【完結】似て非なる双子の結婚

野村にれ

文字の大きさ
57 / 118

夫と義母1

 レイアはオーランドが帰って来るまで、クレナ伯爵家でお茶やお菓子を要求し、横柄に待っていた。

 戻ったオーランドはレイアの顔を見て、疲れがさらに増すことになった。

「何の用ですか」
「まあ、母親に向かって酷い言い方。この前の件よ!オーランドが弁解して頂戴、夫だったんだから」

 キリアムからオーランドのところに証言させると行くかもしれないとは聞いており、あれだけ言われたのに、まだ挽回出来ると思ってやって来ている。

「事実なのにするわけないじゃないですか」
「っな、お母様が困っているのですよ?」
「困ったことをしたのはあなたでしょう?反省しているのではなかったのですか?悪いとも思っていないのですか?」

 部屋で不貞腐れていると聞いていたが、見る限りやつれてもおらず、いつも通り元気そうである。

「私はね、これからも侯爵夫人として、生きて行かなくてはいけないの。あなたがユーリがお義母様に頼んでいたんですと、言ってくれればいい話でしょう?」
「メルベールはどうするんですか?同じように言わすのですか?」
「あの子は私に嘘を付いていたんだから、当たり前じゃない」

 メルベールは自分が言えば、嘘の件もあるから従うと思っているようだが、メルベールは従うだろうか?

「はあ…誰も私の言うことなんて信じませんよ」
「何言ってるの!夫が言うのだから、信じるに決まっているじゃない!そういうものなのよ?」

 分かっていないのねと言わんばかりだが、キリアムの話を聞いていなかったのだろうか?都合のいいことしか聞こえないのか?

「私の愛人のことをシュアト公爵家が知らないと思いますか?そんな夫が言う話、嘘だと思われるだけです。恥を重ねないでください」
「でもあなたの子じゃなかったんだから、大丈夫よ」
「そんなことはどうでもいいんですよ、父上が愛人を作って、子どもが出来て、生まれたら父上の子ではなかったら、全てなかったことに出来ますか?」
「…それは」

 レイアは考えたこともないが、夫との子どもではなかったからと言っても、プライドの高いレイアが、なかったことには出来ない。でも、子どもは出来ていなかったと思えば、まだ許せるのではないだろうかとも思った。

 愛人は別れさせればいいし、侯爵夫人の地位を渡すことなどあり得ない。公爵夫人なら特に、理解出来るはずじゃない。

「私は嘘を付く気もないですし、茶会にいた方は全員知っていると思った方がいいですよ」
「嘘、でしょう…」

 あの全員が知っているって言うの?不貞をさすがに全員が許せるとは思えない。ユーリのことで気遣って貰えないじゃない。

 折角、可哀想な義母になって、皆に味方になって貰って、アベリーを寄宿学校に入れてしまえば、元通りに近い状態になるはずだったのに。

「あなたが愛人なんて…作るからじゃない!」
「愛人ではないですが、不貞行為は私の責任です」
「だったら責任を取りなさい!」
「取れるものなら、取りたいですよ…」
「やっと分かってくれたのね、早い内に証言して貰うわよ」

 オーランドは頑固なところがあるから、すぐに了承するとは思っていなかった。

 証言させるのは、どこがいいかしら。高位貴族のいる茶会がいいけど、我が家でやるのが一番いいかもしれないわね。誤解があったと言わせて、周りがシュアト公爵家に伝えてくれれば、弁解できる機会も出来るはず。

 噂が広がる前にセッティングしなければならないわね。

「は?何を言っている?責任を取るのはユーリにであって、なぜあなたの責任を?」
「だから代わりに私に責任を取りなさいと言っているの」
「必死なのは分かりますけど、言っていることがおかしいと思わないのですか?侯爵夫人ともあろう者が?」
「おかしい?」

 何がおかしいの?親の責任も、親の力なることも、子どもには今までしてきてあげたんだから、当たり前のことでしょう?

あなたにおすすめの小説

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました

As-me.com
恋愛
完結しました。 番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。  とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。  例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。  なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。  ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!  あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

【完結済】25年目の厄災

恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。 だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは…… 25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ

暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】 5歳の時、母が亡くなった。 原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。 そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。 これからは姉と呼ぶようにと言われた。 そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。 母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。 私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。 たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。 でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。 でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ…… 今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。 でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。 私は耐えられなかった。 もうすべてに……… 病が治る見込みだってないのに。 なんて滑稽なのだろう。 もういや…… 誰からも愛されないのも 誰からも必要とされないのも 治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。 気付けば私は家の外に出ていた。 元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。 特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。 私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。 これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。 けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの? 中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。