異世界に来た私のチートは、秩序ある混沌でした。

26．果実

「この辺に私たち以外の人間や外敵の反応はある？」
　スマホに話しかける。

『ないよ』
　安定のチャラスマホの返答を聞いて、次の指示を出す。

「継続して探知、反応があった場合、速やかにアラートして？」
　護るものが出来たので、慎重にもなります。

『御心みこころのままに』
　だ、出してたね、そんな指示。
忘れたころに来るカウンタートラップに一瞬めまいを覚えながらも持ち直す。

「今日は近くだけだからね。」
　私、元々インドア派だし、フロルの足も無理は出来ない。
それに、いくつか試してみたい事があったので、近場で充分だ。

では出発します！


……からの5分後。
「フロルー、おりておいでー。」
　フロルは今、木の上にいます。
そして、私は先程、フロルにパンツを履かせていなかった事に気が付いた所です。
子育てって難しい。

なんでこんな事になったかと言うと……。

木の上に小さな赤い実が一杯なってて、何だろうと思い、スマホで撮影後、
Godcrewゴッドクルー（……めんどくさいので、以降ゴクちゃんと呼ぶ事にする）に聞いた。

『プルプルの実。プルプルの木になる。甘くておいしい果物。美容に良いとされる。高級食材』
　ゴクちゃんが、答えた言葉に、フロルが反応した。

「ビヨウ？」
　効能の部分だ。
意味が解らなかったのだろう。

「食べたら、可愛くなるってことだよ。」
　フロルの好きな、可愛いという言葉に置き換えた事に、深い意味は無かった。
いくら、それを聞いたフロルが、きりっと、真剣な目をしたからって、
まさか、その直後に、自分の身長の10倍以上もある木をするする昇っていくとは思わないよね。
本当に、あっという間で、止める暇も無かった。

１０メートル位上にある木の天辺てっぺんは、下の方の枝の葉に隠され良く見えない。
一応、色々怪我しないように考えて、強化したベッドをいくつか出して、落下対策をしておく。

うん、この世界に来てから、何故かお風呂で寝泊まりしてるけど、
私、元の世界ではちゃんとベッドで寝てたからね。
……ベッドまでたどり着いた日は。

可愛いくなりたかったのかなあ？
もう充分可愛いのに。
きっと顔の周り、汁だくでおりてくるだろうから、ウエットティッシュ準備しておきましょうかね？