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経緯1
「あっ、すみません。いいのですか?」
「お使いください」
「すみっ、ません……ありがとうございます。何だか、目では理解していたのですが、やっと実感が湧いて来て……」
ソアリスはガッシリと抱きしめてやりたい気持ちだったが、驚かせてしまうだろうと我慢した。
「あなたのペースで、ゆっくりでいいわ。後、美味しいジュースを用意しましたの。どの味がいいかしら?」
ポーリアがアップル、オレンジ、グレープ、グレープフルーツ、トマトのジュースをワゴンを運んで来て、答えを待った。
「はい、ではアップルをお願いします」
「分かりました。ソアリス様はいかがしますか?」
「私はオレンジにするわ」
「承知いたしました」
ポーリアはオレンジジュースをソアリスの前に、アップルジュースをマリーの前に置いた。
「召し上がれ」
ソアリスはそう言って、オレンジを豪快にグビグビと一気飲みして見せ、「美味しい、もう一杯」と声を上げた。ポーリアはすかさず追加で注いだ。
「マリーさんはゆっくり飲んで頂戴ね。私、喉が渇いていたみたい。失礼しました」
「いえ……ありがとうございます」
マリーもアップルジュースを一口、美味しかったのか、もう一口と飲んだ。
相手が口を付けやすいように、おかわりもしやすいように、褒められたマナーではないが、ソアリス流の和ませる雰囲気作りである。
「実はね、あなたがいなくなったと、美味しい肉串屋の奥さんから聞いたの。とても心配してらしたわ」
「っえ、奥さんが……?」
セザンアース侯爵家のこともあるが、どう思っているかはまだ分からないために、控えることにした。
「そう、私も常連なの。とってもお肉がジューシーで美味しいわよね」
「はいっ」
マリーは涙を拭っていたが、肉串屋のことを思い出し、酷く懐かしく感じた。
「奥さんが……そうだったんですね、ありがとうございます」
「元気な姿を見せてあげるといいわ」
「はい……あの、話を聞いてください」
「ええ」
「でもどこから話したらいいか……すみません」
話をしたい、話を聞いて欲しいと思う気持ちばかりが先走ってしまい、どこから切り出せばいいのか分からなかった。
「では、私が知る限りになるけど、質問をして答えてくれる?何か話したいことがあったら、その都度、話をするのはどう?」
「はい、お願いいたします」
「では、まずピデム王国からクロンデール王国に来たのは、8月30日よね?」
「はい、そうです」
マリーはその言葉に本当に調べてくれて、探してくれていたのだと、実感した。
「王都に来たのは?」
「9月9日です、アディエンシスホテルに泊まっていました」
「荷物はこちらで預かっているから、心配しないで」
「あっ、ありがとうございます。ずっと気になっていたんです」
「そうよね、貴重品はあの家に?」
「そ、そうです」
コンパル伯爵家ではなく、あの家と表現したが、それでもマリーの方がビクリとし、ソアリスはなるべく穏やかに問い掛けた。
こういった時だけは、ソアリスの容姿が苛烈な悪い口を持っているとは思えない特徴が役に立つ。
「どこにあるか分かる?鞄の形とかでもいいわ」
「どこかのクローゼットにあると思います。キャメル色の小さめの鞄です」
「ありがとう。メディナ、伝えて来てくれる?」
「はい、承知いたしました」
「すみません」
メディナはマリーに微笑み、バーセム公爵に伝えるためにに部屋を出て行った。
「他にもいる物は運び出しているはずだから、落ち着いたら確認するといいわ」
「はい」
「王都に来るまではどこにいたの?細かいところは言いたくなかったら言わなくていいから」
「いえ、言えないことはありません。船で来たので移動と、トレアン子爵領に」
「トレアン子爵領には何か目的があったの?」
思いがけない家の名前が出たが、ソアリスは驚くことなく、淡々と続けた。
「お使いください」
「すみっ、ません……ありがとうございます。何だか、目では理解していたのですが、やっと実感が湧いて来て……」
ソアリスはガッシリと抱きしめてやりたい気持ちだったが、驚かせてしまうだろうと我慢した。
「あなたのペースで、ゆっくりでいいわ。後、美味しいジュースを用意しましたの。どの味がいいかしら?」
ポーリアがアップル、オレンジ、グレープ、グレープフルーツ、トマトのジュースをワゴンを運んで来て、答えを待った。
「はい、ではアップルをお願いします」
「分かりました。ソアリス様はいかがしますか?」
「私はオレンジにするわ」
「承知いたしました」
ポーリアはオレンジジュースをソアリスの前に、アップルジュースをマリーの前に置いた。
「召し上がれ」
ソアリスはそう言って、オレンジを豪快にグビグビと一気飲みして見せ、「美味しい、もう一杯」と声を上げた。ポーリアはすかさず追加で注いだ。
「マリーさんはゆっくり飲んで頂戴ね。私、喉が渇いていたみたい。失礼しました」
「いえ……ありがとうございます」
マリーもアップルジュースを一口、美味しかったのか、もう一口と飲んだ。
相手が口を付けやすいように、おかわりもしやすいように、褒められたマナーではないが、ソアリス流の和ませる雰囲気作りである。
「実はね、あなたがいなくなったと、美味しい肉串屋の奥さんから聞いたの。とても心配してらしたわ」
「っえ、奥さんが……?」
セザンアース侯爵家のこともあるが、どう思っているかはまだ分からないために、控えることにした。
「そう、私も常連なの。とってもお肉がジューシーで美味しいわよね」
「はいっ」
マリーは涙を拭っていたが、肉串屋のことを思い出し、酷く懐かしく感じた。
「奥さんが……そうだったんですね、ありがとうございます」
「元気な姿を見せてあげるといいわ」
「はい……あの、話を聞いてください」
「ええ」
「でもどこから話したらいいか……すみません」
話をしたい、話を聞いて欲しいと思う気持ちばかりが先走ってしまい、どこから切り出せばいいのか分からなかった。
「では、私が知る限りになるけど、質問をして答えてくれる?何か話したいことがあったら、その都度、話をするのはどう?」
「はい、お願いいたします」
「では、まずピデム王国からクロンデール王国に来たのは、8月30日よね?」
「はい、そうです」
マリーはその言葉に本当に調べてくれて、探してくれていたのだと、実感した。
「王都に来たのは?」
「9月9日です、アディエンシスホテルに泊まっていました」
「荷物はこちらで預かっているから、心配しないで」
「あっ、ありがとうございます。ずっと気になっていたんです」
「そうよね、貴重品はあの家に?」
「そ、そうです」
コンパル伯爵家ではなく、あの家と表現したが、それでもマリーの方がビクリとし、ソアリスはなるべく穏やかに問い掛けた。
こういった時だけは、ソアリスの容姿が苛烈な悪い口を持っているとは思えない特徴が役に立つ。
「どこにあるか分かる?鞄の形とかでもいいわ」
「どこかのクローゼットにあると思います。キャメル色の小さめの鞄です」
「ありがとう。メディナ、伝えて来てくれる?」
「はい、承知いたしました」
「すみません」
メディナはマリーに微笑み、バーセム公爵に伝えるためにに部屋を出て行った。
「他にもいる物は運び出しているはずだから、落ち着いたら確認するといいわ」
「はい」
「王都に来るまではどこにいたの?細かいところは言いたくなかったら言わなくていいから」
「いえ、言えないことはありません。船で来たので移動と、トレアン子爵領に」
「トレアン子爵領には何か目的があったの?」
思いがけない家の名前が出たが、ソアリスは驚くことなく、淡々と続けた。
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