人類防衛英談

後醍醐

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プロローグ

【過去編】1:始まり

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荒れ果てた街が、夕焼けに染まる。崩れたビルのガラス片に光が反射して紅く染まる。そんな中、二人の少年と少女がたたずんでいた。
「必ず向かえに来る」
少年が語りかける。まるで、自分に言い聞かせるように。
「強くなって、に登り詰めて、今まで……今までその身を犠牲に皆を護っていた《旧守護者》が差別されるのはおかしいって声を大にして言えるようになって……すぐに向かえに来るから!……だから」
そこで、少年は黙り混んでしまう。すると少年より少し年上に見える少女が、くすりと微笑みながら話始める。
「待ってるから」
はっ、とした表情で、少年は少女を見た。
「――君は、私の自慢の弟だから。絶対に、すぐに向かえにこれるようになるって、信じてるよ」
その腰に、優しげな顔に似合わない居合刀を携えながら。その手に、《呪い》の証明の紋章を浮かべながら。少女はまっすぐな瞳を少年に向けていた。
「ああ、そうだよ。俺は、××姉の自慢の弟だから……」
その瞳を受けて、胸のうちにあった小さな不安が消えて行くのを感じた少年はその目を見返し、再び語り出す。
「安心して、待っててくれ」
少年の顔に、この年ならば残っていてもおかしくはない子供らしさは無く、それが決意の大きさを表していた。それに気付いた少女は、力強い頷きを持って、少年への答えとした。
「なあ、次会ったときは……」
少年が何かを言いかけたとき、少年の持つ無線が音をたてた。
『おい、新兵、隔離区域はそう長いこといられる場所じゃないんだぞ?もう忘れ物は見つかったか?』
「ええ、すいません。すぐに戻ります」
少年は無線にそう答えると、少女に向かって短く
「またな」
と言って駆け出した。その小さくなってゆく背中に少女は
「ええ、またね」
と短く返した。十年前に離れ離れになり、数年前、人類を襲った異世界からの侵略者『デモン』による《大規模進行》の日に再会して以来、再び共に過ごしてきた幼なじみの少年と少女は、ここに、それぞれの道を歩み出す。
少年は、再会の日という希望を胸に。
少女は、もう二度と会うことは無いであろう少年の、ずっと可愛い弟みたいなものだと思っていたら、いつの間にか大きく、男らしく、立派に頼もしくなっていた、その背中を最後の思いでとして胸に。
そして、少女の予感通り、二人が再会することは無かった……
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