百物語を一緒に

ぬるちぃるちる

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合流教室

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……来てしまった……。
いや、来る以外の選択肢は初めからなかったのだけれども。

夜になると、まだ冷たい乾いた風が、頬を撫でる。
枯れた雑草がしおしおと這う上に、ところどころ若い草が生え始めている舗装されていない小道に入った。
……暫く通ってなかったけど、以前と変わらない良く知った道。

まだ冷える春先で良かったと心の底から思った。
夏だったらもっと草もぼうぼうで、蛇やムカデとの望まぬ邂逅エンカウントも気にしないとならない。

これから、腿の高さほどの石垣に登り、昼でも暗い小さな林を抜けて旧校舎の二階の三番目の部屋、思い出の2ー4に向かう。

俺が今恐れているのは、お化けでも幽霊でも、もちろん妖怪でも無い。
生きている人間。
有り体に言うと警備員さんだ。

びくびくしながらも不可抗力で、ざくざく音を立て砕ける枯れ葉を踏みしだき、真っ暗な木立の間を抜けていく。

時折、バサバサと近くから鳥の羽音がして、驚くと同時に申し訳なくなる。

そうこうして抜けた先に木枠のガラス窓が見えた。
あの頃と寸分たがえず、懐かしい校舎がそこにあった。
窓枠に近づき、隅っこから暗い窓を覗き込む。

すると、建物の中の同じ位置から顔がのっそりとのぞき込んできた。

「……っう……。」
 咄嗟に口を押さえて、叫び声を呑み込む。
直後に、校舎の中の顔の後頭部が叩かれた。

後ろから来た方が、昨日の電話の相手、征斗ゆきとである。
内側から窓を開けて、中に入ってくるように促すので、そのまま侵入した。

窓枠の位置が低いので、人並みの運動神経があれば余裕だ。
そして靴も、元々土足の校舎なので、気にしなくて平気だ。

しかし、こんな事して、セキュリティとか大丈夫なのかな?
捕まったらシャレにならない。
別の意味でビビりながら、俺たちの教室にのよんを目指す。

「悪いな、途中で夜凪やなぎ拾っちゃって」
 捨ててきなさい!

今、窓枠から顔を覗かせて朔夜さくやを驚かせようとしたのも元2-4の仲間だった夜凪やなぎだ。
悪びれた様子無くついてくる。
……もともとそういう奴だった。

「こいついたら、一人のノルマ、25話から20話に減るから許してくれ。」
 ちょっとまて、何の話だ?

「やっぱり、蝋燭立てて怪談って言ったら百物語だよな!」
 待て待て待て待て、普通に考えて、一人20話もストック無いだろ?

「いやいや、意外とあるもんだから、大丈夫、平気平気。」
 勝手に心よむなよ。
そして、何の違和感もなく、俺たちの教室にのよんの後ろのドアを開いた。


*********************
目下の私の敵は、見えないお化けでなく、見えないほど小さな悪魔、花粉的なやつです。
アレルギー性気管支炎がひどくて予定通り進めてないですが、まだこんな短い文にポイント入れてくださった方有難うございます。
一万円当たる様に地元の瘡守稲荷にお願いしてきますね!性病の神様らしいですけど!
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