【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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縁談

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 自業自得のミミリーとは違って、何の責任もないはずのアイリとマイリが、子爵家で頑張っている姿を見て、自分を見つめ直し、しっかり働くようになった。

 ゆえにミミリーは、ガーデンパーティーにも参加していない。

「え?そうなのですか?」

 アマリリスは留学後からミミリーと一緒にいれば、さらに非難を浴びることから、距離が出来ていたのである。

「ああ、慰謝料を自分で支払うために働いている。本来なら、お前にもそうして欲しいくらいだ」
「っな!私は素敵な相手と結婚して、良い暮らしがしたいの!」
「そんな相手はいない!」

 カメリアは心を壊したままであるが、15歳のライラックの方が先に婚約が決まり、アマリリスは長女で19歳ということで、焦っていた。

「なら、自分で見付けるわ」
「問題があったり、婚約者や妻がいる相手だったら、王家から除籍する」

 アマリリスがそう言い出すことは予測しており、問題を起こせば除籍して、残った予算で修道院に入れるつもりであった。

「そんなこと、出来るわけないじゃない」
「陛下も承認済みだ。お前だけじゃない、迷惑を掛けるような問題を起こせば、皆がそうなる」

 言動から危険なアマリリスは最有力候補ではあるが、他の王子や王女も、何かあれば修道院に入れることにオイスラッドとバトワスは決めていた。

 妻のことで問題事にはもう付き合っていられないというのが、本音である。

「っな!お父様が婚約者を、見付けてくれないからじゃない!この前のオルタナ王国の大公閣下の息子だって!もしかしたら、気に入られたかもしれないじゃない!」
「それはあり得ない」
「お父様のせいじゃない!」
「そうだと言っているだろう」

 何もなかったとしても、受け入れて貰えるかは分からないが、そんなことを考えても仕方ないとしか思っていなかった。

 結局、アマリリスはパーティーなどに出席しているようだが、自分から話し掛けることは出来るが、相手から誘って貰うことが前提であるために、何時まで経っても見付けられないままであった。

 下手に関わって責任を取らされたくない令息は、近付かない。遊びでもわざわざアマリリスに、手を出すような貴族はいない。当たり障りなく対応する、もしくは相手にしないことが、得策だとされたのである。

 そんな折、オイスラッドとバトワスの元へ、何の繋がりもなかったペクラー王国から、側妃の話が持って来られた。

 ペクラー王国は、薬の輸入を考えたペアー王国と、元々一つの国であった国である。ペアー王国と同じで、先進国とは呼べず、独自の風習の多い国である。

 アジェル王国からは行き来するのに、3日間は掛かる。

「王太子殿下の側妃ですか?」

 王女に初めて持ち込まれた縁談ではあったが、正妃ではく側妃であった。

「はい、王太子殿下は現在、28歳で、正妃と側妃が二人おりますが、側妃に王女が一人しかいらっしゃいません」

 写真でしか見たことがないが、体格のいい、健康的な肌の色をした青年であった。

 結婚していることも知っており、側妃も当たり前にいる国である。嫁がせるとするならば、三人目の側妃ということになる。

「この国は子沢山だと聞いています」
「ですが、我が国に多産を望まれて嫁いだ者に、多産の者はいないと聞いています」

 始めは子沢山と言われることは悪いことではなく、他国で子どもで困っている者に令嬢は人気になると思った。実際に望まれて、多くの令嬢が他国へ嫁いでいった。

 だが、2人以上を産んだ者は今でもいないと聞いている。子沢山を望まれて、二人では風当たりは強いものになっただろう。

 その後も子沢山だけが独り歩きし、それでももしかしたらと、望まれることもあったようだが、現在は聞かなくなっており、それでも愛情のある親ならば、この事実を伝えるようになっていた。
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