【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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ハビット王国の変化5

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「だが、向こうだって商売だ。売れた方がいいだろう?」
「品質を大事にしているのでしょう」

 どこが取引をしているのか、詳しくは明かされていないために分からないが、販路が信用が出来ないのかもしれない。

 卸売に託すのも、責任は卸売にもあるが、品質の保証が出来る国のみとして、せめて同じ条件を付けたのではないか。

 商会側の話を聞いたルークアには、プレストと違って理解が出来るものだった。

「困っているのだから、売ってくれてもいいだろう?今までは売っていたんだぞ?」
「違反をして売っていたのですよね?」
「だったら、卸売に責任を取らせよう」
「それは難しいでしょう」
「なぜだ!それこそ、違反じゃないか」

 プレストは怒りの感情が強く、苛立つ質ではなかったが、改善することのない環境に、鋭い言葉が増えていっていた。

「卸売側も取引を止めたわけではなく、仕入れ先が変わって、前の価格では売れないとなっただけで、契約違反ではないそうですよ」

 ルークアは商会にも足を運んでいた。卸売は値段の変動、品薄ということはあるために、商会も了承した上で契約をしている。

 急に同じ商品を高額で売りつけたわけではなく、今後は別の商品をこの値段になるとしただけで、契約違反ではない。

「だが、努力するなりするべきだろう!」
「同条件のところはないか、探したはずですよ」
「それなら、見付けて来るべきだろう!」

 プレストもこのままでは生活が出来ない、どうにかならないのかと責められ、貴族にも頼ったが、貴族家も自分の家で同様に困っている状況である。

「商会も運搬のことがあり、卸売に頼っていたのもありますが、我々も商会に頼り切りだったでしょう?」

 ハビット王国は国が輸入しているのは、石油くらいである。

「何の伝手もないではありませんか」
「ならば、どうすると言うのだ!」

 プレストは自分が国王の際に、流行り病などは仕方ないとしても、輸入に困って物価が上がったと言われることが許せないのである。

「購入した方がいいのではありませんか?皆、困っております」
「食べるものがないわけではないだろう?」
「それはそうですが…」

 小麦で作った物や、卵、きのこなど、口に出来る食べ物はある。ただ、味付けは備蓄のある家はいいが、購入が出来る調味料は塩のみという状況である。

「他国に買いに行った者もいるのではないか?」
「ええ、いたようですが、ディール関連商会は国内販売のみだそうです」
「買えないのか?」
「お土産程度なら買えるそうです」

 他国のディールの関連商会に行って、購入した者もいたが、大量購入する際は入国書の提示が義務化されており、ハビット王国の旅行者は個数や金額の上限が決まっており、お土産程度の購入しか出来ず、どこまでも徹底されていた。

 もし、許可が下りている国の者を連れて行って、購入したとしても、虚偽の申告をすれば罰されることになる。そもそも、帰国時に申請しなければならない。

 見付かれば没収となるために、一種の賭けだろう。

 ならば、別の国内のみとせず、大量購入が許可されている商店で購入しようとすれば、質は良いが高額であったり、安いが質の落ちるものであったりと、ディール製には比べ物にならなかった。

 渋々買って行った者もいるが、必要な物は一生使える物ではない上に、また買いに行かなければならない。

「後は、ディール製ではない商品を購入するしかないようです」
「質が落ちるのか?」
「どちらかですよ、値が上がるか、質が落ちるか。商会には両方を仕入るか、受注にして、選ばせるのがいいと私は思っています」

 とはいえ、前よりも高いがまだ安く質が落ちる物、前と同じ質程度ではあるが高額の物、どちらを選ぶかは買い手が選ぶしかない。
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