私のバラ色ではない人生

野村にれ

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オペイル伯爵4

「カイルス様は?」
「元々、最初に利用されそうになった時のことも知っているから、何かあったのかと心配していたよ」

 カイルスにとって、そもそもソアリスに嫌われているオペイル伯爵、その孫娘ということで、既にマイナスであった。その上、ケイトを利用するなど許せることではなく、顔を合わせる形で会ってもいないが、既に嫌っている状態である。

「オペイル伯爵が一人で盛り上がって、勝手に言っていたのならいいですけど、今回のことで孫娘も孫娘だと分かりましたからね」
「はげむすめですからね」
「更地まっしぐらのしょわしょわだがな」

 三人は再び、今日のオペイル伯爵の姿が蘇り、ソアリスの言っていたことを激しく理解することになった。

 夕食の際に、アンセムはソアリスにしみじみと告げた。

「しょわしょわだった」
「ああ、謝罪に来たのでしたわね。頭は下げました?」
「ああ、下げた。ふわっとして、ドキっとした」
「その瞬間に両サイドを掴もうと試みて、手からすり抜けていく想像をしました?」

 アンセムはそんな想像までしていたのかと、テラーからもソアリスがかなり長きに渡って、嫌味を言われていたと、渾名はいい方で、オペイル伯爵の名前が似顔絵に変わるわよと聞かされていた。

 ロランもソアリスらしい名付けであったと、お茶を飲みながら、まるで何か手柄を上げたかのように言われた。

「そ、そこまでは私はしていないが、クイオは掴めないとは思ったらしい。オーランは渾名と走馬灯が頭を流れたそうだ」
「素晴らしい想像力ですわね」
「すり抜けてどうなるんだ?」
「掴めもしない毛など、毛髪と呼べるのかと怒鳴り付けるのです」
「酷い……」
「頭の中だけですから」

 実際にはしないことは分かってはいるが、やっている姿も想像ができるのがソアリスの恐ろしいところである。

「なんのはなし?」
「はげむすめじじいの話です」
「ソアリスッ」

 いつの間にやら、はげむすめじじいにもなっており、進化形に追加するのではないと、さすがに注意した。

「っあ、つい」
「ああ、さらちまっしぐらでしょう?」
「ケイトも知っていたのか」
「オーリーにおしえてもらいました」
「私も知っていますよ、お母様の大嫌いなオペイル伯爵でしょう?子どもの頃から、はげ散らかしやがって、散らかすくらいなら更地にしてしまえ!とよく言っておりましたものね」
「ソアリス……」

 カイルスにまで言われて、ソアリスはアンセムから視線を外した。

 最近、始まったことではないために、カイルスが子どもの頃もあらゆるバリエーションの暴言を吐いていた。

「でも、結局、更地になったでしょう?」
「ソアリスの呪いじゃないのか」
「おとうさま、さすが!」
「そうか?」

 珍しくケイトに褒められ、味方を得たことで気を良くしたが、すぐにソアリスに言い返された。

「毛根が死んでいただけですわ」
「おかあさまがもうこんをしなせたのではありませんの?」
「お母様にはそんな力はありません!そもそも、そんな力があったら、はげ山が出来上がっております」

 オペイル伯爵は腹の立つ筆頭ではあるが、それ以外にもいるために、そんな力があったら、もっと多くの更地まっしぐらが誕生している。

 その後もセレニティのことはオペイル伯爵に届くこともなく、ペリリアが一緒に来ることもなくなり、日々は過ぎて行った。

「だいよんおうじょもいきます」
「行くの?」
「おかあさまだけずるい」

 ソアリスとケイトが朝ご飯をご機嫌に食べた後で、安定の言い合いをしている。

「別にずるくないわよ」
「二人で行って来ればいいじゃないか」
「まあ、そうなんだけど」

 ソアリスは今日、午前中が空いたので、騎士団に行って、素振りを行おうと思っているようで、それを聞いてしまったケイトに、ずるいと言われているのである。

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