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マリアリージュ教会4
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母国よりもかなりお洒落なパン屋にはなったが、同じようにくじを引き、買い物をする客と、袋詰めをして、計算をする店員に分かれて、子どもたちは列を成し、大盛況の様子に、アイレットはホッと胸を撫で下ろした。
器用な修道女によって、簡単なパンは作れるようになったが、サンドウィッチやフルーツのデニッシュ、色付けの難しい物は結局アイレットが担当していた。
「大盛況でしたね、ありがとうございました」
「いえ、私はパンを作っていただけですから」
「そこが大事ではありませんか!」
「本物みたいだからこそ、皆あんなに嬉しそうなのですね。適当に作った物とは情熱が違うと分かりました」
買い物の授業ではなかったが、皆で絵を描いて売り買いするというのは行ったことがあったそうだが、なかなかここまでの情熱にはならなかったそうだ。
「みんなが頑張って計算していることに感激しました」
「文字を憶えることにも繋がりますし、これはいい勉強になります」
「パンは皆で努力しましょう!」
「「「はい!!」」」
アイレットは事前に、様々な年齢の方がいること、修道女になりたくてなったわけではない方もいたが、マリアリージュ教会にいるということは、今は修道女として誇りを持っている女性たちだと聞いていた。
マリアリージュ教会はヒルズ王国で最高峰と言っていい教会だった。
「是非、お願いいたします。資金を得ましたので、戻ってからも送ることになりましたので、お待ちくださいね」
「無理を言ってすみません」
「いえ、私も戻ってお洒落なパン屋に改装したいという気持ちが、湧いてきましたから、とてもいい経験になりました」
「それは良かったです。折角に来ていただいたのに、何も得るものがなかったら恥ずかしいですもの」
アイレットは無心でパンを作っていたが、休憩時間には休みましょうと引っ張られ、食事などの際にすっかり修道女と仲良くなっていた。
教会のことを話したり、教育のことを話したり、パンのことを話したりした。
「バザーで売ると良いですよ!いい稼ぎになりますから」
「でも、よろしいんですか。アイレット様が考えられたのに」
「私の名前で特許は取らされたのですけど、教会は自由に使っていいとなっていますので、問題ありません」
アイレットはこの案の際にフォリッチ公爵から、特許を得るべきだと助言され、ほぼ任せてしまったが、アイレットの名前で特許を得て、教会だけは無償で使うことを許される仕組みにして貰っていた。
手を出そうとした者はいたようだが、当たり前に作れる物ではなく、平民が買える価格でバザーで販売されるため、儲からないと諦めたそうだ。
「まあまあ、有難いことです」
「キーホルダーとか鉛筆に付けたりして売っています。あとはそのまま売ったり」
「女の子ならゴムとか、髪留めに付けたら可愛いかもしれませんね」
「いいアイデアですね!」
「是非、使ってください。これからも意見交換しましょう」
「でしたら、新しいパンが出たら、どんなものか教えて欲しいです」
「そこも共有しましょう!」
明後日アイレットは母国に帰ることが決まり、牧師様から迎えが来るから、向かうように言われた。行き先はホテルで、案内されるままついて行ったが、人に会うこともなく、扉を開けた一室にはローグレイン大公閣下が待っていた。
アイレットはそういうことかと納得した。
「お呼び出しして申し訳ありません」
「お招きいただき、ありがとうございます」
「いえ、こちらがお礼を言う立場ですので、気軽にお話しください」
「ありがとうございます」
椅子を引かれて席に着くと、あまり豪勢な物を食べさせて、お腹を壊してはいけないと、いつもと変わらないメニューであるが、1ランク上といった食事が出された。
「大盛況だった、お祝いです」
器用な修道女によって、簡単なパンは作れるようになったが、サンドウィッチやフルーツのデニッシュ、色付けの難しい物は結局アイレットが担当していた。
「大盛況でしたね、ありがとうございました」
「いえ、私はパンを作っていただけですから」
「そこが大事ではありませんか!」
「本物みたいだからこそ、皆あんなに嬉しそうなのですね。適当に作った物とは情熱が違うと分かりました」
買い物の授業ではなかったが、皆で絵を描いて売り買いするというのは行ったことがあったそうだが、なかなかここまでの情熱にはならなかったそうだ。
「みんなが頑張って計算していることに感激しました」
「文字を憶えることにも繋がりますし、これはいい勉強になります」
「パンは皆で努力しましょう!」
「「「はい!!」」」
アイレットは事前に、様々な年齢の方がいること、修道女になりたくてなったわけではない方もいたが、マリアリージュ教会にいるということは、今は修道女として誇りを持っている女性たちだと聞いていた。
マリアリージュ教会はヒルズ王国で最高峰と言っていい教会だった。
「是非、お願いいたします。資金を得ましたので、戻ってからも送ることになりましたので、お待ちくださいね」
「無理を言ってすみません」
「いえ、私も戻ってお洒落なパン屋に改装したいという気持ちが、湧いてきましたから、とてもいい経験になりました」
「それは良かったです。折角に来ていただいたのに、何も得るものがなかったら恥ずかしいですもの」
アイレットは無心でパンを作っていたが、休憩時間には休みましょうと引っ張られ、食事などの際にすっかり修道女と仲良くなっていた。
教会のことを話したり、教育のことを話したり、パンのことを話したりした。
「バザーで売ると良いですよ!いい稼ぎになりますから」
「でも、よろしいんですか。アイレット様が考えられたのに」
「私の名前で特許は取らされたのですけど、教会は自由に使っていいとなっていますので、問題ありません」
アイレットはこの案の際にフォリッチ公爵から、特許を得るべきだと助言され、ほぼ任せてしまったが、アイレットの名前で特許を得て、教会だけは無償で使うことを許される仕組みにして貰っていた。
手を出そうとした者はいたようだが、当たり前に作れる物ではなく、平民が買える価格でバザーで販売されるため、儲からないと諦めたそうだ。
「まあまあ、有難いことです」
「キーホルダーとか鉛筆に付けたりして売っています。あとはそのまま売ったり」
「女の子ならゴムとか、髪留めに付けたら可愛いかもしれませんね」
「いいアイデアですね!」
「是非、使ってください。これからも意見交換しましょう」
「でしたら、新しいパンが出たら、どんなものか教えて欲しいです」
「そこも共有しましょう!」
明後日アイレットは母国に帰ることが決まり、牧師様から迎えが来るから、向かうように言われた。行き先はホテルで、案内されるままついて行ったが、人に会うこともなく、扉を開けた一室にはローグレイン大公閣下が待っていた。
アイレットはそういうことかと納得した。
「お呼び出しして申し訳ありません」
「お招きいただき、ありがとうございます」
「いえ、こちらがお礼を言う立場ですので、気軽にお話しください」
「ありがとうございます」
椅子を引かれて席に着くと、あまり豪勢な物を食べさせて、お腹を壊してはいけないと、いつもと変わらないメニューであるが、1ランク上といった食事が出された。
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