私のバラ色ではない人生

野村にれ

文字の大きさ
659 / 859

お疲れ様会7

「言っても駄目とか、諦めたりもあるでしょうね。一人娘で嫌われたくないとか」
「一人娘もあったわね」
「三人息子に、四人娘には分からないわ」
「確かに」

 アリルとエクルは、一人っ子はおろか、一人娘など味わったこともない。

「でも一応、お姉様は初めての娘ではあったはずよ?」
「覚えていないわよ、すぐにエクルも生まれているし、一人息子を味わったのはユリ兄様だけでしょう?」
「私もアリルと一緒で、覚えていないし、すぐに二人息子になっている」
「そうよね……ある意味、カイルスやケイトの方が年が離れているから、きょうだいはいるけど、幼い存在だけは味わったかもしれないわ」
「おにいさまも?」

 ケイトはカイルスと同じにされたことで、満面の笑みを浮かべていた。

「そうだね、お母様の後を追いかけ回していたよ」

 カイルスはケイトの方に顔を向けて、嬉しそうに答えた。

「そうなの?けいととおなじ!」
「ケイトとは目的が違うけどね」
「ふふっ、カイルスの姿は懐かしいわね。カイルスは覚えているのね?」
「毎日ですから覚えてますよ」

 少しは恥ずかしそうにしているが、今でも大好きな母であるために、黒歴史ということではないのは明らかである。

「ここにいる大人は全員、カイルスを手伝ったんじゃない?」

 アリルがそう言うと、皆、懐かしそうに頷いた。

 ソアリスは張本人であるために、手伝うことはできないが、祖父母、父、きょうだい、リズ、ルルエとエクシアーヌも手伝っており、護衛もそうである。

「しかも、お母様は見付からないことも多いものだから」
「公務だってあったわ」
「ログハウスで寝ていたり?木登りしていたり?あと、走り込みも多かったわ、追い付かないんだから」
「軟弱者!」
「それ、その時も言われたわ」

 カイルスを連れて、走るソアリスを見付け、おねえちゃま走ってと言われて頑張ったが、息が切れてしまった。そこへ戻って来たソアリスに、言い放たれている。

「ブレないわね」
「でも、母親が共通語ができないという状況がここにはないのよね」

 当然だが、王家もリズも共通語は身に付けていることは前提である。

「そもそも、私とサイラスができるのに、ララシャができないことが驚きだものね。家庭教師は寝ていたのかしら?」

 結局、行き着くのはララシャでもある。

 同じ両親の公爵令嬢でありながら、不思議でならないが、それがロアンスラー公爵家のおかしさである。

「ソアリスも知らなかったのよね?」
「おかしいと思ったことはありましたが、私に発言権はありませんから」
「はあ……王太子妃教育、以前の問題だものね」

 ララシャは教育が始まる前からアンセムの婚約者だったことから、いいわけにもならないが、王太子妃教育で初めて共通語を習うわけではない。

「親も親なら子も子って言われるけど、ソアリスのように反面教師にすることもできるものね」
「私は嫌いだってこともありますけどね」
「嫌って当然よ」

 テラーもマルシャのことは、腹が立っている。だが、ソアリスが無理をして、マルシャに好いてもらおうとしていたより、余程良かったと考えるようにしていた。

「楽な方を選んだのではないかしら?」
「母親を楽だと思ってということ?」
「そう、母親がそうだからではなく、楽そうだと分かっていて、選んだのよ」
「確かに、そうね……」
「私たちは、あんなに文句を言いながら、公務をしているお母様を見て楽だなんて思わないもの」

 テラーも見たことあるが、確かにあれを見たら楽そうなんて思わないだろう。

「エクシアーヌ様もそうでしょう?」
「はい、お母様が楽しているなんて思ったこともないです」

 ソアリスほどではないが、マリエンヌが頭を抱えているところや怒っているとことは、何度も見たことがある。

あなたにおすすめの小説

幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました

ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。 けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。 やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。 ――もう、この結婚には見切りをつけよう。 夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。 身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。 一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。 幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

【第一章完結】相手を間違えたと言われても困りますわ。返品・交換不可とさせて頂きます

との
恋愛
「結婚おめでとう」 婚約者と義妹に、笑顔で手を振るリディア。 (さて、さっさと逃げ出すわよ) 公爵夫人になりたかったらしい義妹が、代わりに結婚してくれたのはリディアにとっては嬉しい誤算だった。 リディアは自分が立ち上げた商会ごと逃げ出し、新しい商売を立ち上げようと張り切ります。 どこへ行っても何かしらやらかしてしまうリディアのお陰で、秘書のセオ達と侍女のマーサはハラハラしまくり。 結婚を申し込まれても・・ 「困った事になったわね。在地剰余の話、しにくくなっちゃった」 「「はあ? そこ?」」 ーーーーーー 設定かなりゆるゆる? 第一章完結

死ぬまでに叶えたい十の願い

木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」 三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。 離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する—— 二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

では、復讐するか

らがまふぃん
恋愛
ロットタニア王国王太子リスラン・ノーサテリテ・ロットタニアには、一つ年下のワーテラー公爵次女、ユセフィラ・サウロ・ワーテラーというとても評判の良い婚約者がいる。 そんな二人の関係は、学園に入ってから陰りが見える。 伯爵令嬢スウィーディー・オプトとリスランやその側近たちとの様々な憶測が囁かれていたある日、隣国に留学していた子爵令息のコノア・クルードが学園に編入してきた。 コノアは、噂の伯爵令嬢スウィーディーから聞かされる。 みんなはユセフィラに騙されている、だからリスランから離さないといけない、という内容だった。 周辺国にまで評判の良いユセフィラの噂は、隣国にいたコノアの耳にも当然入っている。 一方、スウィーディーの学園での評判は悪いものばかり。 評判の悪い自分は信じてもらえないことはわかっている、と自身の学園での評価も理解しているスウィーディー。 自分の見たものを信じるコノアは、スウィーディーと行動を共にすることになるのだが――。 ※ご都合主義です。ポンコツ作者の作品ですので残念感がすごいですが、鼻で笑ってくだされば。幕間含め全二十四話+番外編でお届けいたします。番外編は、気まぐれに投稿します。よろしかったらお付き合いください。 ※R6.7/9HOTランキング入りしておりました!ひとつ前の作品 精霊の使い?いいえ、違います。 に続いての快挙です。連載中の作品がランキング入りをするのが初めてで、続きがある状態でたくさんの方々の目に触れる機会に恵まれ嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、いいねを本当にありがとうございます。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/3に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい

水空 葵
恋愛
 一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。  それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。  リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。  そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。  でも、次に目を覚ました時。  どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。    二度目の人生。  今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。  一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。  そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか? ※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。  7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m