私のバラ色ではない人生

野村にれ

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 バーセム公爵と騎士たちは出て行き、次に戻って来たのはメディナ、ルルエ、ミソラ、シェリーであった。

「お話を聞きました。確証はありませんが、そうかもしれません。私も濃いめの化粧をしたところしか見たことがございませんので、一致はまだしませんが……」

 ルルエはまだメディナのようにスッキリはしていないようだったが、ダイヤは濃い化粧をしていたことは明らかのようである。

「そう、やはり化粧なのね」
「ミソラは?」
「私もでございます。派手は装いでしたので、母親も姉妹も覚えてはおりますが……ミリスさんとは一致しません」

 ミソラもビリジュ伯爵家に入った後妻と連れ子ということで、注目を集めていた上に、着飾った姿が目に付く母娘だったために覚えてはいた。

「私は全く分かりません。もしかしたら、妊娠中か、産後だったのかもしれません」
「その可能性があるわね」
「はい……」

 丁度、社交界から遠ざかっていた時期と重なっていれば、出会うこともないまま、消えて行ったのだろう。

「学園にいた記憶はない?」
「ありません」
「私もありません」
「私もです」

 皆が否定をして、既に卒業していたか、学年が違えば、全員を把握することは難しいとも言える。

「そうなると、女学校が濃厚になって来たわね」
「そうかもしれませんね」
「では、あちらに連絡を取ってみましょう。あら、私の第一子は?」

 そういえば、ユリウスが来ていないことにようやく気付いた。

「面会をしているそうで、終わられたら来ていただくように話して参りました」
「そうだったのね」

 ルルエ、ミソラ、シェリーは手伝えることがあったらいつでも呼んでくださいと戻っていった。しばらくすると、ユリウスがようやくやってきた。

「お待たせしました」
「ごめんなさいね、面会だったのね」
「いえ、大丈夫です。それで、分かったのですか?」
「まだかもしれないだけど、阿保阿保娘あっぱらパールの姉の可能性が高いの」
「あの?」

 ユリウスも驚くことなく、当時のパール・ビリジュが思い出された。

「そう、あの臭い娘」
「臭い娘……ですが、姉とは会ったことはありませんね」
「話を聞いたことも?ダイヤって名前らしいの」
「ないですね、パールにダイヤ……あの臭い娘は自分のことばかり話していたように思います。聞いていませんでしたけど」
「やっぱりそうなのね、ありがとう」

 パールには少なからず関わっていたことから、会ったことがある可能性を考えていたが、学園の生徒ではないのなら難しいだろう。

「いいえ、でもあの臭い娘は学園を卒業したのでしょうか?いや、学費が払えなくなったと聞いたような?」
「それも調べた方がいいわね」
「学園にパールを、女学校にダイヤがいたかどうか、問い合わせてもらえる?」
「「はい」」

 キャロラインが学園に、メディナが学園に問い合わせることになった。

「何の因果なんでしょうか……」
「ねえ、そう思うわよね」

 十年以上の時を超えて今度は、阿保阿保娘あっぱらパールの姉が姿を現すとは思っていなかった。

「母上を怒らせた相手が、今度は被害者として現れたということですよね?でも、なぜ名前を?隠したかったということでしょうか」
「追い出されたことは有名ですからね」
「それでも男爵令嬢と伯爵令息ということですよね、結婚できなくもないとは思いますけど……印象の悪い娘ですからね」
「しかも、最低でも10歳以上は離れているのよ」
「ああ、そうですよね」

 世代が違うと言っていい年の差で、二人がどのような関係なのかはそれぞれに訊ねるしかない。

「ルックソ野郎はあれでも小童の変態ですからね」
「ルックソ野郎……小童の変態……どんな人間か分かる例えです」
「そうでしょう?」

 そこへ管理課に調べに行っていたポーリアが職員と共に書類を抱えて、ようやく戻って来た。

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