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告げ口1
「きょうつうごもわからないものは、おこさまでしょう?ちがう?」
「あの、それは……」
「共通語……」
ペリリアはようやくケイトが話していたのは、共通語だったのだと認識した。
まだ学園には通っていないが、カイルスを狙うような伯爵令嬢ならば、共通語はマスターしておくべきだろう。
「おかあさまにはしっかりこのけんをつたえさせていただきます」
「っな、いえ、迷子になっただけで。ペリリア、何か失礼なことをしたのか?」
「しましたわ、つつみかくさず、ことこまかにつたえます。おかえりください。でぐちはあちらです」
ケイトはピンと出口に繋がる道を指差した。
「ペリリア、何をしたんだい?」
「いえ、あの……」
オペイル伯爵はペリリアと視線を合わせて優しく問い掛けたが、不味い状況と分かっているために、話すことができなかった。
だが、正直、ケイトにとってはどうでもいい。
「おかえりくださいともうしたはずです。けいびをよびますか?」
「いえ、帰ります。申し訳ございませんでした」
「りゆうもわからないのに、あやまってもしかたありませんわ」
渋い顔をしたオペイル伯爵は、ペリリアを連れて慌てて帰って行った。
「セレニティさま、ぼこくのものがたいへんしつれいいたしました」
「い、いえ。ケイト様、凄いですね。私は驚いてしまって」
セレニティは口を挟む隙のないまま、ケイトがあっさりと撃退してしまったのだが、一人だったらと思うと追い詰められていただろうと思っていた。
「あんなのがあらわれたら、おどろいてとうぜんです。おはずかしいかぎりです」
「ケイト様、はげむすめは何だったのですか?」
「オペイルはくしゃくは、かいるすおにいさまをねらっておりますの。それで、むかし、わたしをつかおうとしたのです」
「殴れば良かった」
オーリーは最初から喧嘩腰だったために、何かあったのだろうと思ったが、一発殴れば良かったと二人が帰って行った先を睨み付けた。
「なぐってはだめよ、おかあさまならむしりとるというわ」
「そうでした、更地まっしぐらですもんね」
「まあ、おかあさま、そんなふうによんでいるの?」
「はい、広がっていく更地に、そのようにおっしゃっておりました」
「うまいです」
さすがお母様とケイトも認める、素晴らしい名付けである。
しかも、オペイル伯爵の頭部は前よりも進んでいるようだとは思っていた。
「ふっ、ふ」
「それで、そのときにおまえといっしょではげているのか、はげむすめなのかっていいましたの」
「言ったのですか」
「はい、いいました」
「そうですか」
思ったならば、よくあることではあるだろうが、ソアリスやケイトは言ってしまうことも、良しとはしないが、納得はする。
「だから、このむすめなのかときいたのです。わかっていないようでしたけど。なさけないわ。セレニティさまはもどるところでしたか?」
「はい」
「では、もうくじょしましたけど、きをつけておかえりください」
「ありがとうございます」
「わたしはつげぐちにいってきます」
「はい」
ケイトはオーリーを連れて、ソアリスの執務室に向かった。
「おかあさま、つげぐちにまいりました」
「まあ、告げ口、面白そうね。何があったの?」
ソアリスは悪の親玉のような悪い笑みを浮かべて、耳を傾けた。
「おやつもらえますか」
「それは内容次第ね」
「ぜったいにおかあさまはよろこぶじょうほうです」
「まあ、それは楽しみね」
ケイトはセレニティにペリリアが言ったこと、オペイル伯爵のことを全て包み隠さずに伝えた。
「クソクソクソ、オペイル―――!!」
ソアリスの怒りのオペイルが、執務室に響き渡った。
皆、ケイトの説明が聞こえて来て、こうなるだろうなと思っていたために、しっかりと受け止めた。
「あの、それは……」
「共通語……」
ペリリアはようやくケイトが話していたのは、共通語だったのだと認識した。
まだ学園には通っていないが、カイルスを狙うような伯爵令嬢ならば、共通語はマスターしておくべきだろう。
「おかあさまにはしっかりこのけんをつたえさせていただきます」
「っな、いえ、迷子になっただけで。ペリリア、何か失礼なことをしたのか?」
「しましたわ、つつみかくさず、ことこまかにつたえます。おかえりください。でぐちはあちらです」
ケイトはピンと出口に繋がる道を指差した。
「ペリリア、何をしたんだい?」
「いえ、あの……」
オペイル伯爵はペリリアと視線を合わせて優しく問い掛けたが、不味い状況と分かっているために、話すことができなかった。
だが、正直、ケイトにとってはどうでもいい。
「おかえりくださいともうしたはずです。けいびをよびますか?」
「いえ、帰ります。申し訳ございませんでした」
「りゆうもわからないのに、あやまってもしかたありませんわ」
渋い顔をしたオペイル伯爵は、ペリリアを連れて慌てて帰って行った。
「セレニティさま、ぼこくのものがたいへんしつれいいたしました」
「い、いえ。ケイト様、凄いですね。私は驚いてしまって」
セレニティは口を挟む隙のないまま、ケイトがあっさりと撃退してしまったのだが、一人だったらと思うと追い詰められていただろうと思っていた。
「あんなのがあらわれたら、おどろいてとうぜんです。おはずかしいかぎりです」
「ケイト様、はげむすめは何だったのですか?」
「オペイルはくしゃくは、かいるすおにいさまをねらっておりますの。それで、むかし、わたしをつかおうとしたのです」
「殴れば良かった」
オーリーは最初から喧嘩腰だったために、何かあったのだろうと思ったが、一発殴れば良かったと二人が帰って行った先を睨み付けた。
「なぐってはだめよ、おかあさまならむしりとるというわ」
「そうでした、更地まっしぐらですもんね」
「まあ、おかあさま、そんなふうによんでいるの?」
「はい、広がっていく更地に、そのようにおっしゃっておりました」
「うまいです」
さすがお母様とケイトも認める、素晴らしい名付けである。
しかも、オペイル伯爵の頭部は前よりも進んでいるようだとは思っていた。
「ふっ、ふ」
「それで、そのときにおまえといっしょではげているのか、はげむすめなのかっていいましたの」
「言ったのですか」
「はい、いいました」
「そうですか」
思ったならば、よくあることではあるだろうが、ソアリスやケイトは言ってしまうことも、良しとはしないが、納得はする。
「だから、このむすめなのかときいたのです。わかっていないようでしたけど。なさけないわ。セレニティさまはもどるところでしたか?」
「はい」
「では、もうくじょしましたけど、きをつけておかえりください」
「ありがとうございます」
「わたしはつげぐちにいってきます」
「はい」
ケイトはオーリーを連れて、ソアリスの執務室に向かった。
「おかあさま、つげぐちにまいりました」
「まあ、告げ口、面白そうね。何があったの?」
ソアリスは悪の親玉のような悪い笑みを浮かべて、耳を傾けた。
「おやつもらえますか」
「それは内容次第ね」
「ぜったいにおかあさまはよろこぶじょうほうです」
「まあ、それは楽しみね」
ケイトはセレニティにペリリアが言ったこと、オペイル伯爵のことを全て包み隠さずに伝えた。
「クソクソクソ、オペイル―――!!」
ソアリスの怒りのオペイルが、執務室に響き渡った。
皆、ケイトの説明が聞こえて来て、こうなるだろうなと思っていたために、しっかりと受け止めた。
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