異世界に来た私のチートは、秩序ある混沌でした。

ぬるちぃるちる

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30.抜殻

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やっとの事で、フロルの被写体を自分以外にする事に成功しました。
私なんか撮ってもつまらないだろうに、おかしな子です。

取りあえず、ベッドは片付けて散歩継続中です。
寝起きしてる場所中心に、ぐるっと半径10メートルくらいです。

えーっと、直系×3.14で、およそ62.8メートルの外周と
中心から出て戻る距離、20メートルの100メートル未満の距離をゆっくりと散歩中です。

その辺に生えてる木に、がいてきよけスプレーをかけた布を、適当に結びながらの移動なので
本当にゆっくりです。

フロルは写真を撮っては、ゴクちゃんに質問したり、私に見せに来ます。
相変わらず、ゴクちゃん……、私にはちゃらいのに、フロルには丁寧な言葉です。
教育モードでしょうか?

「みてみて!」
 お?フロルさんまた何か見つけたようです。
先程は、髭の生えた木だったかな?
いや、それは、触ると硬くなる実の前か。

「今度は何?」
 見せて貰うと、木に何か、引っかかってました。
漢方薬のタツノオトシゴを思わせるセピア色の、風に飛ばされたビニールハウスの残骸みたいな薄い膜……。
蛇の脱皮した皮……の、シート……というか、でかいですよね。

映り込んだ、フロルさんの手の大きさで、全体サイズを想像したのですが……。
フロルさん、手で広げながら写真撮ったの?
……へえ……触ったんだー。

「……鱗の痕?」
 記憶の中の上空に、頭上を越えて飛んで行ったドラゴンがよぎります。

「……ドラゴンって、爬虫類なのかな?」
 昆虫の抜け殻に鱗の模様は無いですよね。
異世界的に有りと言われれば終わりだけれども。
こんな近くで脱皮しなくても……。

他には特に奇妙な物も見当たらず、そのまま一周して、探検を終了しました。
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