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調べ物
「いつも蝶たちと会うだけで、もてなされているような気持ちになるもの。男性が通う気持ちが分かるわ」
侍女たちも頷いており、ソアリスに賛同している。
「目で楽しみ、会話を楽しむことに長けてらっしゃいますからね」
うっとりする侍女たちに、ソアリスは自分も含めて現実に戻すためにパンパンと手を叩いた。
「さあ、他国にエザンと言う貴族がいないか探すわよ!」
「「「はい!」」」
「あら、分かっていたの?」
「いえ、可能性程度でしたが……」
メディナはポーリアとキャロラインにねえと同意を求めると、二人も頷いた。
「さすがね!まずは周辺国からね」
「運んで参ります」
「あっ!調理長に何か甘い物を頼んで来てくれる?ケイトに見付からないようにね」
「「「はい」」」
侍女たちは調理長へ甘い物を頼み、周辺国の貴族名簿を指示を出して運んでもらうことにした。毎年は発行されていないが、それでも数は多い。
クロンデール王国は海と国に囲まれている。
皆はそれぞれに別の国の貴族名簿を、料理長が急いで持って来てくれたジャムクッキーで糖分を取りながら、確認していった。
ファミリーネームだけでも多いために、ペラペラ、サクサク、ゴクン、ペラペラ、サクサクとクッキーとお茶が進んでいった。
「ございました!」
声を上げたのは、ポーリアであった。
「どこ?」
「カルーア王国です!子爵家です」
「子爵家?」
「ミリス・エザンが当主です」
「え?当主?」
「過去を遡りましょう」
メディナが声を掛け、ポーリアはカルーア王国の過去の貴族名鑑を見たが、前の記録も変化はない。その前を見ると、ひとりの女性について書かれていた。
「マイサという人物が除籍になっております」
「マイサ?」
さらに前の貴族名鑑を見ると、誰なのかが分かった。
「ミリスの妹ですね」
「フリージアの本名かもしれないってことね、確認をしてからミントに覚えているか確認しましょう」
「はい」
メディナとキャロラインも一緒に確認し、ソアリスは使者に持って行かせるミントへの手紙を書いていた。
「間違いありません。ミリス・エザンの妹がマイサ、10年以上前に除籍となっております」
「何かあったのかもしれないわね、でも今回の件には関係ないから、ご迷惑を掛けるわけにはいかないわね。これを使者に渡して、可能だったらでいいから口頭で答えをもらって来てくれる?」
「私が頼んで参ります」
キャロラインが手を上げて、ソアリスから手紙を受け取って、出て行った。
「エザンはともかく、ミリス・エザンが実在したとはね……」
エザンというファミリーネームが見付かるかもしれないとは思っていたが、ミリス・エザンが見付かるとは思っていなかった。
しかも、ミリス・エザンではなかったら、まだ他国も調べてみようと思っていたが、ここまで揃えばこれ以上、調べる必要はない。
「フリージアと親しくしていて、聞いていたのかもしれないですね」
「自分も姉だからと咄嗟に思い付いたのかもしれませんね」
「でも貴族の、しかも当主の名前を名乗るなんて。平民だと思い込んでいたかよね……」
現在、平民であるダイヤが他国でも貴族と同じ名前を名乗ることは、元貴族ならばしてはならないことだと分かっているだろう。
「フリージアも他国だからと、詳細は話さずに姉の名前を言ったのでしょうか」
「話の流れで、たまたまということもありますね」
「どちらにせよ、追い詰めるのには使えるわ」
「「はい」」
ダイヤは正直に話さないだろうと考え、既にダイヤであること、アーティチョークであること、さらにはミリス・エザンという貴族の名前を名乗っていたこと。手札は着々と増えていた。
扉が叩かれ、メディナが確認に向かうと揚げ芋を抱えた料理長とメイドが立っていたが、足元に瞳を輝かせた余計な者が引っ付いている。
侍女たちも頷いており、ソアリスに賛同している。
「目で楽しみ、会話を楽しむことに長けてらっしゃいますからね」
うっとりする侍女たちに、ソアリスは自分も含めて現実に戻すためにパンパンと手を叩いた。
「さあ、他国にエザンと言う貴族がいないか探すわよ!」
「「「はい!」」」
「あら、分かっていたの?」
「いえ、可能性程度でしたが……」
メディナはポーリアとキャロラインにねえと同意を求めると、二人も頷いた。
「さすがね!まずは周辺国からね」
「運んで参ります」
「あっ!調理長に何か甘い物を頼んで来てくれる?ケイトに見付からないようにね」
「「「はい」」」
侍女たちは調理長へ甘い物を頼み、周辺国の貴族名簿を指示を出して運んでもらうことにした。毎年は発行されていないが、それでも数は多い。
クロンデール王国は海と国に囲まれている。
皆はそれぞれに別の国の貴族名簿を、料理長が急いで持って来てくれたジャムクッキーで糖分を取りながら、確認していった。
ファミリーネームだけでも多いために、ペラペラ、サクサク、ゴクン、ペラペラ、サクサクとクッキーとお茶が進んでいった。
「ございました!」
声を上げたのは、ポーリアであった。
「どこ?」
「カルーア王国です!子爵家です」
「子爵家?」
「ミリス・エザンが当主です」
「え?当主?」
「過去を遡りましょう」
メディナが声を掛け、ポーリアはカルーア王国の過去の貴族名鑑を見たが、前の記録も変化はない。その前を見ると、ひとりの女性について書かれていた。
「マイサという人物が除籍になっております」
「マイサ?」
さらに前の貴族名鑑を見ると、誰なのかが分かった。
「ミリスの妹ですね」
「フリージアの本名かもしれないってことね、確認をしてからミントに覚えているか確認しましょう」
「はい」
メディナとキャロラインも一緒に確認し、ソアリスは使者に持って行かせるミントへの手紙を書いていた。
「間違いありません。ミリス・エザンの妹がマイサ、10年以上前に除籍となっております」
「何かあったのかもしれないわね、でも今回の件には関係ないから、ご迷惑を掛けるわけにはいかないわね。これを使者に渡して、可能だったらでいいから口頭で答えをもらって来てくれる?」
「私が頼んで参ります」
キャロラインが手を上げて、ソアリスから手紙を受け取って、出て行った。
「エザンはともかく、ミリス・エザンが実在したとはね……」
エザンというファミリーネームが見付かるかもしれないとは思っていたが、ミリス・エザンが見付かるとは思っていなかった。
しかも、ミリス・エザンではなかったら、まだ他国も調べてみようと思っていたが、ここまで揃えばこれ以上、調べる必要はない。
「フリージアと親しくしていて、聞いていたのかもしれないですね」
「自分も姉だからと咄嗟に思い付いたのかもしれませんね」
「でも貴族の、しかも当主の名前を名乗るなんて。平民だと思い込んでいたかよね……」
現在、平民であるダイヤが他国でも貴族と同じ名前を名乗ることは、元貴族ならばしてはならないことだと分かっているだろう。
「フリージアも他国だからと、詳細は話さずに姉の名前を言ったのでしょうか」
「話の流れで、たまたまということもありますね」
「どちらにせよ、追い詰めるのには使えるわ」
「「はい」」
ダイヤは正直に話さないだろうと考え、既にダイヤであること、アーティチョークであること、さらにはミリス・エザンという貴族の名前を名乗っていたこと。手札は着々と増えていた。
扉が叩かれ、メディナが確認に向かうと揚げ芋を抱えた料理長とメイドが立っていたが、足元に瞳を輝かせた余計な者が引っ付いている。
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