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転生石好き令嬢の生存戦略<後編の中編>
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何と言う事でしょうか!?
お父様ったら!!
一週間後にお見合い(と言うなの顔合わせ)などとおっしゃるものだから、私の予定がだだ狂いですわ!
え、格下の我が領にお見えになる?
リュシオル様たっての希望?
さては温泉卵がお目当てね!
いいわ!お望みなら、温泉熱を利用した蒸し料理もお付けして差し上げようじゃないの!!
しかもどういう事でしょう?
貴族らしく繊細で、普段の私の行動に良く気絶をするお母様まで、今回は、気合の入りようが違います!
ドレスに小物に新調しようとするものだから、先にサフィール様作の装身具を預けて、何とかドレス1枚の出費に抑えた私、頑張った。
きっとこの機会を逃すと一生私が結婚できないと、思っているのね。
扇の使い方とか、マナーとか、今さら教えて貰わなくても全然大丈夫なのに……。
……やだ、お母様、目が怖いわ。
そうこうしている内に、リュシオル様との初対面の日は容赦なくやってきた。
朝から物理的にも精神的にも、もみくちゃにされながら、心の内では計画の最終チェックに入る。
もちろん、死亡フラグ回避に向け、私だって何も考えなかった訳じゃない。
見てろよ、まずは様子見してからの、オペレーションAだ。
しかしそんな意気込みも、本人を前にした瞬間、一度粉々に砕けた。
微粒子レベルまで粉々に……。
……やばい、これは、惚れる。
広すぎず狭すぎずな応接室にて、婚約者候補を待っていた私は、実際のリュシオル様のキラキラしい外見に陥落寸前だった。
少女漫画なら背後に花背負った上に、キラキラエフェクトが眩しい状態だ。
おのれ、男のくせに!
そのキラキラ分けてよこせ!
命かかってなかったら、あっさり陥落していたかもしれない。
そもそも、その場合拒む理由が無いしな。
9才にして日頃の鍛錬を伺わせるすっきりと伸びた背筋、長い手足、綺麗に整った華やかでいて小さい顔。
青みを帯びた薄紫色の瞳は、まるで心の内まで見定め様とするかのように真っ直ぐに私の方に向いて、視線を得た事に気付いてもニコリともしない。
一方、私はと言えば、油断すれば見た目に対する好意がだだもれになりそうになり、テーブルの上に準備したガラスの器に目を向ける。
そして粉雪の様に儚く砕けた意気込みをかき集め、オペレーションA、決行のタイミングを計る。
両親同士が挨拶をする中、長くなりそうな気配を感じ、子供らしい無邪気さを偽装しつつリュシオル様をテーブルとセットになっているソファーに誘う。
本来向かい合って座るはずだったそれに、二人で並んで座ると作戦決行だ。
私の扱いにたけている当家の執事頭が不穏な気配を察知し、そっとガラスの器に手を伸ばす。
気付かれないうちに片づけようとしたようだが、させるかぁー。
「はじめまして、グレナディア・ボルケニィウスと申します。甘いものはお好きですか?」
目線はリュシオル様から外さずガラス容器を引き寄せる。
蓋を開けると真っ白なバター飴がころころと姿を見せる。
「リュシオル・ライトブリンガーだ。ボルケニィウスの食べ物には興味がある。」
きっと王子経由でサフィール様の話を聞いているのだろう。
「良ろしかったらおひとつどうぞ。」
ガラスの容器をそのまま差し出し、相手が受け取ったのを見計らってから、爆弾を投下する。
「あ、言い忘れてました。一つだけ、石が混じっているので、間違えないでくださいね。」
名づけて、悪役令嬢大作戦だ。
嫌われて遠ざけられてしまえば、『目の前で』馬車にはねられるという事態は避けられるのではと思ったのだ。
無邪気を装った、悪意に動揺する美形が見たいとかそういう話ではない。
リュシオル様は、ちらりとこちらを見てから、綺麗な指で、迷うことなく一粒を摘まみだす。
「曹長石か、良く磨いてある。本当に見分けがつかない。」
他の飴と見比べながらそう言った。
ついてるじゃねーか!
グレナディアの心の中の突っ込みが彼に届く事はなかった。
************
やだどうしよう……。
また今回のヒロインも真面目に恋愛する気が無い気がする。
お父様ったら!!
一週間後にお見合い(と言うなの顔合わせ)などとおっしゃるものだから、私の予定がだだ狂いですわ!
え、格下の我が領にお見えになる?
リュシオル様たっての希望?
さては温泉卵がお目当てね!
いいわ!お望みなら、温泉熱を利用した蒸し料理もお付けして差し上げようじゃないの!!
しかもどういう事でしょう?
貴族らしく繊細で、普段の私の行動に良く気絶をするお母様まで、今回は、気合の入りようが違います!
ドレスに小物に新調しようとするものだから、先にサフィール様作の装身具を預けて、何とかドレス1枚の出費に抑えた私、頑張った。
きっとこの機会を逃すと一生私が結婚できないと、思っているのね。
扇の使い方とか、マナーとか、今さら教えて貰わなくても全然大丈夫なのに……。
……やだ、お母様、目が怖いわ。
そうこうしている内に、リュシオル様との初対面の日は容赦なくやってきた。
朝から物理的にも精神的にも、もみくちゃにされながら、心の内では計画の最終チェックに入る。
もちろん、死亡フラグ回避に向け、私だって何も考えなかった訳じゃない。
見てろよ、まずは様子見してからの、オペレーションAだ。
しかしそんな意気込みも、本人を前にした瞬間、一度粉々に砕けた。
微粒子レベルまで粉々に……。
……やばい、これは、惚れる。
広すぎず狭すぎずな応接室にて、婚約者候補を待っていた私は、実際のリュシオル様のキラキラしい外見に陥落寸前だった。
少女漫画なら背後に花背負った上に、キラキラエフェクトが眩しい状態だ。
おのれ、男のくせに!
そのキラキラ分けてよこせ!
命かかってなかったら、あっさり陥落していたかもしれない。
そもそも、その場合拒む理由が無いしな。
9才にして日頃の鍛錬を伺わせるすっきりと伸びた背筋、長い手足、綺麗に整った華やかでいて小さい顔。
青みを帯びた薄紫色の瞳は、まるで心の内まで見定め様とするかのように真っ直ぐに私の方に向いて、視線を得た事に気付いてもニコリともしない。
一方、私はと言えば、油断すれば見た目に対する好意がだだもれになりそうになり、テーブルの上に準備したガラスの器に目を向ける。
そして粉雪の様に儚く砕けた意気込みをかき集め、オペレーションA、決行のタイミングを計る。
両親同士が挨拶をする中、長くなりそうな気配を感じ、子供らしい無邪気さを偽装しつつリュシオル様をテーブルとセットになっているソファーに誘う。
本来向かい合って座るはずだったそれに、二人で並んで座ると作戦決行だ。
私の扱いにたけている当家の執事頭が不穏な気配を察知し、そっとガラスの器に手を伸ばす。
気付かれないうちに片づけようとしたようだが、させるかぁー。
「はじめまして、グレナディア・ボルケニィウスと申します。甘いものはお好きですか?」
目線はリュシオル様から外さずガラス容器を引き寄せる。
蓋を開けると真っ白なバター飴がころころと姿を見せる。
「リュシオル・ライトブリンガーだ。ボルケニィウスの食べ物には興味がある。」
きっと王子経由でサフィール様の話を聞いているのだろう。
「良ろしかったらおひとつどうぞ。」
ガラスの容器をそのまま差し出し、相手が受け取ったのを見計らってから、爆弾を投下する。
「あ、言い忘れてました。一つだけ、石が混じっているので、間違えないでくださいね。」
名づけて、悪役令嬢大作戦だ。
嫌われて遠ざけられてしまえば、『目の前で』馬車にはねられるという事態は避けられるのではと思ったのだ。
無邪気を装った、悪意に動揺する美形が見たいとかそういう話ではない。
リュシオル様は、ちらりとこちらを見てから、綺麗な指で、迷うことなく一粒を摘まみだす。
「曹長石か、良く磨いてある。本当に見分けがつかない。」
他の飴と見比べながらそう言った。
ついてるじゃねーか!
グレナディアの心の中の突っ込みが彼に届く事はなかった。
************
やだどうしよう……。
また今回のヒロインも真面目に恋愛する気が無い気がする。
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