私のバラ色ではない人生

野村にれ

文字の大きさ
420 / 818

ロンド王国王家10

しおりを挟む
「私は関係ない!フローラが勝手にやったことだ」
「ですが、エスザール王国入国時に、陛下のサインがありますよ」

 入国希望書にフローラをエスザール王国へ滞在させることを、デオリスが許可したことを示している。

「偽造だ!」
「偽造される様な国王ということですわね?」
「何だと!」

 デオリスは机を叩き付け、立ち上がり、怒りの形相でソアリスを睨み付けたが、そんなものでソアリスの表情すら変えられない。

「唾が汚いですわ、おっさんの唾なんて汚物ですわよ」

 ケイトもしっかりとクッキー缶をおっさんから遠ざける仕草をしており、メディナがそそくさをやって来て、唾を拭きとった。

「メディナ、ばっちいから処分よ、処分」
「はい、承知いたしました」

 悪い口は控えるということを知らず、無意識に火に油を注ぎ続けるのが、ソアリスであり、メディナも飄々と行っている。

 自国でも愚か者と、何度も何度も対峙している王妃と侍女は、慣れた光景である。

「お前!調子に乗りやがって!」
「調子に乗っておるのはお前の方だろうが!なぜ、責任を取らない?国王の癖に、そんなことも出来ないのか?」
「なぜ私が取らなくてはならない!」

 デオリスはソアリスに向かって、さらに大きな声を出した。

「大きな声を出せば、従うとでも思っているのか?陛下にとって、そこの出来の悪い存在はもう要らないのか?」
「要らない。私には関係ない」

 デオリスは自分の保身に走り始め、本来ならここへ優秀な王子が登場とでもなれば、ドラマチックなのかもしれないが、生憎、この国にはそんな王子はいない。

「陛下!」
「お父様!」
「お前は、何てことをしてくれたんだ…ビリリーもなぜ見張っていなかった?」
「だって、もうこの子は大人で…」
「娘の面倒くらい看れただろうが!」
「そんな、こと」

 ビリリーはデオリスに一度もそのようなことを言われたことはなく、フローラが離縁になることも、面倒なので知らされてもいなかった。

 信頼されているわけではないが、裏切られることはないと思っていたが、要らないと言われ、ソアリスのペット説がますます信憑性を増した。

「でも国際裁判には、皆様で行かれてくださいね。仲良くとは言いませんが、最後の旅行になるかもしれないのだから」
「待て、サブリナはいいのか?なぜだ?母親ではないからか?」

 サブリナは自身が含まれていないことにホッとはしたが、表情を変えずに沈黙を貫いていた。

「それもありますが、私は再三お伝えしたはずですよ?サブリナ王妃陛下の謝罪は、受け取りましたと。サブリナ王妃陛下に肩入れする気はありませんよ?ですが自分の子でもないのに、謝罪してくれるだけいいではないですか。私だったら瀕死でもない限りは、気絶させてでも連れて行って、床に頭を擦り付けて、謝罪させますもの。それが普通ではありません?」
「っひ」

 ビリリーに向かってソアリスは微かに微笑んだが、威勢がいいのではなく、この人は当然だとやるだろうと思った。

「そして、私は陛下と側妃にこうも聞きました。フローラ王女の親として、どうして謝罪をしなかったのでしょう?いくら何も出来ないからと言って、頭を下げることくらい出来たでしょう?と」
「それは…まさか」

 デオリスはようやく、ソアリスは自身にではなく、エスザール王国の関係者への謝罪について、聞いていたのだと気付いた。

「ようやくお気づきですか?ミレスゴート公爵、エンパス侯爵、リシュパール公爵、エスザール王国王家の使者が私なのですよ?」
「そうは、言わなかったではないか」
「判断は私に任せると言われましたので、私なり方法で反省をしているか、見極めておりましたの」
「謝罪する!」
「もう遅いですわ。ここまでしないと謝罪も反省も見せないなんて、王家というより人として軽蔑します」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

愛されない妻は死を望む

ルー
恋愛
タイトルの通りの内容です。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください> 私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

【完結80万pt感謝】不貞をしても婚約破棄されたくない美男子たちはどうするべきなのか?

宇水涼麻
恋愛
高位貴族令息である三人の美男子たちは学園内で一人の男爵令嬢に侍っている。 そんな彼らが卒業式の前日に家に戻ると父親から衝撃的な話をされた。 婚約者から婚約を破棄され、第一後継者から降ろされるというのだ。 彼らは慌てて学園へ戻り、学生寮の食堂内で各々の婚約者を探す。 婚約者を前に彼らはどうするのだろうか? 短編になる予定です。 たくさんのご感想をいただきましてありがとうございます! 【ネタバレ】マークをつけ忘れているものがあります。 ご感想をお読みになる時にはお気をつけください。すみません。

【完結】返してください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。 私が愛されていない事は感じていた。 だけど、信じたくなかった。 いつかは私を見てくれると思っていた。 妹は私から全てを奪って行った。 なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、 母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。 もういい。 もう諦めた。 貴方達は私の家族じゃない。 私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。 だから、、、、 私に全てを、、、 返してください。

病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで

あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。 怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。 ……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。 *** 『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』  

処理中です...