私のバラ色ではない人生

野村にれ

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正体8

「ですが、こちらは当時の過剰な流行りの化粧と言いますか」
「流行りがあるの?」
「ございます」

 ソアリスは知らなかったと言わんばかりにポーリアに真剣に頷いたが、その顔は50歳とは思えないほどの美貌である。

「校長こちらお借りしてもいいかしら?」
「そのつもりで持って参りました」
「ありがとう。それで、彼女の進路は覚えている?」

 あまりに今の素朴な姿との違いに話し込んでしまったが、ソアリスは気を取り直して、校長とアリーに向き直った。

「婚約者を探してくれていると申しておりました」
「ビリジュ伯爵がかしらね?」
「そうなのでございます。卒業時はまだビリジュ伯爵家でしたので、納得したのですが、その後に離縁となったと聞いて、内容が内容でしたので、婚約者は見付からなかったのではないかと考えておりました」

 ビリジュ伯爵令嬢に嫌がらせを行っていたことから、伯爵が見付けたとは思えず、見付かっていたとしても貴族令嬢だった間に結婚した様子はない。

「ケイシュー子爵が生きていたら違ったのかしら?」
「どうでしょうか。それよりも現実を見て、己を顧みる方が必要だったと思います」
「そうね、妹の方は学園に通っていて一度だけ会っているのだけど『王妃様?あの私、パール・ビリジュと言います。ユリウス様と親しくさせて貰っていてぇ~』って話し方だったのですけど」

 校長の顔がみるみるうちに引き攣り、目が吊り上がっていた。

「恐れながら、ダイヤに似ていると思います」
「そうなのね」
「異性がいない環境で良かったと思っております」

 ダイヤはビリジュ伯爵家に入る前に女学校に通っており、パールはビリジュ伯爵家に入ってから学園に通っていた。

 パールと同じであれば、ユリウスを追い掛けて王宮に来るくらいだから、似たようなことをしていたのかもしれない。

「それでトオン先生は我が校の卒業生で、ダイヤよりも一つ年上なのですが、彼女の卒業後のことを知っていると申しましたので連れて参りました」
「そうだったのね、教えてくださる?」

 学園側も同行者がいたために、何か知っている人物であることは想定できた。パールよりもしっかり話してもらわないとならないために、穏やかに問い掛けた。

「はい!卒業後というよりは、ビリジュ伯爵家から出た後の話になります。彼女は派手だったことから分かるように贅沢がやめられず、借金を抱えるようになっていたようです」
「パーティーなどにも参加していたのかしら?」

 除籍の理由も借金で会ったことから驚くことではないが、お金がないのは分かるが、パーティーに出席することもなくなったはずで、何のせいで借金を抱えることになったのか。

「招待制ではないパーティーには顔を出していたようです」
「そうなのね」

 家や食事もお金はかかるだろうが、派手な女性ならばドレスや装飾品、後はそれこそ化粧品だと思ったが、案の定ということかもしれない。

「その借金はどうなったのかしら?」
「詳しくは分からないのですが、おそらくまともなところでは借りられなくなったのか、返済のためなのか分かりませんが……その、いつからかも店も分かりませんが娼婦をしていたと聞いております」
「まあ」

 借金持ちの末路として意外ではないのだが、パールは違ったことから、ダイヤも一度は王都を離れたのかと思ったが、そうではなかったのかもしれない。

「メディナ、明日でいいからリーリーとミントと会長に連絡して来てもらえるか聞いて」

 リーリーは元娼婦で今も娼館の裏方として働いてもおり、ミントは現役の娼婦であり、会長は娼婦と男娼を取り纏める存在である。

「承知いたしました」
「ごめんなさい、娼婦についてはこちらで確認するわ」
「お顔が広くていらっしゃるのですね」

 校長はソアリスがすぐさま誰に聞けばいいか指示したことで、娼婦までにも伝手があることに驚いた。

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