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お断りします
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「あの方はどなたなのですか?」
「レオラッド大公閣下です」
「では、フォンターナ家は?」
「約束のない方はお断りすると言われました。門番でさえ、断られたこともご存知だったわ」
「ですが、王女殿下は王族です」
トーマスもメーリンと同じように、王族なのだから、今日はもし断られたとしても、わざわざ訪ねて来た相手を無碍にすることはないと考えていた。
「ですから、レオラッド大公閣下が来られたのかもしれません。どうして来たのか、説明するようにと…王宮に向かっています」
「大公家ではなく?」
「王宮とおっしゃったわ、大公家なら奥様がいたかもしれないのに」
メーリンも同じことを思ったが、さすがにこちらに非があり、王家と言われたのに、大公家で話したいとは言えなかった。
「きちんと説明すれば、こちらのことを理解して貰えるのではありませんか」
「そうだといいのだけど、お顔が怖くて、怒ってらっしゃるのかもしれません。どうにかフォンターナ家が駄目なら、大公家に連れて行って貰わなくてはならないのに」
「ですが、相手は大公家です。あまり無理は申せません」
「でも、同じ王族なのよ?間に入って、入れてくれてもいいのにと思わない?折角、ついにお話が出来ると思ったのに。予定が狂ってしまったじゃない」
こちらの勝手な予定で、あちらに非はないのに、トーマスはメーリンの様子に、大丈夫だろうかという不安を抱えながらも、王宮に到着し、応接室に案内された。
不安を感じ取れていないメーリンは、王宮を見ながら伝統を重んじながらも、清潔で明るく、ハビット王国の王宮もこうあればなどと考えていた。
メイドによって、お茶が入れられ、嗅いだことのない花のような香りがし、声が出そうなほど美味しかった。
そして、レオラッド大公閣下が現れ、メーリンは立ち上がらなかったが、トーマスたちは立ち上がって、素早く頭を下げた。
「座ってください。お茶もどうぞお飲みください」
「ありがとうございます」
皆が席に着き、レオラッド大公閣下の前にもお茶が置かれた。
改めて見ても、親よりは年下だが、20代にしか見えない姿にメーリンは驚いた。
「それで、王女殿下、理由をお聞かせ願えますか」
「フォンターナ家のご当主に、お話を聞きたいだけなのです。どうか、レオラッド大公閣下からお取次ぎいただけませんか」
「そのようなことは聞いておりません。なぜ王家が断ったはずが、来られたのかを聞いております」
メーリンは切実なのだという思いを、レオラッド大公閣下に伝えたつもりだったが、淡々と指摘されることになった。
「…それは、どうしても話が聞きたく、会って貰えないかと思い、来ました」
「では、改めてお断りします」
メイリクスは表情を一切変えずに、言い切った。
「ご多忙であれば、少しで良いのです」
「ええ、多忙ですので、私が代わりに断っているのです」
「では、ご当主でなくとも構いません。どなたか、フォンターナ家の方に、会わせてはいただけませんか」
「お断りします」
「なぜですか?」
「それは私が聞きたいくらいです。フォンターナ家の方々は多忙です。ですから王家が断ったにも関わらず、あなた方はやって来たのでしょう?」
トーマスたちは口を開くことは出来ず、メーリンが答えるしかない。
「フォンターナ家の歴史に、ハビット王国と関わりがあるかもしれないのです」
レオラッド大公閣下は、それでも何の表情も変えない。
「大公閣下の奥様がフォンターナ家の方なのですよね?奥様でも構いません、会わせて貰えませんか」
メイリクスは『奥様でも』という言葉に、怒りが込み上げた。
「フォンターナ邸も分からなかったのに、どうして私の妻を知っているのですか?」
その問い掛けで、メーリンは案内所で邸の場所を聞いたことも知っているのだと、どうすればいいのかと言葉に詰まった。
「レオラッド大公閣下です」
「では、フォンターナ家は?」
「約束のない方はお断りすると言われました。門番でさえ、断られたこともご存知だったわ」
「ですが、王女殿下は王族です」
トーマスもメーリンと同じように、王族なのだから、今日はもし断られたとしても、わざわざ訪ねて来た相手を無碍にすることはないと考えていた。
「ですから、レオラッド大公閣下が来られたのかもしれません。どうして来たのか、説明するようにと…王宮に向かっています」
「大公家ではなく?」
「王宮とおっしゃったわ、大公家なら奥様がいたかもしれないのに」
メーリンも同じことを思ったが、さすがにこちらに非があり、王家と言われたのに、大公家で話したいとは言えなかった。
「きちんと説明すれば、こちらのことを理解して貰えるのではありませんか」
「そうだといいのだけど、お顔が怖くて、怒ってらっしゃるのかもしれません。どうにかフォンターナ家が駄目なら、大公家に連れて行って貰わなくてはならないのに」
「ですが、相手は大公家です。あまり無理は申せません」
「でも、同じ王族なのよ?間に入って、入れてくれてもいいのにと思わない?折角、ついにお話が出来ると思ったのに。予定が狂ってしまったじゃない」
こちらの勝手な予定で、あちらに非はないのに、トーマスはメーリンの様子に、大丈夫だろうかという不安を抱えながらも、王宮に到着し、応接室に案内された。
不安を感じ取れていないメーリンは、王宮を見ながら伝統を重んじながらも、清潔で明るく、ハビット王国の王宮もこうあればなどと考えていた。
メイドによって、お茶が入れられ、嗅いだことのない花のような香りがし、声が出そうなほど美味しかった。
そして、レオラッド大公閣下が現れ、メーリンは立ち上がらなかったが、トーマスたちは立ち上がって、素早く頭を下げた。
「座ってください。お茶もどうぞお飲みください」
「ありがとうございます」
皆が席に着き、レオラッド大公閣下の前にもお茶が置かれた。
改めて見ても、親よりは年下だが、20代にしか見えない姿にメーリンは驚いた。
「それで、王女殿下、理由をお聞かせ願えますか」
「フォンターナ家のご当主に、お話を聞きたいだけなのです。どうか、レオラッド大公閣下からお取次ぎいただけませんか」
「そのようなことは聞いておりません。なぜ王家が断ったはずが、来られたのかを聞いております」
メーリンは切実なのだという思いを、レオラッド大公閣下に伝えたつもりだったが、淡々と指摘されることになった。
「…それは、どうしても話が聞きたく、会って貰えないかと思い、来ました」
「では、改めてお断りします」
メイリクスは表情を一切変えずに、言い切った。
「ご多忙であれば、少しで良いのです」
「ええ、多忙ですので、私が代わりに断っているのです」
「では、ご当主でなくとも構いません。どなたか、フォンターナ家の方に、会わせてはいただけませんか」
「お断りします」
「なぜですか?」
「それは私が聞きたいくらいです。フォンターナ家の方々は多忙です。ですから王家が断ったにも関わらず、あなた方はやって来たのでしょう?」
トーマスたちは口を開くことは出来ず、メーリンが答えるしかない。
「フォンターナ家の歴史に、ハビット王国と関わりがあるかもしれないのです」
レオラッド大公閣下は、それでも何の表情も変えない。
「大公閣下の奥様がフォンターナ家の方なのですよね?奥様でも構いません、会わせて貰えませんか」
メイリクスは『奥様でも』という言葉に、怒りが込み上げた。
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その問い掛けで、メーリンは案内所で邸の場所を聞いたことも知っているのだと、どうすればいいのかと言葉に詰まった。
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