神さまに嘘

片岡徒之

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 私に会ったところで、ろくなことはないことはわかっていたけど、よくよく考えたら、一年間という期間だけでも、生き返ることができるんだから、「私に会うだけ」という条件は別に悪くなく、目的がハッキリしているだけまだマシかもしれない。プラスマイナスゼロだ。最悪、マイナスにもなりかねないけど。気持ちの面以外では、プラスになる面が大きい。なにより、もう一度愛しのミーちゃんに会える。ミーちゃんっていうのは、私の家で飼ってた猫で、大の親友。ボーイフレンド。もう一度会って、ちゃんと挨拶できるっていうのは、幸せなことだよね。きっと。そのことを考えたら、私に会うくらい、へっちゃらさ。会うだけでいいんでしょ。会った瞬間に、何言うかわからないんだけどさ(笑)私は私のことが嫌い、ではないけど、好きではない。少なくとも。それだけは言える。

 どうしようか。条件を飲もうか。うーん。複雑な心境に変わりはないけど、生き返るということへの願望は、それなりに強かった。だから納得した表情も度々見せた。迷っていることは、確かだ。でも、私はこのビックチャンスを不意にできるほどの度胸も、余裕もなかった。もとより、私にはもう残された時間はないのだから。そう思いつつも、神さまと対話を続けるうちに、生き返るということへの願望が、次第に強くなっていったのを感じた。私は「私」に対して、聞き返す言葉もなく。

 「それじゃあ、条件は整った?」

 私は神さまに言った。私の存在が消えるということと、私に会うということ。ハンコもなにもないけど、私は私なりに承諾したつもりだった。本気で、生き返るとも思ってなかったし。そこまで本気になって、無我夢中で、自分の意思を確かめようとも思わなかった。ただ、その場では頷いていた。自分自身の心の中で、甘い妄想に浸りながら。
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