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試験結果2
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溜息を付きながら廊下を歩いていると、またあの処刑した男がいた。会釈して通りすがろうとしたが、いつも声を掛けて来るのだ。
なぜよく邸にいるかは侯爵家で働いているからである。
「何かありましたか」
「何か?」
「嫌なことがあったのでしょうか」
「ああ、成績が1位だったことをどうして伝えないのかと言われました。知らなかったので、伝えようがありませんのに」
「1位…」
「順位が貼り出されていたそうです。知りませんでした。どうでもいいです」
「どうでもいい…」
「失礼しますね」
「ああ…」
だが、部屋に戻る寸前で、待ち構えていたアデリーナに捕まってしまった。目を吊り上げて、ドスドスと音が聞こえそうなほど、強い足取りで近づいて来る。
「ねえ!何なの!どうして言わないのよ!」
「何をですか」
「あなた、私を馬鹿にしていたの!」
アデリーナが怒っているのは分かるが、何に怒っているのかが分からない。
「理由が分かりません」
「成績よ、1位だったんでしょう!私たちを馬鹿にしていたのかって聞いているの!」
「知りませんでしたから」
「は?」
「順位が貼り出されていることを、先程お父様に言われて、初めて知りました」
「何でよ、普通見に行くでしょう!」
「知らなかったので、行きませんでした」
「あなたが言っていたら、あんなこと、あんなこと…私だって言わなかったわよ、どうしてくれるのよ、恥をかかせたかったの!何なのよ、もう」
アデリーナはまたしゃがみ込んでしまい、一緒にいた侍女に部屋まで連れて行ってもらうように頼み、アイレットは部屋に戻った。
それからアデリーナはアイレットに一方的に怒っており、フィーストも思うところはあったが、嫌がらせの件もあったので、アイレットに直接言うことはなかった。
ハービスは新婚なので、別邸で過ごしていたが、フィーストとアデリーナにアイレットと嫌がらせのことを聞かされて、驚いた。
「嘘だろ…」
「嘘じゃないわよ!100点もあったし、ダンス以外90点台よ、全部。お父様が過去の成績表ももう一度見直したようだけど、似たようなものだったらしいわ」
「アイレットが悪いわけじゃない。私たちが決め付けただけだろう」
「普通見に行くし、言うでしょう!」
「アイレットは変わっているから」
「そんなの関係ないわよ、あの子おかしいのよ」
アデリーナは認めたくないけど、認めざる得ない状況に、とにかくアイレットはおかしいと譲らなかった。
「アデリーナ、これ以上言えば言うだけお前の価値が下がるだけだ。アイレットはたまたま勉強が出来る質だったんだろう。兄さんもこれからは気を付けた方がいい」
「ああ、分かった」
「嫌がらせの件はルミナに聞いて、父上が動いてくれることになった」
「婚約解消は…」
「一旦保留にはなったけど、アイレットへの対応を改めることと、嫌がらせの件がどう片付くかにもよるかもしれない。ルミナはマスタール家にショックを受けたそうだ、そう言われたら何も言えないよ」
また試験の結果が発表される頃、父は食事の席で、皆の前でアイレットにきちんと問うことにした。アデリーナはアイレットを睨み付けている。
「アイレット、試験はどうだったんだ?」
「いつもと同じような点数ですが」
「1位だったのか」
「知りません」
「見に行かなかったのか?」
「はい、どこに張り出されているかも知りませんから」
「どうして行かないのよ!おかしいんじゃないの!」
「アデリーナっ!!」
責める点はひとつもないが、いまだに縁談が決まらないアデリーナは苛立っており、アイレットを目の敵にしてしまっている。
「なぜ行かないんだ?誇らしくないのか?」
「勉強は自分のためにするものではありませんか、1位だろうが100位200位だろうが、身に付いていればいいことではありませんか」
「そ、それはそうだが」
「それとも、1位を取るために、誇らしいと思うために、皆様は勉強されるのですか?」
「それは…」
皆がそうだと思いながらも、誰もアイレットの言ったことを否定出来なかった。正義のマスタールとしても、反論することは出来なかった。
なぜよく邸にいるかは侯爵家で働いているからである。
「何かありましたか」
「何か?」
「嫌なことがあったのでしょうか」
「ああ、成績が1位だったことをどうして伝えないのかと言われました。知らなかったので、伝えようがありませんのに」
「1位…」
「順位が貼り出されていたそうです。知りませんでした。どうでもいいです」
「どうでもいい…」
「失礼しますね」
「ああ…」
だが、部屋に戻る寸前で、待ち構えていたアデリーナに捕まってしまった。目を吊り上げて、ドスドスと音が聞こえそうなほど、強い足取りで近づいて来る。
「ねえ!何なの!どうして言わないのよ!」
「何をですか」
「あなた、私を馬鹿にしていたの!」
アデリーナが怒っているのは分かるが、何に怒っているのかが分からない。
「理由が分かりません」
「成績よ、1位だったんでしょう!私たちを馬鹿にしていたのかって聞いているの!」
「知りませんでしたから」
「は?」
「順位が貼り出されていることを、先程お父様に言われて、初めて知りました」
「何でよ、普通見に行くでしょう!」
「知らなかったので、行きませんでした」
「あなたが言っていたら、あんなこと、あんなこと…私だって言わなかったわよ、どうしてくれるのよ、恥をかかせたかったの!何なのよ、もう」
アデリーナはまたしゃがみ込んでしまい、一緒にいた侍女に部屋まで連れて行ってもらうように頼み、アイレットは部屋に戻った。
それからアデリーナはアイレットに一方的に怒っており、フィーストも思うところはあったが、嫌がらせの件もあったので、アイレットに直接言うことはなかった。
ハービスは新婚なので、別邸で過ごしていたが、フィーストとアデリーナにアイレットと嫌がらせのことを聞かされて、驚いた。
「嘘だろ…」
「嘘じゃないわよ!100点もあったし、ダンス以外90点台よ、全部。お父様が過去の成績表ももう一度見直したようだけど、似たようなものだったらしいわ」
「アイレットが悪いわけじゃない。私たちが決め付けただけだろう」
「普通見に行くし、言うでしょう!」
「アイレットは変わっているから」
「そんなの関係ないわよ、あの子おかしいのよ」
アデリーナは認めたくないけど、認めざる得ない状況に、とにかくアイレットはおかしいと譲らなかった。
「アデリーナ、これ以上言えば言うだけお前の価値が下がるだけだ。アイレットはたまたま勉強が出来る質だったんだろう。兄さんもこれからは気を付けた方がいい」
「ああ、分かった」
「嫌がらせの件はルミナに聞いて、父上が動いてくれることになった」
「婚約解消は…」
「一旦保留にはなったけど、アイレットへの対応を改めることと、嫌がらせの件がどう片付くかにもよるかもしれない。ルミナはマスタール家にショックを受けたそうだ、そう言われたら何も言えないよ」
また試験の結果が発表される頃、父は食事の席で、皆の前でアイレットにきちんと問うことにした。アデリーナはアイレットを睨み付けている。
「アイレット、試験はどうだったんだ?」
「いつもと同じような点数ですが」
「1位だったのか」
「知りません」
「見に行かなかったのか?」
「はい、どこに張り出されているかも知りませんから」
「どうして行かないのよ!おかしいんじゃないの!」
「アデリーナっ!!」
責める点はひとつもないが、いまだに縁談が決まらないアデリーナは苛立っており、アイレットを目の敵にしてしまっている。
「なぜ行かないんだ?誇らしくないのか?」
「勉強は自分のためにするものではありませんか、1位だろうが100位200位だろうが、身に付いていればいいことではありませんか」
「そ、それはそうだが」
「それとも、1位を取るために、誇らしいと思うために、皆様は勉強されるのですか?」
「それは…」
皆がそうだと思いながらも、誰もアイレットの言ったことを否定出来なかった。正義のマスタールとしても、反論することは出来なかった。
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