私のバラ色ではない人生

野村にれ

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娼婦1

「アーティチョークって食べ物じゃない」
「多分、ご存知なかったのだと思いますわ」
「え?」
「あの店は花の図鑑がありまして、今まで使った名前は使えませんから、二重線が引いてあるのです。その中から自分で名前を付けるので、知らずに選んだのだと思います。周りが戸惑っていることに、全く気付いていない様子だったそうですから」

 他の娼婦や世話係からリーリーは色々な話を聞くことがあった。それは高級娼婦として、情報は些細なことでも何があるか分からないからである。

「変えることはできないの?」
「一度、決めると出来ないと思います。私も最初は自分を茹でて食べてという意味かしらと思ったのですけど……お花もきれいではあるのですけど」
「なるほどね」

 ある意味、名前に引っ掛かったり、リーリーのように解釈して、指名する客もいるのかもしれない。

「リーリーは化粧をしていないところを見たことがあったのね」
「それもありますけど、私も引退したとはいえ、人を見る目はございますから」

 ソアリスに向かって不敵な笑みを浮かべて、王宮という場所であることから、いつもよりも布の面積は大きいが、はち切れんばかりの大きな胸を張った。

「そこは信頼しているわ」
「ありがとうございます。彼女はアーティチョークで間違いないです」
「ありがとう、本名は知らないわよね?」

 三人は眉を下げて、残念そうに首を振った。リーリーと会長は現役ではないが、その姿は色っぽく、ソアリスは接待されているような気分になった。

「会長、レゾナンスに聞けばアーティチョークの名前も分かるかしら?」
「私がお調べします」
「ありがとう。いつからいつまでが分かればいいけど、いつ辞めたかを知りたいの」
「承知しました、お任せください」

 レゾナンスに問い合わせることもできるが、会長に頼む方が早く詳しい話が聞けるだろう。

 リーリーが惜しまれつつ辞めてからまだ一年は経っていない。どちらにせよ、アーティチョークと重なっていると考えていい。

「それで、何か情報は持っていないかしら?リーリーとミントは同じ時期に働いていたってことよね?」
「ええ、そうなりますわ」

 リーリーとミントの店はレゾナンスではないために、同じ店ではない。

「私もリーリー姉さんがおっしゃるなら、そうだと思いますが、会ったこともありませんの。お力になりたかったのに、残念だわ」
「気持ちだけでも嬉しいわ」
「まあ、うふふ。ソアリス様に会えるだけでも今日はいい日だもの」

 ミントはしなを作っているが、それが色っぽい。

「今日も綺麗よ、さすがナンバーワンね」
「ありがとうございます」

 その様子をリーリーは微笑ましく見つめていた。

「リーリーどう?」
「身請けされたとは聞いていないのですけど、確か懇意にしていた男性が何人かいたはずですわ」
「何人か?」
「ええ、お店の子がアーティチョークが男性と歩いていたって言っていたのです」
「それは辞めてから?」
「勿論、そうですわ。ですから、結婚ということもありますけど、私たちの世界ですと愛人でもしているのだと思っておりましたの」

 娼婦が身請け以外で辞めるにも借金がある場合は返してからとなる。

 だが、リーリーのように辞めても困らないほどのお金があればいいが、そうではない場合は普通の仕事に就く者もいるが、給料の差からまた借金をしたり、愛人になったりする場合も多いらしい。

 とは言っても、年老いて辞めた場合は難しいだろう。だが、ダイヤの場合は32歳であることから、相手をしてくれる者もいただろう。

「それはいつ頃?」
「詳しくは覚えていないのですけど、半年は経っていないと思いますわ」
「そう」

 リーリーの記憶が正しいのならば、お腹の子どもはルックリンツソルとは限らないのかもしれない。このことについては確認の必要があるだろう。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は1日2話、投稿させていただきます。
17時にもう1話投稿します。

どうぞよろしくお願いいたします。

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