【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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第二王子への訪問者1

「オークリーも驚いたということだな」
「ええ、全く質が違います。もう戻りたくないと思いましたから」

 二人は素晴らしさについて、あれがこれがと話し、アッシュにも分けてあげますからと言っていたが、オークリーの元へは何も届くことはなかった。

 始めは遅れているのだろうと思っていたが、さすがにオークリーの名で出すわけにはいかないので、女性の偽名で手紙を書いても返事がなかった。

 なぜなのだろうかと思っていたが、答えは商会の関係者と言っていた伯爵家の令嬢の、父親であるヒューズリン王国のメファーセン伯爵がやって来たことで分かった。

 バトワス宛てに、オークリー第二王子にお訊ねしたいことがあると、先触れが届いていた。

「王子殿下、娘リハナと何か約束をしましたか?」
「えっ」

 バトワスは何も聞いておらず、オークリーに怪訝な顔を向けた。

「オークリー、何か約束をしたのか?」
「商品を送って貰う約束を…」

 オークリーは、バトワスには届いてから話をしようと思っていた。

「やはり、そうでしたか…」

 コルトにリハナが勝手に大量注文をしたことで、コルトから確認が入った。

 なぜなのかと問いただしたが、リハナは数を間違えただけだと言っていた。だが、また同じ物を注文したことで、何かあるのでないかと疑った。

 再度、リハナを問いただしたが、なくなったと思っていたと言い張る。

 だが、コルトから、リハナがアジェル王国のオークリー第二王子と話をしていたこと。オークリー殿下は取引をするように持ち掛けられたことがあったことを聞き、まさかと思い、ゾッとした。

 すぐさま、リハナに転売でもするつもりだったのかと怒鳴っても、リハナはそんなことしていないと、認めなかった。

 そして、リハナへアジェル王国から手紙が届いていたことも分かり、万が一のことを考えて、すぐさま病院に入れた。

「それは叶いません。リハナも病院へ入れました」
「え?病院?」
「コルトという商会は、国内販売のみで、転売や譲渡を禁じております。ご存知、ありませんでしたか?」
「それは」

 オークリーも知っており、帰る前に購入をしようと思っていたが、留学生ということで制限をされることになり、思う物が購入出来なかった。

 自分は第二王子で、アジェル王国と取引をしようとも持ち掛けたが、当商会は国内販売のみだと断られることになった。

 だが、アッシュと違ったのは、バレなければいいと考えたことであった。

「ですが、そんなに悪いことでしょうか」
「転売や譲渡をした場合は一族はコルトから一切、売って貰えなくなります」
「ですが、あちらも商売でしょう」
「ええ、ですので、あまりに増えた場合はコルトが撤退することになります」
「そうだったのか…」

 アッシュにも聞いていたが、まさかそこまで徹底しているとは思っていなかった。

「他にも商会はございますが、コルトから購入が出来なくなることは、貴族として恥なのです。娘が融通すると言ったのかもしれませんが、あり得ません」

 リハナとは、コルトに断られているところを見られたことで知り合った。

 一つ年上で、既に学園は卒業していたことから、学園での出会いではないために、問題にはならないだろうと思い、話すようになった。

 そして、リハナから自分はコルトの特別な顧客だから、融通することも出来ると、だがアッシュからも聞いていたオークリーは大丈夫なのかと問うたが、大丈夫だと言い、それならばと思っていた。

 リハナは自分で注文することはほとんどなかったために、コルトが皆に商品を提供するために、大量注文などに確認が入ることを知らなかった。

「特別な顧客だと…」
「貴族は皆、特別な顧客ですよ」
「…あ」

 コルトは貴族だけの商会ではない、貴族は特別な顧客に決まっている。

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