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何があったのか
「入ってくれ」
ソアリスが入室すると、小さくお辞儀をして、ふらふらと力なくソファに座った。アンセムは前に座り、何かあったのだろうと真剣に問い掛けた。
「何かあったんだな?」
「ええ、もう一人の方の名前は分かったわ。ミリス・エザンさん。クロンデール王国の平民だとマリーから聞くことができたわ。バーセム公爵は紹介所を当たってもらうように頼みました」
「そうか、まだ目覚めていないのか?」
「ええ」
「そうか……心配だな」
いつから眠っているのか分からないが、保護されてから半日は経っており、目覚めていないことが心配になった。
「ミリスさん、妊娠していたわ……」
「んっ、そうか……そうか」
ソアリスの覇気のない姿の答えが分かった。オーランは眉間に皺を寄せ、クイオは思わず仰け反ってしまい、ふらついていた。
「バーセム公爵には伝えてあるわ、でも当分は洩らさないで。コンパル伯爵家にも知られたくないわ」
「分かった、皆も分かっているな」
オーランとクイオも、護衛たちもブンブンと頷いていた。
「これからマリーさんと話をすることになったの」
「もう?大丈夫なのか?」
「私もそう思ったのだけど、ママード医師によると、自分のことよりもミリスさんのことを話したいのではないかと言うの」
「なるほど、何か伝えたいことがあるのだな」
「ええ、本人は言い辛いのようなことを伝えたいと思っているのかもしれないわ」
「そうか」
さらにソアリスの覇気のない様子に合点がいった。これから、何があったかを聞くことになる。
「ふう!おし!」
ソアリスは座ったままではあるが、目を見開き、腕をぶんぶん回転させ始めた。
「悪の親玉を降臨させて、しっかり聞くことにする」
「降臨させなくとも……」
「いや、悪の親玉が一番向いているだろう?目には目を、悪には悪だろう?逆鱗を呼び覚ますのは、その後だな」
アンセムは悪に悪い口は相性がいいのか、悪いのか分からないが、ソアリスの最大の武器である。そして間違いなく、逆鱗に触れることになるだろうと口にはしなかったが、しっかり支えようと心に決めた。
ソアリスは力強く退出し、執務室に戻ると、メディナとポーリアも戻っていた。
「準備はできた?」
「はい」
「はい」
「ありがとう、では参りましょう」
メディナが用意した部屋でソアリス、メディナ、キャロラインが待ち、ポーリアがマリーとママード医師を呼びに行き、護衛はマリーが入室してからドアの外で護衛をすることにした。
しばらくすると、ポーリアが連れてやって来た。
「王妃陛下にご挨拶、申し上げます」
「丁寧にありがとう、座って頂戴」
ソアリスは悪の親玉は心の中に潜め、穏やかに微笑んだ。
「マリー・エージさんね」
「はい、この度は助けていただきありがとうございました」
「いいえ、王妃として当然のことで、遅くなってしまい、申し訳なく思っております」
「いえ、謝らないでください」
マリーはソアリスに謝罪をされたことに、両手を激しく振って慌てた。
「いいえ、国の者が悪いことをしたのなら、謝るのは当然です」
マリーはママード医師からこれから新聞でしか見たことのない、王妃陛下が話をすることになると言われて、身体が固まってしまった。
だが、ママード医師はソアリスは素晴らしい方で、ちゃんと話を聞いてくれる方です。身を任せて話すといいと言われていた。
「おかしなことを聞くようだけど、邸の中のことは分からないから、あの男に不愉快な思いをさせられたという認識でいいのよね?」
「はい……」
「辛くて話せないことは、相手が王妃だろうが、何だろうが、無理に話さなくていい。話せる時が来てからでいいから」
「はい……」
マリーの目から涙がポロポロ零れ落ち、ママード医師が慌ててハンカチを渡した。
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本日もお読みいただきありがとうございます。
久しぶりに1日2話、投稿させていただきます。
17時に、もう1話投稿します。
どうぞよろしくお願いいたします。
ソアリスが入室すると、小さくお辞儀をして、ふらふらと力なくソファに座った。アンセムは前に座り、何かあったのだろうと真剣に問い掛けた。
「何かあったんだな?」
「ええ、もう一人の方の名前は分かったわ。ミリス・エザンさん。クロンデール王国の平民だとマリーから聞くことができたわ。バーセム公爵は紹介所を当たってもらうように頼みました」
「そうか、まだ目覚めていないのか?」
「ええ」
「そうか……心配だな」
いつから眠っているのか分からないが、保護されてから半日は経っており、目覚めていないことが心配になった。
「ミリスさん、妊娠していたわ……」
「んっ、そうか……そうか」
ソアリスの覇気のない姿の答えが分かった。オーランは眉間に皺を寄せ、クイオは思わず仰け反ってしまい、ふらついていた。
「バーセム公爵には伝えてあるわ、でも当分は洩らさないで。コンパル伯爵家にも知られたくないわ」
「分かった、皆も分かっているな」
オーランとクイオも、護衛たちもブンブンと頷いていた。
「これからマリーさんと話をすることになったの」
「もう?大丈夫なのか?」
「私もそう思ったのだけど、ママード医師によると、自分のことよりもミリスさんのことを話したいのではないかと言うの」
「なるほど、何か伝えたいことがあるのだな」
「ええ、本人は言い辛いのようなことを伝えたいと思っているのかもしれないわ」
「そうか」
さらにソアリスの覇気のない様子に合点がいった。これから、何があったかを聞くことになる。
「ふう!おし!」
ソアリスは座ったままではあるが、目を見開き、腕をぶんぶん回転させ始めた。
「悪の親玉を降臨させて、しっかり聞くことにする」
「降臨させなくとも……」
「いや、悪の親玉が一番向いているだろう?目には目を、悪には悪だろう?逆鱗を呼び覚ますのは、その後だな」
アンセムは悪に悪い口は相性がいいのか、悪いのか分からないが、ソアリスの最大の武器である。そして間違いなく、逆鱗に触れることになるだろうと口にはしなかったが、しっかり支えようと心に決めた。
ソアリスは力強く退出し、執務室に戻ると、メディナとポーリアも戻っていた。
「準備はできた?」
「はい」
「はい」
「ありがとう、では参りましょう」
メディナが用意した部屋でソアリス、メディナ、キャロラインが待ち、ポーリアがマリーとママード医師を呼びに行き、護衛はマリーが入室してからドアの外で護衛をすることにした。
しばらくすると、ポーリアが連れてやって来た。
「王妃陛下にご挨拶、申し上げます」
「丁寧にありがとう、座って頂戴」
ソアリスは悪の親玉は心の中に潜め、穏やかに微笑んだ。
「マリー・エージさんね」
「はい、この度は助けていただきありがとうございました」
「いいえ、王妃として当然のことで、遅くなってしまい、申し訳なく思っております」
「いえ、謝らないでください」
マリーはソアリスに謝罪をされたことに、両手を激しく振って慌てた。
「いいえ、国の者が悪いことをしたのなら、謝るのは当然です」
マリーはママード医師からこれから新聞でしか見たことのない、王妃陛下が話をすることになると言われて、身体が固まってしまった。
だが、ママード医師はソアリスは素晴らしい方で、ちゃんと話を聞いてくれる方です。身を任せて話すといいと言われていた。
「おかしなことを聞くようだけど、邸の中のことは分からないから、あの男に不愉快な思いをさせられたという認識でいいのよね?」
「はい……」
「辛くて話せないことは、相手が王妃だろうが、何だろうが、無理に話さなくていい。話せる時が来てからでいいから」
「はい……」
マリーの目から涙がポロポロ零れ落ち、ママード医師が慌ててハンカチを渡した。
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