王国にも断られたのですか?」
「っ」
プライドの高いシンバリアは、未だに自分のせいだとは認められない。
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