百物語を一緒に

ぬるちぃるちる

文字の大きさ
1 / 4

自室にて友より着信

しおりを挟む
壁掛けのアナログ電波時計の短針は9をさしていた。

カーテンは朝出かけるときに締めたまま。
暗い部屋に電気をともし、クリーニングから戻ってきた黒の礼服をビニールがかかったままソファーの上に放って、ネクタイを緩める。
人目を気にすることも無い独り暮らしの部屋には、無駄な物があまりない。

ソファーに深くもたれるように腰掛け、ぐったりと一日の疲れにひたっていると、ローテーブルに放り出したスマートフォンに光が灯る。
サイレントマナーのままだったことを思い出しながら、応答すると呆れるほど元気な声がした。

「さーくや君、遊びましょ。」
 先週、顔を見てきたばかりの友達の声に、更に力が抜けた。

「ふざけてるの?」
 電話が掛かってくるのは嬉しいが、生憎な事に、今、朔夜は笑って冗談に付き合える気分では無かった。

「怒んないでよ!ねえ、それより、胆試きもだめししようぜ。」
 朔夜は、相手にするのが馬鹿馬鹿しくなって、ソファーに横倒しに倒れ込んだ。

「うちに来るの?」
 それでも電話を切る気は無い。

「いや、旧校舎取り壊し前に、一回、高校に行こうって言ってただろ?もう使わない蝋燭あるから夜行って怪談しようぜって、未咲みさきと話してて、お前も一緒が良いなって……。」
 征斗ゆきとと未咲夫婦の相変わらずのリア充っぷりに思わずうなった。

「……だが断る。」
 夜、学校にって絶対不法侵入じゃないか。

俺ももう社会人だ。
そんなリスクは犯せない。
って言うか、素直にうちに集まるで良くないか?

「あー、朔君そんな事言ってて良いのかな?君の初恋のさちちゃん来るぜ。こないだ、ばったり会っちゃって!」
 何がばったり会っちゃってだ!

ちなみに、幸ちゃんは、初恋じゃない。
初恋は小学校の時の美園みそのちゃんだ!
こないだスーパーで、子供抱っこしてて、なんか声かけられなかった。
「お前に会いたいってさ。『朔君格好良くなったんだろうね-。』って」
 我慢出来なかった。

「俺だって会いたいよ!後、下手なものまねで、幸ちゃんを汚すな!」
 幸ちゃんは、天使なのにお前に真似できる訳ないだろう。

「お前、明日仕事?」
 当たり前だ。
俺の仕事がカレンダー通りなのはお前も知ってるだろう?

「明後日は、休みだ。」
 だから家に来いと言う前に、征斗は被せてきた。

「じゃあちょうど良いな、明日の夜、俺たちの教室にのよんで待ってるから。仕事終わったら来いよ。解ってると思うけど、裏の森からなら柵無いから。」
 そう言うだけ言って、征斗は電話を切った。
……マジかよ。
俺、怖い話とか無理なんだけど……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...