私のバラ色ではない人生

野村にれ

文字の大きさ
764 / 861

マッドリー侯爵邸7

「オーリーが謝ることではないわ。食べ過ぎては駄目だと言ったのに食べたのはケイトで、遠慮するのも失礼だと分かっております」

 誰か付いて行くことも考えたが、6歳にもなったことから一人で行かせることにした。ゆえに、しっかり言い聞かせたつもりだったが、駄目だった。

「父と母と、祖母が、これも美味しいからとパーティーかなと思うほど並べておりまして……」

 さすがにオーリーも驚いたが、皆がニコニコしており、その中でも一番の笑顔であったのがケイトであった。こうなっては止めらない。

 ソアリスに怒られますからと何度か伝えはしたが、こどもはえんりょしてはいけないのよと、聞いてはもらえなかった。

 それからはオーリーは端に追いやられて、ケイトを囲んで、大接待状態で、可愛い、よく食べるというループに陥り、あれから邸ではケイトが可愛かったという話が毎回出てくるようになっている。

「私も食べることがとても好きだと話しておりましたから」
「私も覚悟はしていたのよ、食べる方がおかしいんだから」

 それでもまだ6歳なのだから、限界はあるだろうと考えていた。

 しかも、コースト侯爵家から、何度かケイトを招待したいと言われており、ようやく叶ったことであった。ゆえに、沢山食べてもらいたいという気持ちを無碍にもしたくなかった。

「でもソアちゃんも、物凄く食べていたわよね?」
「はい……こちらでケーキをホールでいただいたこともあります」
「っえ」

 オーリーが思わず信じられない目で見つめており、マッドリー侯爵家はオーリーにとってケーキを食べるところではなかったためである。

「夫とね、息子が別々にケーキを買って来てしまいましてね。丁度そこへソアちゃんが来て、全部食べていいのですかって、さすがに食べれるのかと思ったのだけど」
「食べれるのよ、怖いわよね……」

 今でも食べようと思えば食べれてしまうが、年を取って代謝が悪くなると聞いているために、さすがにホールケーキは食べないようにしている。

「でも、私はあんなに強請ったりはしなかったわ」
「強請る相手がいなかったからでしょう?」
「それもありますわね。でもこちらもですけど、ミッドラー侯爵家とか、叔母様のところには行っておりましたから、沢山食べるところはありましたの」

 ロアンスラー公爵邸でも頼めば食べることはできたが、両親に伝わって、足りなかったのか、強請るようなことをするなと言われることが嫌だった。

 ゆえに両親がいない場では、食べないようにしていた。

「そうでしたわね、栗を抱えてね」
「そうです」

 サエラは栗拾いが好きなこと、栗を食べたいこともあっただろうが、ロアンスラー公爵邸からは何も持って来れないために、何か持って行くためにソアリスが見付けたことだったのだろうと思っていた。

 ロアンスラー公爵家には、お礼などはしなかった。そんなことをして、ソアリスの行動を制限されるようなことになる方が問題だと思っていたのである。

 だからこそリッシュは、ソアリスに自分を守るために護身術を習わせていた。思ったより強くなってしまったが、それでも王太子妃になったのだから、運命は既に転がっていたのではないかと思っている。

「名前はね、私もソルちゃんと一緒で、多分才能がないの。だから、ケイトも私に似ているのなら、怪しいものよ……」
「ああ……」

 カイルスもさすがに、ケイトにそのような才能があるとは思えない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本日もお読みいただきありがとうございます。

あけましておめでとうございます

旧年中はお世話になりました
今年もよろしくお願いいたします

今年中ではなく、さすがに近い内に終わると思って書いております。
最後までお付き合いただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした

ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?  ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

【結婚式当日に捨てられました】身代わりの役目は不要だと姉を選んだ王子は、隣国皇帝が私を国ごと奪いに来てから後悔しても手遅れです。

唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。 本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。 けれど—— 私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。 世界でただ一人、すべてを癒す力。 そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。 これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。

わたくしの婚約者が病弱な幼馴染に縋り付かれた…あれ?

ぼん@ぼおやっじ
恋愛
ある日私の婚約者に幼馴染から連絡が来ました。 病気にかかって心細いから会いたいというのです。 これって最近聞いた… 私たち死一体どうなってしまうのでしょう…