私のバラ色ではない人生

野村にれ

文字の大きさ
790 / 861

捜索1

「キャロライン、バーセム公爵を連れて来て」
「はい」

 キャロラインが飛び出して行き、バーセム公爵を連れて戻ると、アンセムが書類を揃えてやって来た。

「ピデム王国からの旅行者、マリー・エージが行方不明。セザンアース侯爵の血筋であるために、カリル国王陛下、セザンアース侯爵家から許可を得ている。だが、表向きはソラクス・セザンアース侯爵の娘であるアルマー・セザンアース侯爵令嬢が行方不明という形にし、二人が一緒にいた目撃情報があったことから、コンパル伯爵家の捜索する。捜索指揮はバーセム公爵が執ってくれ」
「は!」
「ソアリス、怪我はするな」
「悪い口は?」
「もしも、彼女が見付かれば、フルスロットルを許可する」
「まあ、太っ腹!」

 ソアリスはポーンと自身のお腹を叩き、豪快に笑ったが、すぐに真剣な眼差しに戻った。

 嫌な予感が外れて欲しいと思いながらも、早く見つかって欲しい、まずはコンパル伯爵家を潰さなくてはならない。

 ソアリス、メディナとポーリアとキャロラインと護衛たち、バーセム公爵、騎士団員、女性医師たちはコンパル伯爵家へ向かった。

 まずはバーセム公爵が、捜索を行うために入って行き、ソアリスは見付かるまで馬車で待機となる。

「コンパル伯爵に訊ねたいことがある」
「は!」

 門番は突然現れた、大きな騎士団長に仰け反りながら、一人はコンパル伯爵に話をしに向かい、一人は門を開けた。

 バーセム公爵と騎士団員は、邸に向かい、エントランスにはケインドル、リリンナッタ夫妻が怯えたように立っていた。

「何かあったのでしょうか」
「ああ、ピデム王国のアルマー・セザンアース侯爵令嬢を知らないか?この女性だ」

 マリーの写真はエーゲンが入手して戻っていたが、バーセム公爵が見せたのはソアリスが描いた似顔絵の方である。写真ではないのは、似てなかったで済むというソアリスの判断であった。

 だが、実際のマリーはソアリスが描いた似顔絵によく似ており、同時にアマリリスによく似ていた。

「い、いいえ」
「夫人は?」
「ぞ、存じ上げません」
「こちらの令嬢とご子息、ルックリンツソルと一緒にいたという目撃情報がある。呼んで来てくれ」
「え?は、はい」

 執事にルックリンツソルを連れて来るように言い、はいと返事はしたが、苦い表情を浮かべていた。

「護衛を付けるか?」
「いえ」
「誰か一緒に行ってくれ」
「「は!」」

 有無を言わさずに、男性騎士団員と女性騎士団員が一緒に向かった。

「息子が疑われているのですか?」
「話を聞きたい」
「誤解です……」
「話を聞きたいと言っているのだ、ピデム王国の侯爵令嬢。国際問題になることは分かるだろう?」
「っ……はい」

 バーセム公爵はじっと夫妻を見つめながら、ルックリンツソルがやって来るのを待った。しばらくすると、別邸からルックリンツソルらしき男性と、執事と騎士団員が戻って来た。

「ルックリンツソル・コンパルか?」
「……はい」

 現れたルックリンツソルは、長い前髪で目を隠していたが、整った顔立ちはしているが、目を合わせようともしない。

「この女性と何を話した?」

 再び似顔絵を見せると、前髪で表情は見えなかったが、動揺が感じ取れた。

「別に……たいした、ことは」
「何を話したと聞いている」

 バーセム公爵は既に知っているとい体で話しており、接触があったと確信したことを騎士団員も感じ取り、すぐに動けるようにと構えた。

「旅行をしていると聞いただけです」
「彼女が何者か知っていてのことか?」
「っえ?」
「ピデム王国の侯爵令嬢だそうだ」

 ケインドル・コンパル伯爵はバーセム公爵は誰かを告げないために、恐る恐る話をしたが、ルックリンツソルは動揺を見せた。

「っ、違います……」
「何が違う?」

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした

ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?  ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

真実の愛の裏側

藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。 男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――? ※ 他サイトにも投稿しています。

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

【結婚式当日に捨てられました】身代わりの役目は不要だと姉を選んだ王子は、隣国皇帝が私を国ごと奪いに来てから後悔しても手遅れです。

唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。 本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。 けれど—— 私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。 世界でただ一人、すべてを癒す力。 そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。 これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結