私のバラ色ではない人生

野村にれ

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お詫び6

「私の頭の中にですわ、体形は樽なんですけどね」
「そうだったのか!」

 大きな黒子を想像はしていたが、体形までは想像しておらず、マルシャとララシャの姿が思い浮かんだが、すぐさま消し去った。

「仮ですから、手頃なものを」
「それを言うなら、手近だろう!」
「まあ、突っ込みがリズのようになって来ましたわね。成長ですわね……」

 祖母が孫を見るような温かい眼差しで、ソアリスはアンセムを見ながら頷いている。侍女たちは小さく拍手まで送っている。

「もういい。名前も無理だ!誰だったか?」
「ポーリア」
「ビリリーでございます」

 侍女たちはふざけるなという思いで、忘れたくても忘れられないためにしっかりと覚えている。

「ああ!そうだ!変な名前だったなとは思っていたのだ」
「まあ、変だなんて!」

 アンセムは名前よりも風貌の方が威力があったために、ずっと思っていながらも、口にしなかった本音をポロっと洩らしてしまった。

「煩そうなは合っておりましたね」
「はい!ほぼ、正解です」
「全然、名前すら出ていない!さすがに甘やかし過ぎだろう」

 だが、ポーリアは満足そうであり、ソアリスもどこか自慢気な顔をしている。

 もはや、侍女たちはソアリスのすべて肯定しているのではないかと思うが、締めるところは締めており、ソアリスも厳しいところは変わらない。

「しかも、王女にも変な名を付けていただろう」
「乳房丸出し娘でしょう?」
「それじゃない」
「ああ、チクビーラですわね」
「そこはすぐに出るんだな」

 ビリリーは諦めたようであったが、自分の付けた名前は流れるように出てくる。

「私が名付けたのは、概ね覚えておりますわよ」
「全部ではないのだな……だが、どれも呼ぶことはできないがな」

 ソアリスのふざけた名付けは相当数になっており、把握しきれていないのかもしれない。

「マーガレッタ夫人は妙な名を付けられるのだろうな」
「モゾモーゾでしたけど、カユガレッタに改名した方がいいかもしれないわね」

 侍女たちはパッと顔を明るくしており、メイドたちはようやくソファを拭き終えて、そちらも頷いている。こちらもソアリスのそばにいることが多いために、慣れ過ぎている。

「それとも、セイビョウカモシレナイ~!くらいの方がいいかしら」
「それはもはや疑いで、名前ではないではないか」
「でもこんなことしているから、加齢とそのせいで出てこなくなっているのかもしれませんわ」
「駄目じゃないか」

 元の名前があり、一応は覚えようとしたのだろうが、時間が経つと、特に自分の付けた名が前に出てしまっている。

 メイドたちはソアリスにお礼を言われて、退室した。

 そして、アンセムはネリロオス王国への伝手については聞いていたが、その経緯である王妃陛下について詳しく聞いていなかった。

「それで、エリザベータ王妃陛下とはどうして親しくなったんだ?」

 エリザベータは、ソアリスより十歳年上で、現在六十歳のアロワ王国の王妃である。アロワ王国は国王が崩御されない限り、即位することはない。

「そう!そのビリリーの国際裁判の時に、ご迷惑をお掛けしますという手紙を、国王陛下と王妃陛下宛てに出しましたの」
「ああ」

 お金や品物などを送ることはできないが、手紙は許可されている。

「その際に、ナイフを持った、こののような形相のビリリーに襲われましたと絵を付けましてね」
「よく描けておいででした」
「髪を振り乱して、化け物でした」
「私はその場におりましたので、鼻の向き具合も、そっくりでした」

 メディナ、ポーリア、キャロラインはソアリスが手紙を書いて、さらに真剣な顔で絵を描き始めたので、黙って見守っていたが、出来上がった絵を見て、褒め称えた。

 こちらも被害者の証言として送ろうと思うと言われても、大賛成したのである。

「そ、そうか……そのようなものを入れていたのか」


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