私のバラ色ではない人生

野村にれ

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マッドリー侯爵邸13

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「コールとトイですわね」
「もう一枚、捲ってみてください」
「えっ?」

 サエラが捲ると、ロークとジスと、ミーアとナークの図案が現れて、驚いた。

「まあ、ロークとジスも」
「ミーアとナークも」
「ふふっ、是非、私には無理ですけど、刺繍にしてあげてください」

 ソアリスは刺繍はできないが、こうやってミランによく図案を描いたことを思い出し、懐かしく思った。

「ありがとう」
「何かお礼をせねばなりませんね」
「では、ソルちゃんとコロンちゃんも、カイルスとセレニティに稽古を付けてくださる?見たいわ」
「それは構わないが」
「カイルス、セレニティ、学ばせてもらいなさい」

 セレニティは目立たぬようにと乗馬服で来ていたために、問題はない。

「はい、よろしくお願いいたします」
「はい、お願いいたします」

 そこへリッシュとケイトとラオンとリソルも戻って来て、サエラが図案の説明をすると、それはお礼をせねばならんと唸った。

「ライック、ソルド、ミコロンしっかり見てやれ」
「はい」
「「はい」」

 カイルスとセレニティはライックとソルドとミコロンと庭に出ていき、ソアリスはリッシュに声を掛けた。

「おじ様は私とオーリーの師ですからね」
「ああ、そうだな」
「私は今日は王妃だから、オーリー、久し振りに見てもらったら?」

 王妃だからというのは、ドレスだからという意味である。

「っ、光栄でございます」
「それはいいな」

 オーリーは久し振りにリッシュに見られることに、リッシュも鋭い視線を向けており、一気に緊張感が走った。

「オーリーがんばって」
「はい」

 リッシュとオーリーも庭へ行くと、ケイトはソアリスに向き直った。

「おかあさま、おやつたべていい?」
「まだ食べるの?」
「ケイト、はしったりころがったりしたの。それでおなかがすいたのよ」

 ケイトはロークとジスと庭を駆け回り、すっかり満足していた。

「すぐにご用意しましょう」
「おば様、申し訳ございません」
「子どもが遠慮するものではありませんが、マッドリー侯爵家ですから」
「そうでしたわね」
「ソアちゃんもお皿がすっかり空っぽよ、さすがね」

 ソアリスも絵を描きながら摘まんでいたために、皿を見ていなかったが、山盛りあったはずのお菓子はなくなっていた。

「消えておりますわね」
「おかあさまのおなかにきえましたのよ」
「そうかしら?」

 ソアリスは周りを怪しむように見渡したが、ソアリスのお菓子を盗む様なものがいるわけがない。

「どうせ、おかあさまはいつものようにきづかないあいだにたべたのですよ。パクパクペロリおうひなんですから」
「パクパクペロリ王女に言われたくないわ」
「ケイトはまだ6さいだからゆるされるんですよ?みんなよくたべるねっていって、にこにこしてくださいますもの」
「まあ、お母様だって、今日もたくさん召し上がられて、嬉しゅうございますって」
「りょうりちょうでしょう?」
「そうよ!料理長はいつも私ににこにこよ!」

 カイルスがいないために、止めるとはすればキャロラインなのだが、料理長はいつもソアリスの食べっぷりににこにこしていると思い出していた。

 あれだけキレイに平らげられたら、嬉しいだろうと同意する気持ちしかなかった。

「りょうりちょうはわたしにもしてくれるわ」
「年月が違うのよ!」
「そんなのずるいわ、おかあさまのほうがおとしなんですから」
「まあ!50歳の中年は許されないって言うの!差別だわ」
「おかあさま、さべつではなく、げんじつです」
「あなたもいつか、中年になって同じ目に遭うのよ」
「まだまださきですもの」

 ソアリスがケイトを睨み付けていると、サエラとスーラは笑いを抑えきれなかった。

「ふふっ、ふ」
「ふっ、ふふふ」

 ソアリスとケイトはいつものことだが、サエラとスーラにとっては可愛いソアリスとケイトが言い合っていることが可愛くて堪らなかった。
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