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王妃陛下の身に余る素晴らしい取り調べ8
「っ、あの、申し訳ございません」
リリンナッタも慌てて謝罪したが、ケインドルも続けて謝罪した。
「申し訳ございません!」
「夫人、謝罪ではなく何をやめてくれと誰に言っているのか話せ」
「っえ……あの」
「聞こえないのか?」
自分が言い出したのだからハッキリ言えと伝えているのに、どうして言わないのかソアリスには分からない。
「いえ、息子に改心して欲しくて、言いました……」
「改心ね……」
「申し訳ございません……」
「妻が勝手に口を挟み申し訳ございません」
リリンナッタはもうルックリンツソルの話を聞きたくなかったのだろうが、自分たちが聞いて来なかったせいではないかとしか思えなかった。
「お前たちは受け入れなくてはならない。きちんと自分たちの子どもを見ろ。夫妻への話は後だ」
「はい、申し訳ございませんでした」
ケインドルが謝罪すると、リリンナッタも深く頭を下げた。謝ることしかできないのだろうが、まだルックリンツソルへの話が終わっていない。
「アマリリスには再度、嘘ではないかは確認する」
「私も立ち会います」
ルックリンツソルはキリッとした表情をしたが、ソアリスは瞼が半分閉じられて、しぼんだ気持ちになった。
「お前にそんな権利があるわけないだろう?アマリリスからの手紙に二度と会うことはないと書いてあっただろう?」
「そんなはずはないです!アマリリスには私がいないと」
「アマリリスはお前のものではない!」
「アマリリスは私のものです!だから、マリリアにも優しくしてやったんですよ!」
ソアリスは色恋にも疎く、変態のことも分からないが、今のルックリンツソルの言葉の意図は分かった。
「お前の優しさは叩くことなのか?」
「違います」
「もう一人の女性より優しくしたという意味だろう?それがお前の優しさか?クソじゃないか」
「それは齟齬があっただけで……」
「アマリリスの繋がりを考えたから、酷く傷つけることはしなかっただけだろう?何もしていない人間を傷付けることは暴行という罪なんだよ!そして、人の痛みは比べるものでもない!」
「違う、違います……」
マリーを利用しようとはしていたが、アマリリスの縁者であることで、上手くいかなかった場合を考えていたのだろう。
だが巻き込まれたマリーも、アマリリスもそんなことは関係ない。
「すべてお前の独りよがりの行動!反省もしない。十九歳にもなって親かがどうにかしてくれると思っているのか?」
ソアリスはルックリンツソルとケインドルとリリンナッタを交互に見つめた。
ルックリンツソルとリリンナッタは目を伏せたが、ケインドルは渋い顔をして、唇を噛みしめていた。
「お坊ちゃんは責任を取るとも言えないのか?アマリリスのことも一方的だと認めたくないのか、思い込んでいるのか、どちらだ?」
「一方的ではありません!本当です」
ケインドルとリリンナッタはマリーの正体は知ったが、ダイヤのことは何一つまだ知らなかった。知っているとすれば、メイド募集にやって来た女性かもしれないという情報だけであった。
ようやく誰だったのか聞けるのかと思っていたが、ソアリスは話すことはなかったが、このような状況で尋ねることはできなかった。
「口づけをしようとしたり、指は勝手に舐めるものではないと知らないのか?」
「それは愛情表現で、アマリリスにはちゃんと伝わっていますから」
「拒否されていると分からないものには愛情表現になるのか……」
ソアリスはいくら伝わらないことに慣れていても、ありもしないことを思い込むことへの困難さを感じていた。
どうせならば、分かっているが認めたくないほうがまだ理解できるのではないかと考えていた。だが、ルックリンツソルはどちらかが分からない。
リリンナッタも慌てて謝罪したが、ケインドルも続けて謝罪した。
「申し訳ございません!」
「夫人、謝罪ではなく何をやめてくれと誰に言っているのか話せ」
「っえ……あの」
「聞こえないのか?」
自分が言い出したのだからハッキリ言えと伝えているのに、どうして言わないのかソアリスには分からない。
「いえ、息子に改心して欲しくて、言いました……」
「改心ね……」
「申し訳ございません……」
「妻が勝手に口を挟み申し訳ございません」
リリンナッタはもうルックリンツソルの話を聞きたくなかったのだろうが、自分たちが聞いて来なかったせいではないかとしか思えなかった。
「お前たちは受け入れなくてはならない。きちんと自分たちの子どもを見ろ。夫妻への話は後だ」
「はい、申し訳ございませんでした」
ケインドルが謝罪すると、リリンナッタも深く頭を下げた。謝ることしかできないのだろうが、まだルックリンツソルへの話が終わっていない。
「アマリリスには再度、嘘ではないかは確認する」
「私も立ち会います」
ルックリンツソルはキリッとした表情をしたが、ソアリスは瞼が半分閉じられて、しぼんだ気持ちになった。
「お前にそんな権利があるわけないだろう?アマリリスからの手紙に二度と会うことはないと書いてあっただろう?」
「そんなはずはないです!アマリリスには私がいないと」
「アマリリスはお前のものではない!」
「アマリリスは私のものです!だから、マリリアにも優しくしてやったんですよ!」
ソアリスは色恋にも疎く、変態のことも分からないが、今のルックリンツソルの言葉の意図は分かった。
「お前の優しさは叩くことなのか?」
「違います」
「もう一人の女性より優しくしたという意味だろう?それがお前の優しさか?クソじゃないか」
「それは齟齬があっただけで……」
「アマリリスの繋がりを考えたから、酷く傷つけることはしなかっただけだろう?何もしていない人間を傷付けることは暴行という罪なんだよ!そして、人の痛みは比べるものでもない!」
「違う、違います……」
マリーを利用しようとはしていたが、アマリリスの縁者であることで、上手くいかなかった場合を考えていたのだろう。
だが巻き込まれたマリーも、アマリリスもそんなことは関係ない。
「すべてお前の独りよがりの行動!反省もしない。十九歳にもなって親かがどうにかしてくれると思っているのか?」
ソアリスはルックリンツソルとケインドルとリリンナッタを交互に見つめた。
ルックリンツソルとリリンナッタは目を伏せたが、ケインドルは渋い顔をして、唇を噛みしめていた。
「お坊ちゃんは責任を取るとも言えないのか?アマリリスのことも一方的だと認めたくないのか、思い込んでいるのか、どちらだ?」
「一方的ではありません!本当です」
ケインドルとリリンナッタはマリーの正体は知ったが、ダイヤのことは何一つまだ知らなかった。知っているとすれば、メイド募集にやって来た女性かもしれないという情報だけであった。
ようやく誰だったのか聞けるのかと思っていたが、ソアリスは話すことはなかったが、このような状況で尋ねることはできなかった。
「口づけをしようとしたり、指は勝手に舐めるものではないと知らないのか?」
「それは愛情表現で、アマリリスにはちゃんと伝わっていますから」
「拒否されていると分からないものには愛情表現になるのか……」
ソアリスはいくら伝わらないことに慣れていても、ありもしないことを思い込むことへの困難さを感じていた。
どうせならば、分かっているが認めたくないほうがまだ理解できるのではないかと考えていた。だが、ルックリンツソルはどちらかが分からない。
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