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正体2
「リズ、名前は覚えてる?」
「えっと、阿保阿保娘あっぱらパールってことは、名前はパールよね?」
リズは当然、ソアリスのおかしな渾名については把握しているために、記憶を呼び戻そうとした。
「そうそう」
「んもう!そうそうじゃないのよ、あの時に聞いたのよね……確か、宝石の名前だったはずよ、えっとダイヤ、そうダイヤだと思うわ」
「ダイヤ……輝かしい名前をお持ちだったのね」
彼女がダイヤなら、ミリス・エザンはどこから名付けたのだろうかと思った。
「確かあの後妻が、ルビーだったんじゃないかしら」
「なるほどね」
「私もあの姉妹は、商会で一緒にいるのを見たの。その時は、濃い化粧はしてなかったわね。それで、その後で、ソアリスに話を聞いたのよ。あのくっせぇ、乳房丸出しドレスはどこに売ってんだ?っていう話」
バーセム公爵邸に来た時に、ソアリスはリズ相手にも文句を吐き出していた。
「さすが、よく覚えているわね」
「あなたがぎゃあぎゃあと話していたんじゃない」
「それはそうね。ちなみに乳房丸出しドレスの販売店は今なら蝶に聞いて知っているのよ?」
ソアリスは自身満々に胸を張りながら、どこか誇らしそうに話し始めた。
「あなた、さすが着れないわよ」
「嫌がらせ以外に、ご利用することはさすがにないわ」
「嫌がらせって」
「ばばあの乳房丸出しドレスなんて、嫌がらせでしょう?そんな場はさすがに訪れないと思うのよ」
「訪れなくていいわよ」
「ハニートラップ要因にもなれないでしょうしね」
「ならなくていいのよ、どこの国に王妃がハニートラップするって言うのよ」
「未経験の男性を殺すっていうドレスもあるそうよ。こう谷間の部分に布がないんですって」
ソアリスは胸元に両手の親指と人差し指で丸を作って、ニヤリと笑った。
「まあ、いやらしいわね」
「そう、それが殺しになるそうよ。なんて魅惑な殺しよね」
「ふふふ、ソアリス様とリズ様は変わりませんわね。学生の頃も楽しそうに話してらっしゃって、羨ましかったですわ」
ジュリーラは遠目で見ていたソアリスとリズの楽しそうな会話に、あの頃が思い出されて、思わず笑ってしまった。
「ジュリーラだって、ご友人は多いでしょう?」
「それでも、お二人のように気やすい関係ではありませんわ」
ジュリーラは近寄りがたい印象もあるせいか、友人と言っても、ソアリスとリズのようになんでも話せる相手は正直、いないかもしれないと思っていた。
「ソアリスのせいよ、私だって他の相手ならもうちょっと上品に振舞うわ」
「まあ、リズは黙っていたらお上品ですものね」
「ソアリスだって黙っていれば、大人しそうに見えるわよ」
「ほほほほほ、ひょろガーリーに似たせいですわよね」
「ひょろガーリーって、おじ様そんな名前になったのね」
「ふっふっふ」
子どもの頃から父親の文句も聞かされていたために、キリスの名前はその時々で色々変わっている。
「ロアンスラー前公爵でございますね、以前は何でしたの?」
「くたびれたおっさん、樽の横にいる人、5秒で殺せそうな男、役立たず、クソじじい……」
「聞いておいてあれですけど、想像以上に酷いですわね……」
「あら、そんなに言っていたかしら?」
「そうよ、木の枝っていうのもあったわね」
ジュリーラも長い付き合いであるために、ソアリスの生い立ちは知っており、マルシャが樽と呼ばれているのも知っている。だが、キリスについてはあまり聞いたことがなかった。
話が脱線していると、キャロラインが声を上げた。
「ソアリス様、出戻ったのはバイロン男爵家です!リズ様のおっしゃる通り、後妻はルビー、姉妹はダイヤとパールと記載がございます」
皆が叫んでいる間にポーリアとキャロラインは、ビリジュ伯爵家のことを書き記した書類を探し出し、後妻と子どもが戻った男爵家を調べていた。
「えっと、阿保阿保娘あっぱらパールってことは、名前はパールよね?」
リズは当然、ソアリスのおかしな渾名については把握しているために、記憶を呼び戻そうとした。
「そうそう」
「んもう!そうそうじゃないのよ、あの時に聞いたのよね……確か、宝石の名前だったはずよ、えっとダイヤ、そうダイヤだと思うわ」
「ダイヤ……輝かしい名前をお持ちだったのね」
彼女がダイヤなら、ミリス・エザンはどこから名付けたのだろうかと思った。
「確かあの後妻が、ルビーだったんじゃないかしら」
「なるほどね」
「私もあの姉妹は、商会で一緒にいるのを見たの。その時は、濃い化粧はしてなかったわね。それで、その後で、ソアリスに話を聞いたのよ。あのくっせぇ、乳房丸出しドレスはどこに売ってんだ?っていう話」
バーセム公爵邸に来た時に、ソアリスはリズ相手にも文句を吐き出していた。
「さすが、よく覚えているわね」
「あなたがぎゃあぎゃあと話していたんじゃない」
「それはそうね。ちなみに乳房丸出しドレスの販売店は今なら蝶に聞いて知っているのよ?」
ソアリスは自身満々に胸を張りながら、どこか誇らしそうに話し始めた。
「あなた、さすが着れないわよ」
「嫌がらせ以外に、ご利用することはさすがにないわ」
「嫌がらせって」
「ばばあの乳房丸出しドレスなんて、嫌がらせでしょう?そんな場はさすがに訪れないと思うのよ」
「訪れなくていいわよ」
「ハニートラップ要因にもなれないでしょうしね」
「ならなくていいのよ、どこの国に王妃がハニートラップするって言うのよ」
「未経験の男性を殺すっていうドレスもあるそうよ。こう谷間の部分に布がないんですって」
ソアリスは胸元に両手の親指と人差し指で丸を作って、ニヤリと笑った。
「まあ、いやらしいわね」
「そう、それが殺しになるそうよ。なんて魅惑な殺しよね」
「ふふふ、ソアリス様とリズ様は変わりませんわね。学生の頃も楽しそうに話してらっしゃって、羨ましかったですわ」
ジュリーラは遠目で見ていたソアリスとリズの楽しそうな会話に、あの頃が思い出されて、思わず笑ってしまった。
「ジュリーラだって、ご友人は多いでしょう?」
「それでも、お二人のように気やすい関係ではありませんわ」
ジュリーラは近寄りがたい印象もあるせいか、友人と言っても、ソアリスとリズのようになんでも話せる相手は正直、いないかもしれないと思っていた。
「ソアリスのせいよ、私だって他の相手ならもうちょっと上品に振舞うわ」
「まあ、リズは黙っていたらお上品ですものね」
「ソアリスだって黙っていれば、大人しそうに見えるわよ」
「ほほほほほ、ひょろガーリーに似たせいですわよね」
「ひょろガーリーって、おじ様そんな名前になったのね」
「ふっふっふ」
子どもの頃から父親の文句も聞かされていたために、キリスの名前はその時々で色々変わっている。
「ロアンスラー前公爵でございますね、以前は何でしたの?」
「くたびれたおっさん、樽の横にいる人、5秒で殺せそうな男、役立たず、クソじじい……」
「聞いておいてあれですけど、想像以上に酷いですわね……」
「あら、そんなに言っていたかしら?」
「そうよ、木の枝っていうのもあったわね」
ジュリーラも長い付き合いであるために、ソアリスの生い立ちは知っており、マルシャが樽と呼ばれているのも知っている。だが、キリスについてはあまり聞いたことがなかった。
話が脱線していると、キャロラインが声を上げた。
「ソアリス様、出戻ったのはバイロン男爵家です!リズ様のおっしゃる通り、後妻はルビー、姉妹はダイヤとパールと記載がございます」
皆が叫んでいる間にポーリアとキャロラインは、ビリジュ伯爵家のことを書き記した書類を探し出し、後妻と子どもが戻った男爵家を調べていた。
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