162 / 196
動機
しおりを挟む
「そうだとしても、アマリリスにも言えることだが、王族ともあろう者が求婚するような相手の年齢を知らないということは通用しない」
「それは、そうですが…」
「絶対に会いに行ったりするなよ!正当化して、間違いだと助けて欲しいと懇願されることになる」
「ですが」
「牢に入れたわけではない、侍女も一緒で食事も一応出している」
招かざる客だった上に、今となっては犯罪者と成り果てたメーリンには、豪勢な物ではないが、王族ということで最低限の食事も出されている。
「明日からは、迎えが来るまで聴取を行う。お前たちは関わらないことがやるべきことだ。分かったな」
アッシュだけはあの美しい王女がと思ってはいるが、特に思い入れもない王女たちは近付く気もなかったので、頷いた。
オークリーは兄の疑っているような姿に、忠告をすることにした。
「兄上、絶対に会いに行かない方がいいです」
「い、行くわけないだろう」
「見下すような王女でした…しかも14歳の子息に胸を押し付けたそうです」
「…な」
まだ9歳のヴァイオラもいたので、不埒な行為とだけ言って、バトワスは令息に胸を押し付けたことは伝えなかった。
「父上が言うには、オルタナ王国で問題を起こして、こちらに逃げて来たのかもしれないということでした」
「そんな…」
「信じられないかもしれませんが、何かすれば責任をと言われますよ」
「分かっている」
オークリーも人のことは言えないとは思いながら、アッシュの様子に自分と同じものを感じたからである。
翌日、メーランは着替えも持って来ていたので、きちんと着替えをして、バトワスと騎士団長、女性騎士と共に聴取が行われることになった。
「だから、知らなかったのだから誤解だと言っているのです!」
「求婚をする相手の年齢を知らないなど、王族としてあり得ないことです」
バトワスは言いながらも、自分の元へ返ってくるような言葉であった。
「でも、事実なのですから!」
「我が国で、同様の事件は禁固二十年以上となっています」
最低でも二十年、被害者が16歳未満となるために大人になって、心を癒すために二十年以上となっている。
「な!私がそのようなことあり得ませんわ!」
「ハビット王国と協議とはなりますが、レオラッド大公閣下が許すとは思えません」
「知らなかったと言っているじゃない!」
「平民なら誤解だったと、双方が納得すれば、いずれは笑い話になるかもしれませんが、王女ともあろう者が、知らなかったで済むと思いますか?」
「王女だからこそ言っているの!」
バトワスは王子や王女を幼い頃は甘やかした部分もあるが、大きくなってからはそのようなことはしなかったにも関わらず、アマリリスは同じようなことをして、カメリアのしたことも浅墓過ぎる行動であった。
メーリンはきっと、見目がいいとされていたこともあって、ちやほやされて、甘やかされて来たのだろうと想像が出来た。
「だったら、そう言えばいい。でも、あなたが14歳の子息に言い寄り、求婚したことは事実ですから。どういった目で見られるかは、覚悟しておいた方がよろしいかと思います」
アマリリスは嫁がせて、納得して貰ったが、公表してもいいと書かれていた。
レオラッド大公閣下が、メーリン王女をどの程度で納得されるかは分からない。しかも、今回はオズワルド・フォンターナも、許すことはないだろう。
「っな、どうして、間違いだと言っているじゃない!14歳だと知っていたら、求婚なんてしなかったわ」
「すでに起こってしまったことです。我が国で起こったことではありますので、罰則が適用されるかは分かりませんが、こちらも厳しく対応いたします。ですが、実際はハビット王国とオルタナ王国での話になるでしょう」
「どうしてよ…私はいい考えだと思って言っただけなのに」
「それは、そうですが…」
「絶対に会いに行ったりするなよ!正当化して、間違いだと助けて欲しいと懇願されることになる」
「ですが」
「牢に入れたわけではない、侍女も一緒で食事も一応出している」
招かざる客だった上に、今となっては犯罪者と成り果てたメーリンには、豪勢な物ではないが、王族ということで最低限の食事も出されている。
「明日からは、迎えが来るまで聴取を行う。お前たちは関わらないことがやるべきことだ。分かったな」
アッシュだけはあの美しい王女がと思ってはいるが、特に思い入れもない王女たちは近付く気もなかったので、頷いた。
オークリーは兄の疑っているような姿に、忠告をすることにした。
「兄上、絶対に会いに行かない方がいいです」
「い、行くわけないだろう」
「見下すような王女でした…しかも14歳の子息に胸を押し付けたそうです」
「…な」
まだ9歳のヴァイオラもいたので、不埒な行為とだけ言って、バトワスは令息に胸を押し付けたことは伝えなかった。
「父上が言うには、オルタナ王国で問題を起こして、こちらに逃げて来たのかもしれないということでした」
「そんな…」
「信じられないかもしれませんが、何かすれば責任をと言われますよ」
「分かっている」
オークリーも人のことは言えないとは思いながら、アッシュの様子に自分と同じものを感じたからである。
翌日、メーランは着替えも持って来ていたので、きちんと着替えをして、バトワスと騎士団長、女性騎士と共に聴取が行われることになった。
「だから、知らなかったのだから誤解だと言っているのです!」
「求婚をする相手の年齢を知らないなど、王族としてあり得ないことです」
バトワスは言いながらも、自分の元へ返ってくるような言葉であった。
「でも、事実なのですから!」
「我が国で、同様の事件は禁固二十年以上となっています」
最低でも二十年、被害者が16歳未満となるために大人になって、心を癒すために二十年以上となっている。
「な!私がそのようなことあり得ませんわ!」
「ハビット王国と協議とはなりますが、レオラッド大公閣下が許すとは思えません」
「知らなかったと言っているじゃない!」
「平民なら誤解だったと、双方が納得すれば、いずれは笑い話になるかもしれませんが、王女ともあろう者が、知らなかったで済むと思いますか?」
「王女だからこそ言っているの!」
バトワスは王子や王女を幼い頃は甘やかした部分もあるが、大きくなってからはそのようなことはしなかったにも関わらず、アマリリスは同じようなことをして、カメリアのしたことも浅墓過ぎる行動であった。
メーリンはきっと、見目がいいとされていたこともあって、ちやほやされて、甘やかされて来たのだろうと想像が出来た。
「だったら、そう言えばいい。でも、あなたが14歳の子息に言い寄り、求婚したことは事実ですから。どういった目で見られるかは、覚悟しておいた方がよろしいかと思います」
アマリリスは嫁がせて、納得して貰ったが、公表してもいいと書かれていた。
レオラッド大公閣下が、メーリン王女をどの程度で納得されるかは分からない。しかも、今回はオズワルド・フォンターナも、許すことはないだろう。
「っな、どうして、間違いだと言っているじゃない!14歳だと知っていたら、求婚なんてしなかったわ」
「すでに起こってしまったことです。我が国で起こったことではありますので、罰則が適用されるかは分かりませんが、こちらも厳しく対応いたします。ですが、実際はハビット王国とオルタナ王国での話になるでしょう」
「どうしてよ…私はいい考えだと思って言っただけなのに」
3,608
あなたにおすすめの小説
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる