私のバラ色ではない人生

野村にれ

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剣術

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 セレニティから、ソアリスが今日はこんなことをしたという手紙をもらっており、素振りこそなかったが、走り込みをしていたなどと書かれている。

 そして、ケイトや孫を当然のように肩車して散歩していると、お祖母様もしていたのですかと書かれていて、エリザベータは飲んでいたお茶を吹き出すところだった。

「ええ」
「流石の私の母も元気な方だったが、肩車はしてもらったことはない」
「私の母なんて、赤子が限界だったのではないかしら」
「華奢な方だものな」

 エリザベータの母は、重たいものを持ったことがないような人で、さすがに孫は抱いていたが、それ以上の重さの物は見たことがない。

「騎士の子どもなら、してもらったことはあるでしょうけど……周りに少し訊ねてみたけど、いなかったもの」
「しかも、子に、孫もだからな」
「クロンデール王国では当然のように扱われていると、テラー様も私はできないけどと、説明されたそうよ」
「男女を分けるわけではないが、男性のすることだものな」
「でも、ソアリスの肩車が人気だというのがね……父親も祖父も立場がないわよね」

 ソアリスに肩車をされていることを知っているために、孫たちにお祖母様がいいと言われてしまう。

 どうやら、ソアリスは子どもと遊ぶのが上手いのだという。

 それでもさすがにソアリスも一人しかできないために、父親や祖父と皆で肩車をして、遊んでいると聞いて、想像するととても可笑しかった。

 だが、同時に何て微笑ましい王家なのだと思うが、ソアリスがいるからこそだろう。

「ああ、そこがまたいいな。私も是非、見てみたいものだな」
「セレニティが戻ったら、あなたがしてあげたら?」
「それは構わないが」

 フェリックスはソアリスの褒め称えるバーセム公爵のように、とても体格もいいために、成長したセレニティでも肩車くらいなら容易だろう。

 実はセレニティは、ソアリスにもう少し小さかったらしたかったのだけど、さすがに無理だと言われて、残念に思ってしまったと書いてあった。

 それを読んで、ソアリスよりも大きくなっているのだから、当然だろうと思っていた。

 フェリックスはなかなか国を離れられないが、そんな逞しいソアリスの姿を見てみたいと思うようになり、エリザベータが気に入ったことが身を持って理解できていた。

「本来は見習わないといけないことよね……私も護身術は習ったけど、護衛がいるからと思ってしまうものね」
「まあ、それも護衛という仕事だからな」

 護衛が必要ないとなることはないが、特に向いていない、体が弱い、女性は作りが違うのだからと護衛任せになってしまう。それが悪いとは言わないが、フェリックスも鍛錬を重ねていることから、セレニティの願いは嬉しい思いであった。

「でも、あなた嬉しいでしょう?」
「バレていたか」
「当然じゃない」

 エリザベータがフェリックスがセレニティの願いを喜びながらも、あまり期待しないようにとせめぎ合っていることに気付いていた。

「ジュリアンも見返せるのではないか?」
「そうね、許可というよりはこちらからお願いをして、様子を聞きましょう。必要ならこちらから教師を向かわせてもいいですし」
「ああ、護衛もいるから教えを乞うこともできるだろう」
「そうね」

 無事にアロワ王国からも許可が下りて、セレニティには女性騎士が指導に当たり、護衛からも助言をもらいながら、基礎体力を付けていった。

 ソアリスの見立て通り、セレニティは投げ出すことなく、続けられていた。

「セレニティ、明後日、猫を見に行きましょう」
「猫、あのおっしゃっていた」

 初めて会った時に、ソアリスが言っていたのだが、なかなか時間が取れなかったこともあるが、セレニティが慣れることも優先であったために、ようやく訪ねることになった。
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