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訓練開始
第2話
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「はぁ!?」
「一体どういうことだ!どうなったいる!?」
状況が飲み込めないルイとキウラが急いで第10支団の門に通じる大通りに出ると、遠くから必死な形相で走るアルフォンソとあくまで優雅な笑みを崩さないアリアネスがものすごいスピードでこちらに向かってくるのが見える。
(一体どういうことなんだ!アルフォンソ、お前は何をやっているんだ!)
子供のように必死の形相でアリアネスに並走するアルフォンソを見て、ルイは大きなため息をつく。一方、その隣ではキウラがわなわなと怒りで体を震わせている。
そんな二人の様子も知らず、アルフォンソは隣を走るアリアネスに向かって怒声を撒き散らしていた。
「この化け物女!伯爵令嬢なんて嘘に決まってるだろ!ほんとはどっかのサーカス団にでもいたんじゃないのか!」
「うふふ、また口調が崩れていらっしゃるわよ、支団長様?いつでも冷静沈着を売りにされていると聞いたことがありますが……?」
「もう今更だろうが!それに大体なんでそんなに余裕そうなんだ!体も鍛えてないお嬢様が俺と対等に走れる訳がないだろう!」
「わたくしはラシード様の妻になる女です。清く正しく美しくあるためには体を鍛えることも当然ですわ。ラシード様の妻たるもの、もちろん、足の早さだって要求されるのです。」
「そんなもん、必要あるか!頭がおかしいんじゃないのか!」
「おほほほ!言葉でわたくしの心を惑わそうとしても無駄ですわよ、支団長様?あと少しでゴールです!さぁ、団員の前でわたくしに負けるという醜態をさらされるつもりかしら?」
「この餓鬼がぁ!」
二人が第10支団の門をくぐったのはほぼ同時だった。
「お二人は同着でございました。この勝負は後日に持ち越しでございます。」
「おまっ、えはっ、並走してた、のか!!」
ぜーぜーと両ひざに手を置いて息を整えるアルフォンソが無表情で二人に並走していたセレーナに驚きの表情を向けるが、セレーナはなんてこともないように、アリアネスに汗を拭くための布を差し出した。
「もちろん。お嬢様についていこうとするならばこれくらいできて当然です。」
「二人そろって化け物かよ……。」
アルフォンソがガックリと肩を落としていると、キウラが全速力で駆け寄ってくる。
「支団長!これは何事ですか!」
キウラが汗を拭おうとするが、それをアルフォンソが制止した。
「この化け物女たちが、夜明け前に部屋から抜け出すのが見えたから逃げ帰るのかと思って声をかけたんだよ。そしたらこれから走って体を鍛えるとかいうから、慣れないことはやめとけって言ったら、だらけた老人はもう一眠りしておけばいいとかほざきやがるから!」
「それで彼女たちに付き合っていたわけか。」
ルイが苦々しい顔で汗だくのアルフォンソに布を投げつけた。
「助かる、ルイ。ただ走ってるただけだったんだがな。いつの間にか競争になっちまって。」
「いい準備運動になりましたわ!これから本格的な訓練が始まるのね。セレーナ!列に並ぶわよ!」
「承知いたしました。」
アルフォンソと違い息を切らしてもいない2人は急いで団員の列の後ろに並ぶ。
「支団長、早く訓練を始めましょう!」
「わかった。」
キウラに応えたアルフォンソは深呼吸して息を整え、団員たちの前に立つ。
「これから朝稽古を始める。まずは素振りからだ!よーい!はじめ!!」
「「「「「「「「「「「はっ!!!!!」」」」」」」」」」」
団員全員が発声した後、木刀での素振りが始まった。
「一体どういうことだ!どうなったいる!?」
状況が飲み込めないルイとキウラが急いで第10支団の門に通じる大通りに出ると、遠くから必死な形相で走るアルフォンソとあくまで優雅な笑みを崩さないアリアネスがものすごいスピードでこちらに向かってくるのが見える。
(一体どういうことなんだ!アルフォンソ、お前は何をやっているんだ!)
子供のように必死の形相でアリアネスに並走するアルフォンソを見て、ルイは大きなため息をつく。一方、その隣ではキウラがわなわなと怒りで体を震わせている。
そんな二人の様子も知らず、アルフォンソは隣を走るアリアネスに向かって怒声を撒き散らしていた。
「この化け物女!伯爵令嬢なんて嘘に決まってるだろ!ほんとはどっかのサーカス団にでもいたんじゃないのか!」
「うふふ、また口調が崩れていらっしゃるわよ、支団長様?いつでも冷静沈着を売りにされていると聞いたことがありますが……?」
「もう今更だろうが!それに大体なんでそんなに余裕そうなんだ!体も鍛えてないお嬢様が俺と対等に走れる訳がないだろう!」
「わたくしはラシード様の妻になる女です。清く正しく美しくあるためには体を鍛えることも当然ですわ。ラシード様の妻たるもの、もちろん、足の早さだって要求されるのです。」
「そんなもん、必要あるか!頭がおかしいんじゃないのか!」
「おほほほ!言葉でわたくしの心を惑わそうとしても無駄ですわよ、支団長様?あと少しでゴールです!さぁ、団員の前でわたくしに負けるという醜態をさらされるつもりかしら?」
「この餓鬼がぁ!」
二人が第10支団の門をくぐったのはほぼ同時だった。
「お二人は同着でございました。この勝負は後日に持ち越しでございます。」
「おまっ、えはっ、並走してた、のか!!」
ぜーぜーと両ひざに手を置いて息を整えるアルフォンソが無表情で二人に並走していたセレーナに驚きの表情を向けるが、セレーナはなんてこともないように、アリアネスに汗を拭くための布を差し出した。
「もちろん。お嬢様についていこうとするならばこれくらいできて当然です。」
「二人そろって化け物かよ……。」
アルフォンソがガックリと肩を落としていると、キウラが全速力で駆け寄ってくる。
「支団長!これは何事ですか!」
キウラが汗を拭おうとするが、それをアルフォンソが制止した。
「この化け物女たちが、夜明け前に部屋から抜け出すのが見えたから逃げ帰るのかと思って声をかけたんだよ。そしたらこれから走って体を鍛えるとかいうから、慣れないことはやめとけって言ったら、だらけた老人はもう一眠りしておけばいいとかほざきやがるから!」
「それで彼女たちに付き合っていたわけか。」
ルイが苦々しい顔で汗だくのアルフォンソに布を投げつけた。
「助かる、ルイ。ただ走ってるただけだったんだがな。いつの間にか競争になっちまって。」
「いい準備運動になりましたわ!これから本格的な訓練が始まるのね。セレーナ!列に並ぶわよ!」
「承知いたしました。」
アルフォンソと違い息を切らしてもいない2人は急いで団員の列の後ろに並ぶ。
「支団長、早く訓練を始めましょう!」
「わかった。」
キウラに応えたアルフォンソは深呼吸して息を整え、団員たちの前に立つ。
「これから朝稽古を始める。まずは素振りからだ!よーい!はじめ!!」
「「「「「「「「「「「はっ!!!!!」」」」」」」」」」」
団員全員が発声した後、木刀での素振りが始まった。
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