私のバラ色ではない人生

野村にれ

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王妃陛下の身に余る素晴らしい取り調べ3

「もういい」
「申し訳ありません」
「申し訳ございません」

 ソアリスも自分はそんな優しい言い方をすることはないと思うが、どんな言い方をしてもルックリンツソルには伝わらないかもしれないと持っていると、バーセム公爵にも伝わったのか凛々しい表情で頷いていた。

「お前はマリリアを傷付けて、悪いと思っていないのか?」
「それは思っています……」
「それなのに認めないのか?」
「嘘ではないからです」

 ルックリンツソルは平民だからという言葉を封じられたために、どうしてマリーにあのようなことができたのかという別の答えを持っていない。

「では本人の訴えを、私が読み上げることにする。心して聞くように」

 ソアリス便箋を開き、マリーの書いた言葉を読むことにした。

 だが、その前にソアリスは立ち上がって、侍女に向かって右手を出すと、三人は素早く動き、ある物を手に乗せた。

 それはなぜか、侍女の横にまるで国旗のように置かれていたソアリスの本番用の鞭である。

 ソアリスは右手に鞭、左手に便箋というスタイルで、部屋の何も置いていない空間を回りながら読み始めた。

「あなたはアマリリス様に会えるような人間ではないのに、私が平民だからと騙そうとしたのでしょう」

 パシーン

「私を餌にアマリリス様に会うつもりだったのでしょう?そうでないと会えないのなら、会うことはできないと分かっていたはずです」

 パシーン、パーシン

「私はアマリリス様を知りたかった思いを利用して、最低の人間です」

 パシーン、パシーン、パシーン

「あんな所にいたことは人生の無駄で、消し去りたい過去になりました」

 パシーン

「罪をしっかり償い、二度とアマリリス様の前に姿を現さないでください。以上」

 ソアリスは鞭を再び、侍女たちに渡し、座りながらじっとルックリンツソルを見つめたが、彼は目を反らした。

「被害者の言葉だ、申し訳ないと思わないのか?」
「思っています」
「その割には謝罪の言葉もない。謝りたいと言うこともない!まあ、マリリアも気持ちが悪くて会いたくもないだろうがな」

 ルックリンツソルも謝罪すればいいのかと思ったが、すぐさま封じられた。

「平民だと思っていたのに、不味いことになったどうにかしなくてはとしか考えられないか?クソ野郎だな!」
「違います」
「だったら、何が違うのか言え!」

 再び、ソアリスの怒号が飛び、部屋中がピリつき、ケインドルとリリンナッタはなぜ鞭を持っているのだろうと思いながらも、誰も何も言わないために恐怖だけが残されていた。

 ソアリスは踏ん反り返り、ルックリンツソルを見つめ、黙り込んだ。

 ソアリス側は慣れているが、バーセム公爵も基本的に無口であるために騎士団員も沈黙には慣れている。コンパル伯爵家以外はこの状況にいつまでも耐えられる状況が出来上がった。

 ケインドルとリリンナッタは何も言えない状況に、胸が苦しくなっていた。

 ルックリンツソルは目を左右に動かしながら、様子を伺っているようだったが、誰も何も言おうとすることはない。その様子に話すしかないと思い、口を開いた。

「……確かに平民だからいいだろうと思っていました」
「だが、お前はアマリリスとの関係性を疑っていたのだろう?」
「そうです……」
「ならば、セザンアース侯爵家が出てくることも予想できたのではないか?賢いのだろう?」
「平民だから関わりがないと思っていました」

 ケインドルとリリンナッタは生唾をのみ、令嬢ではないが、関わりがあったのかとルックリンツソルを見つめた。

「だから問題になってもいいだろうと?」
「問題にするつもりはなかったのです」
「だが、監禁に暴行は明らかだ」
「アマリリスがこちらに戻ってくるまでと思っていました。もう少し待って欲しいという思いでした……」

 アマリリスが戻って来たら、マリーが書いていたように餌にして接触するつもりだった。

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