871 / 875
王妃陛下の身に余る素晴らしい取り調べ3
「もういい」
「申し訳ありません」
「申し訳ございません」
ソアリスも自分はそんな優しい言い方をすることはないと思うが、どんな言い方をしてもルックリンツソルには伝わらないかもしれないと持っていると、バーセム公爵にも伝わったのか凛々しい表情で頷いていた。
「お前はマリリアを傷付けて、悪いと思っていないのか?」
「それは思っています……」
「それなのに認めないのか?」
「嘘ではないからです」
ルックリンツソルは平民だからという言葉を封じられたために、どうしてマリーにあのようなことができたのかという別の答えを持っていない。
「では本人の訴えを、私が読み上げることにする。心して聞くように」
ソアリス便箋を開き、マリーの書いた言葉を読むことにした。
だが、その前にソアリスは立ち上がって、侍女に向かって右手を出すと、三人は素早く動き、ある物を手に乗せた。
それはなぜか、侍女の横にまるで国旗のように置かれていたソアリスの本番用の鞭である。
ソアリスは右手に鞭、左手に便箋というスタイルで、部屋の何も置いていない空間を回りながら読み始めた。
「あなたはアマリリス様に会えるような人間ではないのに、私が平民だからと騙そうとしたのでしょう」
パシーン
「私を餌にアマリリス様に会うつもりだったのでしょう?そうでないと会えないのなら、会うことはできないと分かっていたはずです」
パシーン、パーシン
「私はアマリリス様を知りたかった思いを利用して、最低の人間です」
パシーン、パシーン、パシーン
「あんな所にいたことは人生の無駄で、消し去りたい過去になりました」
パシーン
「罪をしっかり償い、二度とアマリリス様の前に姿を現さないでください。以上」
ソアリスは鞭を再び、侍女たちに渡し、座りながらじっとルックリンツソルを見つめたが、彼は目を反らした。
「被害者の言葉だ、申し訳ないと思わないのか?」
「思っています」
「その割には謝罪の言葉もない。謝りたいと言うこともない!まあ、マリリアも気持ちが悪くて会いたくもないだろうがな」
ルックリンツソルも謝罪すればいいのかと思ったが、すぐさま封じられた。
「平民だと思っていたのに、不味いことになったどうにかしなくてはとしか考えられないか?クソ野郎だな!」
「違います」
「だったら、何が違うのか言え!」
再び、ソアリスの怒号が飛び、部屋中がピリつき、ケインドルとリリンナッタはなぜ鞭を持っているのだろうと思いながらも、誰も何も言わないために恐怖だけが残されていた。
ソアリスは踏ん反り返り、ルックリンツソルを見つめ、黙り込んだ。
ソアリス側は慣れているが、バーセム公爵も基本的に無口であるために騎士団員も沈黙には慣れている。コンパル伯爵家以外はこの状況にいつまでも耐えられる状況が出来上がった。
ケインドルとリリンナッタは何も言えない状況に、胸が苦しくなっていた。
ルックリンツソルは目を左右に動かしながら、様子を伺っているようだったが、誰も何も言おうとすることはない。その様子に話すしかないと思い、口を開いた。
「……確かに平民だからいいだろうと思っていました」
「だが、お前はアマリリスとの関係性を疑っていたのだろう?」
「そうです……」
「ならば、セザンアース侯爵家が出てくることも予想できたのではないか?賢いのだろう?」
「平民だから関わりがないと思っていました」
ケインドルとリリンナッタは生唾をのみ、令嬢ではないが、関わりがあったのかとルックリンツソルを見つめた。
「だから問題になってもいいだろうと?」
「問題にするつもりはなかったのです」
「だが、監禁に暴行は明らかだ」
「アマリリスがこちらに戻ってくるまでと思っていました。もう少し待って欲しいという思いでした……」
アマリリスが戻って来たら、マリーが書いていたように餌にして接触するつもりだった。
「申し訳ありません」
「申し訳ございません」
ソアリスも自分はそんな優しい言い方をすることはないと思うが、どんな言い方をしてもルックリンツソルには伝わらないかもしれないと持っていると、バーセム公爵にも伝わったのか凛々しい表情で頷いていた。
「お前はマリリアを傷付けて、悪いと思っていないのか?」
「それは思っています……」
「それなのに認めないのか?」
「嘘ではないからです」
ルックリンツソルは平民だからという言葉を封じられたために、どうしてマリーにあのようなことができたのかという別の答えを持っていない。
「では本人の訴えを、私が読み上げることにする。心して聞くように」
ソアリス便箋を開き、マリーの書いた言葉を読むことにした。
だが、その前にソアリスは立ち上がって、侍女に向かって右手を出すと、三人は素早く動き、ある物を手に乗せた。
それはなぜか、侍女の横にまるで国旗のように置かれていたソアリスの本番用の鞭である。
ソアリスは右手に鞭、左手に便箋というスタイルで、部屋の何も置いていない空間を回りながら読み始めた。
「あなたはアマリリス様に会えるような人間ではないのに、私が平民だからと騙そうとしたのでしょう」
パシーン
「私を餌にアマリリス様に会うつもりだったのでしょう?そうでないと会えないのなら、会うことはできないと分かっていたはずです」
パシーン、パーシン
「私はアマリリス様を知りたかった思いを利用して、最低の人間です」
パシーン、パシーン、パシーン
「あんな所にいたことは人生の無駄で、消し去りたい過去になりました」
パシーン
「罪をしっかり償い、二度とアマリリス様の前に姿を現さないでください。以上」
ソアリスは鞭を再び、侍女たちに渡し、座りながらじっとルックリンツソルを見つめたが、彼は目を反らした。
「被害者の言葉だ、申し訳ないと思わないのか?」
「思っています」
「その割には謝罪の言葉もない。謝りたいと言うこともない!まあ、マリリアも気持ちが悪くて会いたくもないだろうがな」
ルックリンツソルも謝罪すればいいのかと思ったが、すぐさま封じられた。
「平民だと思っていたのに、不味いことになったどうにかしなくてはとしか考えられないか?クソ野郎だな!」
「違います」
「だったら、何が違うのか言え!」
再び、ソアリスの怒号が飛び、部屋中がピリつき、ケインドルとリリンナッタはなぜ鞭を持っているのだろうと思いながらも、誰も何も言わないために恐怖だけが残されていた。
ソアリスは踏ん反り返り、ルックリンツソルを見つめ、黙り込んだ。
ソアリス側は慣れているが、バーセム公爵も基本的に無口であるために騎士団員も沈黙には慣れている。コンパル伯爵家以外はこの状況にいつまでも耐えられる状況が出来上がった。
ケインドルとリリンナッタは何も言えない状況に、胸が苦しくなっていた。
ルックリンツソルは目を左右に動かしながら、様子を伺っているようだったが、誰も何も言おうとすることはない。その様子に話すしかないと思い、口を開いた。
「……確かに平民だからいいだろうと思っていました」
「だが、お前はアマリリスとの関係性を疑っていたのだろう?」
「そうです……」
「ならば、セザンアース侯爵家が出てくることも予想できたのではないか?賢いのだろう?」
「平民だから関わりがないと思っていました」
ケインドルとリリンナッタは生唾をのみ、令嬢ではないが、関わりがあったのかとルックリンツソルを見つめた。
「だから問題になってもいいだろうと?」
「問題にするつもりはなかったのです」
「だが、監禁に暴行は明らかだ」
「アマリリスがこちらに戻ってくるまでと思っていました。もう少し待って欲しいという思いでした……」
アマリリスが戻って来たら、マリーが書いていたように餌にして接触するつもりだった。
あなたにおすすめの小説
もう二度と、あなたの傷を引き受けません ~死に戻った治癒師伯爵夫人は、冷血公爵の最愛になる~
ゆぷしろん
恋愛
傷を癒やすたび、自分が同じ傷を負う――そんな代償つきの治癒魔法を持つ伯爵夫人セレフィナは、夫を救い続けた末に裏切られ、罪を着せられて処刑される。
しかし死の直前、「もう二度と、あなたの傷は引き受けない」と誓った瞬間、彼女は夫の凱旋祝賀会の日へ死に戻っていた。
今度こそ搾取されるだけの人生を捨てると決めたセレフィナは、夫との治癒契約を破棄し、離縁を宣言。そんな彼女に手を差し伸べたのは、“冷血公爵”と恐れられるディートハルトだった。
彼が求めたのは命を削る奇跡ではなく、治癒師としての知識と才能。北辺境で広がる奇病を調査する中で、セレフィナは研究者として認められ、本当の居場所と誠実な愛を見つけていく。
搾取の愛を捨てた治癒師伯爵夫人が、自分の人生を取り戻し、冷血公爵の最愛になる死に戻り逆転ロマンス。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と私を嫌う夫に言われましたので、素直に従った結果……
ぽんた
恋愛
「おれがおまえの姉ディアーヌといい仲だということは知っているよな?ディアーヌの離縁の決着がついた。だからやっと、彼女を妻に迎えられる。というわけで、おまえはもう用済みだ。そうだな。どうせだから、異母弟のところに行くといい。もともと、あいつはディアーヌと結婚するはずだったんだ。妹のおまえでもかまわないだろう」
この日、リン・オリヴィエは夫であるバロワン王国の第一王子マリユス・ノディエに告げられた。
選択肢のないリンは、「ひきこもり王子」と名高いクロード・ノディエのいる辺境の地へ向かう。
そこで彼女が会ったのは、噂の「ひきこもり王子」とはまったく違う気性が荒く傲慢な将軍だった。
クロードは、幼少の頃から自分や弟を守る為に「ひきこもり王子」を演じていたのである。その彼は、以前リンの姉ディアーヌに手痛い目にあったことがあった。その為、人間不信、とくに女性を敵視している。彼は、ディアーヌの妹であるリンを憎み、侍女扱いする。
しかし、あることがきっかけで二人の距離が急激に狭まる。が、それも束の間、王都が隣国のスパイの工作により、壊滅状態になっているいう報が入る。しかも、そのスパイの正体は、リンの知る人だった。
※全三十九話。ハッピーエンドっぽく完結します。ゆるゆる設定です。ご容赦ください。
【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します
hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。
キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。
その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。
※ざまあの回には★がついています。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
姉は不要と判断された~奪うことしか知らない妹は、最後に何も残らなかった~
ゆめ@マンドラゴラ
恋愛
妹にすべてを奪われ続けてきた姉。
ついには婚約者まで狙われ、「不要とされた」。
それは、誰にとっての「不要」だったのか。
「不要とされた」シリーズ第二弾。
愛を知らないアレと呼ばれる私ですが……
ミィタソ
恋愛
伯爵家の次女——エミリア・ミーティアは、優秀な姉のマリーザと比較され、アレと呼ばれて馬鹿にされていた。
ある日のパーティで、両親に連れられて行った先で出会ったのは、アグナバル侯爵家の一人息子レオン。
そこで両親に告げられたのは、婚約という衝撃の二文字だった。
婚約者の母に疎まれ続けたので、結婚直前ですが先に別の公爵家へ嫁ぎます~今さら惜しまれてももう戻りません~
なつめ
恋愛
侯爵令嬢ネフェリナ・ヴァルケインは、幼い頃から決められていた婚約を守るため、十年近くローディアス・フェルゼンの母に耐え続けてきた。
作法を否定され、贈り物を笑われ、亡き母の思い出まで踏みにじられても、婚約者がいつか自分を守ってくれると信じていたからだ。
けれど結婚式を目前にしても、ローディアスは一度として母を止めなかった。
そのうえ最後には、ネフェリナの我慢を当然のように求める。
もう十分です。
そうして彼女は婚約を解消し、以前から打診のあった北方の名門公爵家へ嫁ぐことを選ぶ。
冷徹と噂される若き公爵セヴェリオ・アルスレイン。
だが彼は、誰よりも静かで、誰よりも確実にネフェリナの尊厳を守る男だった。
去られて初めて焦る元婚約者一家。
けれどその頃にはもう、ネフェリナには新しい居場所ができていた。
これは、長く耐えた令嬢が自分で自分を救い、静かな溺愛の中で本当の幸福を選び直す物語。