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帰ろうとしない
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「私では駄目かしら?」
「私で十分だと思ったのですがね」
「それもそうね。どうも、初めまして、王妃のセリーナでございます。陛下は今日は、忙しいんですの」
セリーナはメーリンの前に立ち、挨拶をしたが、メーリンはどうすれば会えるかばかりを考えていた。それはセリーナに対しても同じであった。
「はい…ですが、私がお会いしたいのはフォンターナ家の方でして」
セリーナとメイリクスは顔を向き合わせて、小さく溜息を付いた。
「陛下がお断りした上で、さらにメイリクスも断ったはずよね?」
「それは理解しております。ですが、我が国としても、どうしてもお話を伺いたく思ってのことで、汲んではいただけないでしょうか」
メーリンとしては精いっぱい遜ったつもりだったが、既にそういった話ではない。
「メイリクスが答えただけでは不服だとおっしゃるのね」
「いえ、そういうわけではありませんが、やはりフォンターナ家の方に、きちんとお話を聞きたいのです」
メーリンはフォンターナ家の方と話をするまで帰らないつもりだった。
だから、何を言われても、帰ると言う選択肢はなかったのである。
「メイリクスもフォンターナ家の一員よ?」
「それはそうですが、血筋の方とお話がしたく…難しいなら、何かフォンターナ家の歴史が分かるような物を貸していただくことは出来ませんか?」
「なぜ関係のない方にそのような物を貸すと思うの?」
「いえ、もし私たちの考えが合っていれば、フォンターナ家の方はハビット王国出身だと思うのです。ですので、関係ないより、関わりの深い方だと思っています」
セリーナはこれがメイリクスの言っていたことかと、実感した。メイリクスに向かって、視線を送ると二度小さく頷いた。
「どのような理屈か知りませんが、」
「それはまだ確定ではありませんが、我が国にフォンターナ家ではないかという記述が見付かっております」
メーリンはセリーナの言葉を遮って、話し始めた。
「本来なら現物をお見せするのが一番なのですが、古い物で持ち出すと崩れてしまう恐れがあり、可能であればハビット王国に来ていただければ、お見せすることも出来ます」
「歴史の解明に付き合えということですの?」
「いえ、何か言い伝えや日記、当時のことが分かれば、我が国は変わるかもしれないのです。どうかお願いいたします」
傍から見ればメーリンの必死の訴えに見えたかもしれないが、セリーナには忙しいから断ったことを、自分たちの理由にすり替えているようにしか聞こえなかった。
「それで、我が国は断ったはずなのに、どうして帰ろうとしないのですか?」
「私は王家に対して失礼なことは考えておりません」
セリーナはメーリンの言葉に、呆れるしかなかった。
「陛下が終わるまで、待つことにしますか」
「そうですね」
重苦しい空気が流れていることも気付かないのはメーリンだけで、そこへドアをノックする音が響き、従者が確認すると、男性が入って来た。
「義兄上!どうして…」
メイリクスは慌てて、男性に駆け寄った。
年齢的にはメイリクスの方が年上なのだが、メイリクスはジェラルドをとても尊敬しており、敬意も込めて義兄上と呼び、ジェラルドもさすがに慣れた。
「私が話せば、終わるのだろう?手を煩わせることはない」
やって来たのは、ジェラルド・フォンターナであった。
「忙しいのに…」
「今、検査の結果を待っているところだから、往復込みで10分というところだろうか?」
ジェラルドは医師として、病院と王宮に籍を置いており、王宮に研究室を持っており、今日はそこで作業をしていた。
お手洗いに行く際にメイリクスを見掛け、メイドに相手は誰かと問うと、ハビット王国の王女だと聞き、まだいるのかとやって来たのである。
「私で十分だと思ったのですがね」
「それもそうね。どうも、初めまして、王妃のセリーナでございます。陛下は今日は、忙しいんですの」
セリーナはメーリンの前に立ち、挨拶をしたが、メーリンはどうすれば会えるかばかりを考えていた。それはセリーナに対しても同じであった。
「はい…ですが、私がお会いしたいのはフォンターナ家の方でして」
セリーナとメイリクスは顔を向き合わせて、小さく溜息を付いた。
「陛下がお断りした上で、さらにメイリクスも断ったはずよね?」
「それは理解しております。ですが、我が国としても、どうしてもお話を伺いたく思ってのことで、汲んではいただけないでしょうか」
メーリンとしては精いっぱい遜ったつもりだったが、既にそういった話ではない。
「メイリクスが答えただけでは不服だとおっしゃるのね」
「いえ、そういうわけではありませんが、やはりフォンターナ家の方に、きちんとお話を聞きたいのです」
メーリンはフォンターナ家の方と話をするまで帰らないつもりだった。
だから、何を言われても、帰ると言う選択肢はなかったのである。
「メイリクスもフォンターナ家の一員よ?」
「それはそうですが、血筋の方とお話がしたく…難しいなら、何かフォンターナ家の歴史が分かるような物を貸していただくことは出来ませんか?」
「なぜ関係のない方にそのような物を貸すと思うの?」
「いえ、もし私たちの考えが合っていれば、フォンターナ家の方はハビット王国出身だと思うのです。ですので、関係ないより、関わりの深い方だと思っています」
セリーナはこれがメイリクスの言っていたことかと、実感した。メイリクスに向かって、視線を送ると二度小さく頷いた。
「どのような理屈か知りませんが、」
「それはまだ確定ではありませんが、我が国にフォンターナ家ではないかという記述が見付かっております」
メーリンはセリーナの言葉を遮って、話し始めた。
「本来なら現物をお見せするのが一番なのですが、古い物で持ち出すと崩れてしまう恐れがあり、可能であればハビット王国に来ていただければ、お見せすることも出来ます」
「歴史の解明に付き合えということですの?」
「いえ、何か言い伝えや日記、当時のことが分かれば、我が国は変わるかもしれないのです。どうかお願いいたします」
傍から見ればメーリンの必死の訴えに見えたかもしれないが、セリーナには忙しいから断ったことを、自分たちの理由にすり替えているようにしか聞こえなかった。
「それで、我が国は断ったはずなのに、どうして帰ろうとしないのですか?」
「私は王家に対して失礼なことは考えておりません」
セリーナはメーリンの言葉に、呆れるしかなかった。
「陛下が終わるまで、待つことにしますか」
「そうですね」
重苦しい空気が流れていることも気付かないのはメーリンだけで、そこへドアをノックする音が響き、従者が確認すると、男性が入って来た。
「義兄上!どうして…」
メイリクスは慌てて、男性に駆け寄った。
年齢的にはメイリクスの方が年上なのだが、メイリクスはジェラルドをとても尊敬しており、敬意も込めて義兄上と呼び、ジェラルドもさすがに慣れた。
「私が話せば、終わるのだろう?手を煩わせることはない」
やって来たのは、ジェラルド・フォンターナであった。
「忙しいのに…」
「今、検査の結果を待っているところだから、往復込みで10分というところだろうか?」
ジェラルドは医師として、病院と王宮に籍を置いており、王宮に研究室を持っており、今日はそこで作業をしていた。
お手洗いに行く際にメイリクスを見掛け、メイドに相手は誰かと問うと、ハビット王国の王女だと聞き、まだいるのかとやって来たのである。
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